女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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アホなのか?

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 この街の冒険者共にとって、俺は見掛けぬ顔。チラチラ見て来て気持ち悪い。列が終わり、忙しそうに事務処理する受付嬢に話し掛ける。

「バルタリンドから来た。取次を頼む。紹介状、こんなんなっちゃってるけど…」

「よくそれを持って来れますね」

「仕方無いじゃん、衛兵隊の隊長様だとか抜かす野郎に破かれたんだから」

「何となく分かるので忖度しますよ。繋ぎ合わせるので暫くお待ち下さいね」

「手間を掛けるね」

「おうおうマチュール、そんなちんぽ野郎なんざ放っといてこっち来て酌でもしろよ」

「見ないようにしてるんですから言わないで下さい!これから討伐なんですからお酒なんて飲んでないで装備の確認でもしたらどうですか!?」

「へっ!飲まずに居られっかよ!動きゃしねえジジイ共は余裕こいてるがな、殺り合うのは俺達だっつーの!」

「それなら街の中まで入れてから戦えば良いかもな。少しは焦るだろ。死んでも後釜が収まれば済む話だ」

「お前ぇ、ちんぽのクセにわーってんじゃねぇか」

「物騒な事言わないで下さい!なんでこんなにビリビリなのよもー!!」

「文句を言っても始まらん。どうせ今頃前線のモンスターに囲まれて食われてる頃だ」

「はっ!そりゃあ良いぜ!俄然やる気が出た。お前ぇも気張りな」

絡み酒の男は何かやる気になったらしい。斧を担いで出て行った。何だったのだろうか?

「何となくバルタリンドの捺印なのは分かりました。マスターに確認取って来ますので今暫くお待ちを」

ペニスケをチラ見した受付嬢は急ぎ足で階段を駆け上がって行った。ここに居ても列の邪魔なので端っこで休んでよ…。


「バルタリンドの冒険者の方ー、こちらに来て下さーい!」

暫くして、階段から降りて来た受付嬢が俺を呼ぶ。ちんぽ野郎と呼ばれる前に行くか。

「俺の名はカケルだ」

「取り敢えず上へどうぞ。付いて来て下さい」

ギルマスの部屋に通された俺は数人の男女が居る室内でハゲ、ないしマッチョを探す。多分そいつがギルマスだからな。しかしハゲは居なかった。マッチョは居たけど男三人全てマッチョなので何奴がギルマスか分からない。

「あんたがバルタリンドから来たドラゴンスレイヤー様かい?」

「ドラゴンバスターにしてくれ。アレは殺せん。名前はカケルだ」

ソファの背凭れに尻を乗せて居た女が口を開いた。珍しい黒髪に赤い瞳。カラコン女子に見えるが歳はそれなりに行ってそうだ。何故か《威圧》して来たので《威圧》で返してやる。

「つっ!なんて…」

「ちょっと《威圧》出来るからって調子に乗るな」

「お前、ギルマスに何してんだ!」

「お前等も覚えておけ。初見の相手に《威圧》する時は相手の力量をしかと見極めろ。でないとああなる」

「なめ…るぬぐぁあっ!?」

「無理だよお前程度じゃ。脱糞する前に謝罪しろ」

その場に居た男女が武器を構えるが、同時に藻掻き苦しむ。

「お前等は、アホなのか?態々手伝いに来た奴が、弱いとでも思ってるのか?」

「カケル様、そろそろご容赦願います。話が終わりませんので…」

「そうだな。便意だけにしといてやろう。俺の仕事は飛んでる奴と湧いて出て来る奴の討伐。他にあるか?何なら片っ端からやってやるぞ?」

「ほ、報酬は!?」

「金はあるからランク上げてくれ。あと、ダンジョン只で入れるようにしてくれ」

「ラン、ク…、だと….?」

「俺まだDなんだよ。Cにならないと入れないって言うもんだからなー」

「お前のようなDランクが居るか!あうっ!」

「ここにいるぞ!」

「くぅ…、分かった。分かったから、それを解いてくれ」

「解いても便意はそのままだけどな」

《威圧》を解いてやると、皆一目散に飛び出して行った。

「なんと言う事を…」

「人に敵意を向けるような奴は報いを受けるもんだ。では俺も行ってくる、か」

ゆっくりした足取りで部屋を出て行った。
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