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致命傷
しおりを挟む朝飯に肉。これが食えなくなったら歳なのだろうか?肉を焼き、頬張る二人を余所に採れたて実物野菜を生齧りする俺である。勿論肉も食うぞ?見た目トマトで食感はピーマン、味はセロリと言う謎野菜に塩を振って食うのが頗る美味いのだ。普通は煮て食うそうなのだが、寄生虫の心配も無いし生でもいけるだろって感じで齧りついたら美味かった。肉詰めして焼いても良さそうだな。
食事を終えたら食休み。食休みを終えたら作業開始だ。光と水の属性魔石を家の各所に設置して行く。使う所から重点的にやってって、エントランス、厨房、大部屋、トイレ、脱衣場、そして浴室と移動した。階段の足元に埋め込んだり、手元ライトを作ったりしてたら二百個近くあった光の属性魔石なんて直ぐに使い切ってしまったよ。
「おわった?」
「もう倍程作っておけば良かった」
「ゆっくりやれば良いのだ」
エントランスに戻って来た俺に、いつの間にかソファーを作って寛いでるリームとネーヴェが反応する。クッションの中身が気になる所だ。
「種とアマグキを煮ようか」
「種、水漬けてる」
「準備してくれてたのか。偉いぞ」
「ほめたたえて」
「主様、火の板を作ってくれ。絞っては無いが此方も砕いてあるぞ」
「そうか、ありがとう」
厨房に向かい、火の鉄板を三枚作って隅に置き、鍋も作って上に乗せた。そういや種やアマグキは何処だ?
「ネーヴェ、種を鍋に入れたいんだが、出してくれるか?」
「んー」
鍋の上がモヤっとしたと思ったら、ザラザラと種が落ちて来て、鍋に七割程注ぎ込まれ、最後の一粒が落ちた。鍋の中から一粒取って確認すると、しっかり含水して膨らんでいた。ネーヴェの《収納》は時間設定が出来るのかも知れんな。
水を入れて火に掛ける。焦げないように気を付けねば。
「リーム、アマグキを出してくれ」
「うむ」
リームが取り出したデカい盥には、アマグキのミンチが山になっていた。
「もう少し細かい方が無駄が出ないぞ」
《散開》を掛けて粉々にしてやるとミンチがペーストになった。水を足して丸ごと煮てしまえ。煮ながら取っ手を付けた漏斗に雑木濾紙をセットして、お玉で掬ったドロドロを隣の空き鍋へ濾して更に煮る。まあこれだと更に絞ったりで時間が掛かり過ぎるので宙に浮かせて《威圧》で絞る。楽。
「何故初めからそれをやらんのか」
「それはな、後から気付いたからだ」
「成程」
絞り汁と種を《威圧》の手で混ぜたり灰汁を取る。
「手伝う」
「熱いから気を付けてな?」
「私は溶けた岩でも平気」
種の茹で上がりの指示をして、海へミズゲルの核を採りに行く。
「見ても良いか、主様」
「別に構わないぞ。直ぐに終わっちゃうけどね」
アマグキの絞りカスを土に混ぜ込んでいたリームが見に来たが、二百個程度の数なので本当に直ぐ終わる。
「残ったゲルはそのままなのか」
「ゲル版に加工出来るが、やる時間が無くてな」
「《集結》して持って置いたらどうだ?」
「んー、ゲルだらけで見た目も悪いし、そうするか」
死んでるミズゲルを《集結》させて、空に浮かせ、ギュギュッと小さく纏めてく。青くて透明度のある玉になった。滅茶苦茶重いけどちょっとキレイ。海も底が見えるようになったよ。
玄関前に戻って核を加工し、リームに付与してもらったら足りない場所に設置して行った。個室の全てと、龍の巣、それ等を繋ぐ廊下に施行して魔石を使い切った。まだ少し足りないが、続きは明日でも良いや。
「カケルー、カーケールー」
耳元で大声を出されて俺の耳が致命傷を負う。が、ネーヴェは厨房で種等煮てる筈。風魔法で声を飛ばしたのか?両耳を回復しながら厨房へ向かうとやはりネーヴェが種煮てた。
「呼んだか?」
「よんだ。これ、冷やして」
黒糖の鍋はまだちょっと緩いかなって感じだな。もう少し煮てやらねば。
「まだ煮足りないな。しっかり混ぜながらドロドロするまで煮るのだよ」
「量が減っちゃう」
「その分甘くなる」
「なるほど…」
目減りして一喜一憂するようでは乾物なぞ作れないぞ?
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