女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ぶっ殺してやる

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 料理が並び、店を終えた親父殿が加わって頂きます。カラクレナイの作ったナンを、脇目も振らず掴み取る。ずっしりとした重みのあるコイツには、粉と水しか入ってないと思うのだが…。

「カケルに食べてほしくて、がんばったの」

この重み、愛だよ、愛!愛が詰まって、持ち上げても垂れ下がらないナンを手で千切り、己の口に放り込む。

ゴムかな?

まあ、噛めない事は無い。噛んだ力が跳ね返って来るので更に噛み込んでミチミチっと噛み切る必要があるってだけだ。味は程良い塩気でママ上殿の影響が感じられる。口の中で唾液を塗して甘噛みしていると周りが溶けて飲み込めるようになった。水加減が足りなかったか、或いは練る力が強過ぎたか。うどんや水団を作るには丁度良いだろうなー。

「どう…?」

「味は良いけど硬いな。スープで煮るのに向いてる硬さだ」

「ダメ…なの?」

「カラクレナイの練った生地で、今度一緒にうどんを作ろう。俺が作るのより美味く出来ると思うぞ」

「うどう?カケルと作るの?」

「うどんだ。嫌か?」

「いやじゃない!やるの!」

不安そうな表情に笑みが零れる。守りたい笑顔だ。

「良かったですねカララさま!」

「うん!次はもっと美味しくするの」

期待して待とう。残ったナンはリュネが食ってた。

「カララちゃんの愛がたっぷり詰まって美味しいですよ」

ゴムゴムしたナンを難無く咀嚼する。龍は骨とかもバリバリ食うみたいだし、これくらいなら平気なのかもな。ママ上殿のママ味たっぷりの食事を堪能し、食後のお茶を啜って居ると、仕事帰りのカロが来た。

「カケル様、お久しぶりです」

おや、今日はデレてない。

「暫くだな。ギルドからの用件でもあるのか?」

「はい。ダンジョン都市からの苦情が一件あります」

「ランクも上げず、報酬も無く、存在自体を無かった事にした奴に、苦情を言って返事があると思ってるのかな?」

「それだけ、ダンジョンに依存していたと言う事でしょう。今では閑散としていると聞いています」

「ならそれこそ返す言葉は無いな。街が消えるまでそっとしておこう」

「私も同意見です。明日にはその旨伝えます」

「で、もう仕事は終わりか?」

「…いえ、今夜は夜勤で朝まで…」

「妊婦に夜勤?ギルドには妊娠してる事伝えてあるのか?」

「はい…」

「あの野郎、ぶっ殺してやる」

ギルドに向かう俺を誰も止めない。殺っても良いみたいだな、よし。ギルドへと向かう合間にフェルーゲンの野郎を裸にひん剥き浮かせ、階段を転げ落として一階へ。ギルドに入ると野郎の狂態に職員一同大騒ぎだ。

「おいアホ。恥をかいて死ぬ前に一言言いに来た」

「アホだと…って!やっぱりカケルの仕業か!?」

「妊婦に夜勤させるたぁ、どう言うつもりだ?返答に拠っては脱糞させっぞ?」

ダンマリのアホに容赦はしない。腹の中に水を詰め込み、ミキサーの如く掻き回す。程無くして臭くて汚い汁を垂れ流し始めた。前も後ろも上からも、人間噴水と化したアホに辺りは阿鼻叫喚。

「メルゲルは良い奴だから我慢してたが許せる範囲を超えたぞ」

《集結》で体を押し潰す。言い訳でも聞いてやろうと、少しずつ指先から潰してやるが、汚い悲鳴ばかりで言葉になってない。手足が赤い玉になった所で回復回復。

「話せよ。またやんぞ?」

「あがっ!たっ!助けろお前等!?」

「はい。もう一回」

「ぎゃあああああああああっ!」

三度もやれば懲りるダルマ体験に、屋内に居た者は動く事もままならず、ダルマ野郎は泡を吹く。

「た…すけ…て…」

「俺も、此処に居る奴等も、お前を助ける気ねーから。妊娠してるの認識してて、夜勤で徹夜させるってどーゆー事なんだよう。なあ?」

「坊や。だいぶお冠だね」

騒ぎが収まらない事に気付いたのか、奥からタマリーがやって来た。

「タマリーさんや、ちょっと聞きたいんどけどさ。ギルドって妊娠した女への福利厚生って、無いの?」

「…カロの事だね?」

「「「え!?」」」

数人の女性職員から驚きの声が上がる。ギルマスと、親しい間柄にしか話して無かったようだな。
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