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おともだち
しおりを挟む窓から飛び出しネーヴェの元に駆け付けると、既に人集りになっていた。
「ネーヴェ、ティータ、遅れてすまん」
「カケル様ァァ怖かったよおー!」
俺の胸に泣き付いて来たのは勿論ティータ。見た目の善悪を決定付ける動作と発言は、自分達は被害者であると聴衆に知らしめるに抜群の効果を発揮していた。聡い子である。なでなで。
「カーケルーコワカタヨー」
一足遅れてくっ付いて来たネーヴェは何故か片言だ。ティータが撫でられてるのを見て羨ましくなったな?なでなで。
酔っ払って子供に手を出そうとした男達は衛兵に暗くて臭い部屋に連れて行かれ、ネーヴェ達は少しだけ話をして解放された。街の子ティータの顔利きが強い。
「ティータ!ネーヴェちゃん!」
現場から少し離れた大きめの家から、ティータに近い年頃の娘等が飛び出して来た。
「テッチーとラッテ。おともだち」
「二人共、心配してくれてありがとね。カケル様が来てくれたからへーきへーき」
「冒険者のカケルだ。うちのネーヴェと仲良くしてくれてありがとう」
「あ、テッチー…です…。こっちは妹のラッテ、です」
二人の女子はおどおどしつつも名乗り返してくれたよ。ラッテは一言も喋ってないけど、言いたい事はわかるから良し。辺りが暗くなり、人も掃けて来たのでテッチー姉妹に手を振り別れ、宿に戻った。
その夜、ティータが部屋に来て、ぺろぺろしてくれたのだが、何となく様子が暗い。
「ネーヴェ、お友達が出来て良かったな」
「うん。けど別れが来るとさみしい」
龍と人では絶対的に生きる長さが違うからな。俺もだが。
「カケル様…。ラッテの事、どう思った?」
「失語症だな。何か原因があるのか?」
「しつ…ごしょ?そう言う病気なの?原因はわかんないけど出会った頃から話せなかったし、生まれつきだと思う」
「女神は生き物を可愛がってる振りして放ったらかしにしてるだけだからな」
「女神様の事、悪く言うと天罰来るよ?…けど、否定は出来ない…かな」
「言葉は理解してるのは見てて分かったが、音は出せるのか?」
「聞いた事ない」
「文字は読めるのか?」
「筆談してるから読めるわ」
地球には手話や筆談、自動音声等で声の代わりをする物はあった。が、此処には冒険者達が使うハンドサインくらいしか無い。食道から声を出す方法はシルケでも使える技術だが、女の子に意味のあるゲップをさせるのは酷だろう。
「治してやりたいんだな?」
「何人も治療師を呼んだみたい。けど…」
「今話せないって事はそうなんだろうな。ネーヴェは治せるか?」
「わかんない。かいふくしたけど、ダメだった」
「ネーヴェちゃん、そんな事してくれてたの?」
「みんないい子。大事にしたい。カケル、治せる?」
「診てみないと何とも言えんな。金は要らんが大人が介入する以上、家族と相談すべきだろう。ネーヴェも大人なんだから、いきなり治すと家族がびっくりするから気を付けような」
「ダメなの?」
「人の子は疑り深かったり欲深かったりする生き物なんだ。不治の病が急に治ったら、こっちが礼は要らないと言っても、後になって何かとんでもない物を要求されるかも知れない…って恐れたりする。治す技術を金儲けに使ってやろうと悪巧みするかも知れん。治して恩を売るために病魔を植え付けた…、なんて言い掛かりを付けて来る事もある」
「そんな事しないよ!」
「例えばの話だから気にするな。あの二人を見ればどれだけ愛されてるか分かるしな」
帰り間際、奥さんが来てネーヴェやティータに深々と頭下げてた姿は二人への感謝と娘達への愛情が見えていた。
「カケル様、お願い!」
「明日、ギルド経由で話を通してもらおう。一冒険者よりは信用あるだろう」
「私、何でもするから…」
「もうしてもらってるから気にすんな。強いて言うなら、弟か妹の世話を手伝ってやれ」
「え…?今お父さん達がエッチしてるの分かるの!?」
「産まれるのは俺の子だけどな」
「私でも良いのに」
ティータが結婚したら孕ませてやると約束した。
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