女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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内緒

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 首から夥しい血を吹き出して、ウォリスウォーカーは通路に倒れ伏した。そして其奴から奪い取った剣で改めて首を撥ねる。もう一匹の足止めを解いてやると一目散に逃げ出したので俺が止めを刺した。

「申し訳ありません。逃がしてしまいました」

「気にすんな。俺も働かにゃ格好付かんからなー」

「あの、どうして…?」

「どうした?」

「敵まで二十ハーンはあったのに、近寄らずに、動く事も無く敵が死んだのですが…?」

「ああ、スキルでちょちょちょいーっとな」

「昨日、スールズが言った事が理解出来た気がするよ…」

「言った私もびっくりなんだけどね!」

昨日お前等にやった事と同じ事をしただけなんだけどな。《威圧》を纏わせ動きを封じ、《威圧》で殺しただけなんだ。
ドロップはエージャの奪った剣と鞘に、魔石だけだった。エリアボスの部屋でも魔石しか出なかったし、これ美味いのか?

「カケル様、美味しくなるのはもっと行った扉の向こうですよ」

訝しんでた俺にカリータが教えてくれた。その後は敵も無く、教えてもらった扉の前に到着した。
 扉を開けると、外だった。正確には、外と見紛う階層だ。ジョンと行ったドラゴンステージみたいな感じだな。それにしても広い。空も高いし奥行何キロあるんだか分かり兼ねる草原だ。遠くに戦ってる冒険者が居るが、しゃがんで何かしてる奴も見える。

「下に行くなら移動しながら狩るよ?」

「そうだな」

こっち、と左に曲がったら、とにかくひたすら真っ直ぐ走る。敵が出るので固まって移動するが、居るのはさっきのウォリスウォーカーくらいのモンだ。美味いのか?

「ウォリス顔しか居ないようですが、元が取れる程の稼ぎになるのでしょうか?」

俺の心を読んだのか、エージャが口を開く。

「ウォリスウォーカーの武具ってね、ミスリルが含まれてるのよ。特に鎧は大きいから一つで五万にはなるって訳」

「広くて狩り放題だからドロップ次第で食えるって訳か」

「それに薬草も高いんです」

エージャが奪った一ハーン程のミドルソードもそれなりの価値があるそうだ。
下への階段までは暫く掛かるそうなので、寄って来る雑魚は俺が対処する事にした。ギリギリまで近寄らせて脳味噌《散開》するだけの簡単な仕事だ。脳味噌がふわふわになった敵は数歩歩いて煙になり、魔石等をドロップする。それを拾って《収納》したら、再び走り出す。
そんな事を一オコン程続けているうちに、ダンジョン入口に似た地下への階段が見えて来た。

「カケル様のおかげでだいぶ早く着きましたよ」

「エージャの為にならんから少し控えるよ」

「お役に立てるよう頑張ります」

「エージャさんは遊撃でどうぞ」

「そうですね。一先ず一体だけ頂きます」

階段付近に屯っていた五匹に突っ込んだ四人は、圧倒的な強さで犬顔を屠って行った。エージャもちゃんと戦えてるみたいだな。スールズは魔力の心配が無くなったので水球をぶつけて視界と呼吸を阻害してる。サスーンとカリータはその隙を付いて斬ったり殴ったりしていた。

「鎧きたー」

マントを纏う、カリータの背中に隠されたカバンはマジックバッグだ。自作以外で初めて見たかも?鎧がスルッと収納されて、スッキリぺたんこなカバンに戻った。

「内緒ですよ?」

「俺も使えるから内緒な」

「はい!」

笑顔が眩しいぜ。階段を降りると再び遺跡風ダンジョンに戻った。それから潜りに潜って三オコン。誰かの腹がぐうと鳴った。もうそんな時間か。小部屋で飯にしようと言う話になり、入った小部屋が罠だった。

「モンスターハウスじゃないかーやだー!」

「稼ぎ放題だな」

「カケル様のポジティブさに惚れ直しました。抱いてください」

「私キスして欲しい!」

「後にして!戦って!」

壁際の角を背にして剣を振り回すサスーン。此処ではカリータは前に出られないな。小部屋の中には三十匹程の犬と犬顔がひしめき合って、俺達に向かって剣や牙を向けて来る。サスーンの剣幕に襲い掛かっては来ないが、それも時間の問題だろう。


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