女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
449 / 1,519

おともだち

しおりを挟む


 窓から飛び出しネーヴェの元に駆け付けると、既に人集りになっていた。

「ネーヴェ、ティータ、遅れてすまん」

「カケル様ァァ怖かったよおー!」

俺の胸に泣き付いて来たのは勿論ティータ。見た目の善悪を決定付ける動作と発言は、自分達は被害者であると聴衆に知らしめるに抜群の効果を発揮していた。聡い子である。なでなで。

「カーケルーコワカタヨー」

一足遅れてくっ付いて来たネーヴェは何故か片言だ。ティータが撫でられてるのを見て羨ましくなったな?なでなで。
 酔っ払って子供に手を出そうとした男達は衛兵に暗くて臭い部屋に連れて行かれ、ネーヴェ達は少しだけ話をして解放された。街の子ティータの顔利きが強い。

「ティータ!ネーヴェちゃん!」

現場から少し離れた大きめの家から、ティータに近い年頃の娘等が飛び出して来た。

「テッチーとラッテ。おともだち」

「二人共、心配してくれてありがとね。カケル様が来てくれたからへーきへーき」

「冒険者のカケルだ。うちのネーヴェと仲良くしてくれてありがとう」

「あ、テッチー…です…。こっちは妹のラッテ、です」

二人の女子はおどおどしつつも名乗り返してくれたよ。ラッテは一言も喋ってないけど、言いたい事はわかるから良し。辺りが暗くなり、人も掃けて来たのでテッチー姉妹に手を振り別れ、宿に戻った。

 その夜、ティータが部屋に来て、ぺろぺろしてくれたのだが、何となく様子が暗い。

「ネーヴェ、お友達が出来て良かったな」

「うん。けど別れが来るとさみしい」

龍と人では絶対的に生きる長さが違うからな。俺もだが。

「カケル様…。ラッテの事、どう思った?」

「失語症だな。何か原因があるのか?」

「しつ…ごしょ?そう言う病気なの?原因はわかんないけど出会った頃から話せなかったし、生まれつきだと思う」

「女神は生き物を可愛がってる振りして放ったらかしにしてるだけだからな」

「女神様の事、悪く言うと天罰来るよ?…けど、否定は出来ない…かな」

「言葉は理解してるのは見てて分かったが、音は出せるのか?」

「聞いた事ない」

「文字は読めるのか?」

「筆談してるから読めるわ」

地球には手話や筆談、自動音声等で声の代わりをする物はあった。が、此処には冒険者達が使うハンドサインくらいしか無い。食道から声を出す方法はシルケでも使える技術だが、女の子に意味のあるゲップをさせるのは酷だろう。

「治してやりたいんだな?」

「何人も治療師を呼んだみたい。けど…」

「今話せないって事はそうなんだろうな。ネーヴェは治せるか?」

「わかんない。かいふくしたけど、ダメだった」

「ネーヴェちゃん、そんな事してくれてたの?」

「みんないい子。大事にしたい。カケル、治せる?」

「診てみないと何とも言えんな。金は要らんが大人が介入する以上、家族と相談すべきだろう。ネーヴェも大人なんだから、いきなり治すと家族がびっくりするから気を付けような」

「ダメなの?」

「人の子は疑り深かったり欲深かったりする生き物なんだ。不治の病が急に治ったら、こっちが礼は要らないと言っても、後になって何かとんでもない物を要求されるかも知れない…って恐れたりする。治す技術を金儲けに使ってやろうと悪巧みするかも知れん。治して恩を売るために病魔を植え付けた…、なんて言い掛かりを付けて来る事もある」

「そんな事しないよ!」

「例えばの話だから気にするな。あの二人を見ればどれだけ愛されてるか分かるしな」

帰り間際、奥さんが来てネーヴェやティータに深々と頭下げてた姿は二人への感謝と娘達への愛情が見えていた。

「カケル様、お願い!」

「明日、ギルド経由で話を通してもらおう。一冒険者よりは信用あるだろう」

「私、何でもするから…」

「もうしてもらってるから気にすんな。強いて言うなら、弟か妹の世話を手伝ってやれ」

「え…?今お父さん達がエッチしてるの分かるの!?」

「産まれるのは俺の子だけどな」

「私でも良いのに」

ティータが結婚したら孕ませてやると約束した。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...