女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ちょっと真面目なお話

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 ネーヴェとティータの中に散々流し込んだ翌日。ギルドの三階の窓をノックするとジョンが迎えてくれた。

「遊びに行くのか?」

「ちょっと真面目なお話がある。断ればギルドが更地になる」

「そりゃあ穏やかじゃないな。とにかく入れよ」

ギルマス室に入るとサブマスの女がジト目で見てた。アポ取ろうとすると不快になるからしょうが無いじゃないか。

「で、ちょっと真面目なお話っちゃ何なんだ」

「紹介状と、ジョンの面貸してくれ」

お茶を淹れてくれたサブマスも立ち会わせて昨日の話をした。何処ぞの馬の骨な俺個人より、ギルマスが直接顔を出して紹介してくれれば無報酬でも信用されるだろ。

「俺が行く必要、無くねーか?」

「別にそこの女でも良いぞ。俺的には断然そっちが良い。要するに、紹介状だけじゃ足りないんだよ。裏から手を回しても手に入る物だからな」

「アポ無しで侵入して脅迫までしていますからね。でしたら私が同行します」

「そうか。ご足労だが宜しく頼む。名を聞いても良いか?」

「フレデリン騎士爵家が三女、バルジャン・フレデリンと申します」

「お前貴族だったのか」

「私に爵位はありませんよ。父が陞爵でもしない限りは」

そんな話をしながらも、サブマスが獣皮紙にカリカリっと紹介状を認めしたた て、ジョンがそいつにサインする。クルクル巻いて、蜜蝋垂らして印章を押したら出来上がり。早速商家に向かいます。
テッチー姉妹の商家には、今日もネーヴェとティータが遊びに来てた。昨日の話をするためだろう。俺達は客間に通された。

「本日のご用向きは何でしょうか?」

紹介状に目を通し、ソファーの上座に座る如何にも旦那様と言った感じの男はテッチーとラッテの父で商家の主人である。

「忙しい中時間を頂き感謝します。要件は二つ。一つはうちのネーヴェが親しくして頂いた感謝を伝える為。ささやかな物ですがお受け取り下さい」

トカゲ肉を取り出すと、主人が目を見開いた。《鑑定》持ちだな。

「初めて見ました…。これは献上案件ですぞ…」

「王家には丸々一匹献上させられたので問題ありません。生物ですので早目に召し上がって下さいね。もう一つが本題です。ラッテの症状についてです」

「…宿屋の子から聞いたのですね。あれはもう、本人含め家族一同、諦めております…」

「一つ聞きたいのですが、以前に頭への怪我等はしておりませんか?」

「どうしてそれを?」

「外傷か、心労か、それとも寒さに当たり過ぎたのか。その辺りに原因があると踏んでいます」

「その通りです。あれがまだ乳飲み子だった頃、階段から転げ落ちて死に掛けました。しかし傷は治療師の魔法にて治して…、元気になったのです」

「声を代償に…ですか」

「ええ…」

「うちのネーヴェがどうしても治したいと言っているのです。診るだけでもさせて頂きたい」

「恥ずかしながら、当家にはもう出せる物が無いのです」

「ありますよ」

「娘、ですか…」

調度品の無い部屋で、馬鹿な事を言う父親がそこに居た。同意があれば差し出されなくてもするから心配するな。

「うちのネーヴェはとても長生きなのですよ。その長い長い人生の中で、良い関係を築けた人を、友達を、一人でも二人でも増やしてやりたいのです」

「分かりました。娘を宜しくお願い致します」

立ち上がり、深々と頭を下げるその姿は奥さんと同じく娘への愛情で一杯だった。俺に対しての恐怖や不安はどうしても拭い切れないようだったが、それでも縋る思いが見えた。

 客間を離れ、メイドに子供達の部屋に案内してもらうと、子供部屋でネーヴェに突進された。《強化》《耐性》増し増しで受け止める。後ろでバルジャンとメイドがギョッとしてるから加減しておくれ…。
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