女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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龍が治める国

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 広場で昼飯を食い、昼休み。岩壁の部屋を一つ借りて種の仕分けをしながら横になっていると、入口から覗き込む小さい奴等を《感知》が捉えた。気になるお年頃なのだろう、気にせず種をお椀に入れて行く。

「お、お前!ヒズラーから来たってほんとか!?」

代表したのか押し出されたのか、男の子が前に出て声を荒らげた。

「正確には違うが家はヒズラーに建てたぞ?」

「なら敵だ!俺のとーちゃん返せ!」

「戦争にも参加してないぞ?冒険者は国のいざこざには関わらなくて良いらしいからな。それに、俺がヒズラーに来る前から戦争してたみたいじゃないか。それにだ。キネイアッセンはどうなんだ?あっちも略奪してたんだろ?」

「う…」「もういーよぅ、やめようよぉ」「やっぱりこの人は関係ないんだよ」

「ヒズラーだキネイアッセンだ言ったが、略奪なんてする奴は唯の野盗だ。お前等を守る為に必死になって戦って守り切ったんだ。それを誇れよ」

この街だけじゃ無いだろう、ウラシュ島全体の蟠りがこの子等の言葉には込められていると感じた。すごすごと部屋を去る子供達に俺が掛けてやる言葉は無い。

「子供等が世話を掛けたな」

「返せと言われてもな」

開け放たれた窓枠から顔を出すボーデンフェルトの顔は渋い。否、暗い。窓枠に腰掛けて何やら長話をしそうな雰囲気をぶった切る。

「子供が真似するから降りろ」

「あ、ああ…」

「戦争で死ぬのは兵隊だけで良いのにな、困ったもんだ」

「…そうだな」

「窓と扉、作ってくんね?」

「こ、此処のか?随分と唐突であるな」

「後で一つずつ見本を見せるから、真似てみてくれ」

「了解した…。カケル殿に聞きたい」

「何だ?」

「カケル殿は、命をどのように考える」

「敢えて言うが、この世界の命は軽過ぎる。悪人が居て、魔物が居て、怪我や病気があり、老いて行く。それで居て弱者を守る為の対策は無いに等しい。国や街の長たる者はそれを守る義務があり、その為に税を納める。そんな事が出来て無い」

「成程。戦で負けるのは国や街の所為と言う訳か」

「違うな。国のせいで戦争する羽目になるんだ。民に学を与えないから収量が増えず飢える。魔法を貴族が、魔道具を魔法ギルドが独占してるから魔物を減らせず怪我をする。食えないから奪い、そして被害者が出る。国の政治が出来て無いせいで人の命が軽くなっているんだ。
ボーデンフェルト、お前は戦争でどれくらい殺した?」

「数えた事も無い」

「それでも戦争が終わらなかったのはお前に学が無かったからだ。人を効率良く殺す知識がな」

「戦場に出て戦うだけでは足りなかったと言うのか?」

「上陸する前の船を潰せよ。出港する港を潰せよ。王城を潰せよ」

「あ…ああ…。我の所為か」

「それも違うからな?侵略して来た奴等のせいだ。勘違いするなよ?」

「だが、我が浅はかなばかりに戦火を伸ばしてしまった事に変わり無い」

「ボーデンフェルト、この島を国にするつもりはあるか?」

「…お前を王として、か?」

「否、王はミーネでどうかと思う。長生きだぞ?」

「龍が治める国、か…。他のものに知れたら人の子の真似事と揶揄されるだろうよ」

「人の子の傍で生きる龍だって居るだろ。其奴等が楽しく過ごせれば良いじゃないか。他のは関係無いぜ」

「我が命はこの街に捧げる物としている。それが国になるだけの事。協力しよう」

「先ずは窓と扉な」

「ふっ、了解した」

 選別していた種を片付けて、寝てる二人を起こさぬように部屋を出る。壁の出入口から外に出て、すぐ側に生える木の元に降り立った。

「一先ず一本あれば良いな」

根元から《収納》し、枝と皮を剥いだ丸太にして外に出す。

「乾燥させないと歪むし腐る。方法に依っては三年程掛かるが、お前ならどう乾かす?」

「それでは時間が惜しい…。火で炙る、か」

板なら良いが反りが来そうだし、丸太だと割れてしまうかも知れないな。



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