女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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まずは見てろ

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 煙突からの帰り道、眼下の森を見ていてふと森の中を散策したくなった。何もしないで行って帰ってじゃあ冒険者組はおまんまの食い上げだし、何か狩って帰りたい。皆もそれに同意したので、地上に降りて魔道車を《収納》した。

「カケル様と狩りするの初めてだぜ!」

「俺達の強さを見せてやんよ」「よーよー」

「あんまり燥ぐはしゃ なよ?何が居るかわかんないんだから」

「わーってらい。隊列は前が俺、ワー姐、ニット。中に兄貴。後ろは友恋とガット、だな?」

「俺が中か」

「アズも中、あたいとガットが後ろ。まだまだだねぇ」

「ちくしょう」

俺を守ると言うより、まずは見てろって事だろう。先頭のダートが邪魔な草を切り払い、ワーリンが索敵、隣のニットは近場の警戒。アズと俺は左右の警戒をしつつ温存で、シトンとガットは後方の警戒となった。
ワーリンは方向感覚が優れていて、起伏のある森の中であっても真っ直ぐバルタリンドに向かってる。暫く行くとダートとニットが交代し、体力を残しながら草や小枝を切り払っていた。
俺は飛んでしまうから、こう言う事して来なかったんだよな。立派に冒険者してるじゃないか。

「止まれ、前に居る。正面二十ハーンだ」

ワーリンの索敵に掛かったのは木に絡まった大蛇だった。木の塊に擬態して、獲物を待ち構えたり寝てたりするのだろう。俺は《感知》で見てたので移動先に当たらない奴まで確認してたけど、移動先に居るのだけをターゲットにするならば、この距離でも良いのだろうな。
ワーリンの言葉を聞いてガットとニットが交代し、二人は木に登る。アズがワーリンに強化魔法を掛けて戦闘開始となった。多分速度強化かな。
音を立てずに進み寄り、相手の攻撃を誘う。とぐろを巻いた大蛇がワーリンに噛み付こうと体を伸ばすのをひらりと躱し、先ずは左目に右フックを決めた。ぐらりと揺れた大蛇の頭に、樹上から飛び降りたダートの剣が突き刺さる。しっかり手入れしてるみたいだ。間を置かず飛び降りて来たニットが尻尾を捕まえて踏ん張っているおかげで攻撃と移動を阻害する。中々のパウワーだ。その後はワーリンが三十発程殴って大蛇の意識を刈り取ると、ダートが動かなくなった首を撥ねた。

「やるじゃないか」

「まだまだ。血を流させ過ぎだよ」

「血の匂いで敵が集まってしまいます」

「カケルさんに良いトコ見せたかったんだろ。今回はおまけしてやんなって」

「俺なんて見てただけなんだぞ!」

そう言う事ならおまけをくれてやろう。死んだ獲物を仕舞わせて、辺りに流れた血を《洗浄》してやった。

「ありがとう兄貴!」「兄貴!」「あーにきー」

武器持って抱き着いて来んな!刺さりはしないがドキドキすんだろ!可愛くてちょっと臭い弟共を《洗浄》し、先を進む。
 街道から離れた森の中は、実に色んな生き物がいる。最初に仕留めた蛇然り、近付く前に逃げて行く鹿っぽいのや猪っぽい野獣達。何処にでも居るブフリムやゴーラ、久しぶりに見たゲビトみたいなモンスター。モンスターを食って魔石を取り込んだ犬っぽいのや熊っぽい魔獣も見付かった。
熊っぽいのが出た時は俺も手伝ったのだが、

「兄貴が手ぇ出すと棒立ちでつまんねえ」

と、苦言を呈されたので殆ど見学に徹し、回収と解体、アズの魔力タンクと成り果てた。

「うわっ!矢だ!」

この時まではな。《威圧》の壁で辺りを覆い、飛んで来た矢は一瞬止まって地に落ちた。俺を中心に男女ペアとなり三方向を警戒する。
俺は《感知》で見えてたけど、まさか攻撃して来るとは思って無かったので敢えて報告しなかったのだ。報連相は大事だね。

「誰だー?」

ワーリンが矢を放った相手を誰何する。ワーリンにも相手は見えてるみたいだな。

「此処は我等の領地!余所者は排除する!」

出て行けでは無く排除するとは中々物騒な奴だな。まあ、ランナーなんてこんなモノか。声の主が男なので余計に残念感が強い。女ならとっ捕まえてアヒアヒ…は子供も居るし出来んか、残念。




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