女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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壁ドン

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「半分くらい減らせば良いか?」

「その後は私が行きます。ウォリスが厄介ですので其方を多目にお願いします」

「任せよ」

エージャが殺気を放ち、剣を構える。俺は《感知》で獲物を把握し、犬の全てと、犬顔を少し煙に変えた。

「出ます!」

エージャの声と同時にサスーンの剣幕が止まる。飛び出したエージャが横薙ぎすると、犬顔の体が数匹、上下に分かれた。次に出たのはサスーンで、袈裟斬りに一匹、横薙ぎで一匹斬り倒す。カリータはスールズの壁となり、魔法の詠唱時間を稼いでる。スールズは水球を飛ばして援護に回り、三人の攻撃をより確実な物にしていた。俺はドロップしたのを片っ端から《収納》して足元の安全を確保し、新たに湧いたのを間引きして行った。腹減ったよ。

 トータルで何匹殺ったのだろうか。腹減らしの運動にしては充分過ぎる量だった。全員に回復を掛けて飯にする。雪国産の熊っぽい奴の肉を薄切りにして、肉焼きセットを皆で囲んで焼いてソーサーに乗せて食べる。

「ダンジョンで焼肉が食べられるなんて…」

「塩や香辛料をまぶして持って行けば良いじゃん。一日二日は持つだろ?」

「その発想に至らないのが冒険者なんだよなぁ」

「マジックバッグ持ちもそうそう居ませんから。ポーターを雇うのも良いけど、ダンジョンではお金掛かるから…」

このダンジョンは、意図的に深く潜らせないようにしてると思われる。踏破させたくないのだろう。一日五万、持ち物に制限のある冒険者では十日も潜って居られまい。五人で十日で二百五十万。雑費を足してもトカゲの魔石くらいは持って帰らないと赤字になっちまう。
マジックバッグを入手出来た此奴等は実力だけでなく運も持っているんだな。

 食事を終えて探索再開。このペースで移動すると、二十階のエリアボスに着くのは夜になると言う。時間が分かるのでは無くて腹時計なのが何とも冒険者チックだ。

「先導しても良いなら俺が出るぞ?」

「カケル様なら任せても良いかな」

「そうだな」

「何か不都合でもあるのか?」

赤と黄色が思わせ振りな事をおっしゃる。聞くと、狭い所に連れてってぐへへな事もあると言う。

「カケル様の壁ドン…ぐへ、ぐへへ…」

エージャはブレないな。

「休憩、します?」

スールズのスイッチが入る前に移動しよう。三人の感覚的ルート選別は悪くないのだが、《感知》持ちの俺からするとヤキモキしてしまう事もしばしばあって、進言するか迷っていたのだ。戦闘しないと稼げないし、エージャを鍛えられないのは分かるのだが、とっとと下に降りて稼ぎの良い獲物を狩りたいのだ。犬顔の鎧がこの辺りのメインだが、この程度ならエージャでも余裕があるからな。

 《感知》を広げて、ゴール地点の階段を見付ける。お、宝箱発見。

「この辺りの宝箱って中身入ってるのかな?」

「先行者が開けてなければ…」

「開けたい人~」

挙手を募ると三人の手が上がる。エージャの意思は俺次第なので挙手しないようだ。フェイントを掛けようと肩を揺らすが微動だにしないぜ…。民主主義に則り宝箱の場所に向かう事にした。

「また小部屋かぁ」

チラホラ現れる敵を倒しながら着いたのは扉のある小部屋前。サスーンが独り言ちる。

「罠は…、見えないな。俺の熟練度より強いヤツだと分からんが」

「まだそんな階層じゃないから、多分大丈夫ですよ」

スールズの言葉を受けて中に入り、代表して箱を開けた。

「スールズよ、見事なフラグ立てだったな」

「そんなっ!?転移罠なんてこんな所で見た事ないのに!」

宝箱を中心に、部屋全体に光る線が走る。

「とにかく一箇所に集まれ」

「カケル様、抱いてください」

「お前が来い」

「はい!」「カケル様っ」「私も」「あっ、ずるいっ」

四人の女にガッチリ動きを封じられ、光り輝く魔法陣の中に消えて行く俺達であった。



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