女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
574 / 1,519

肥料が足りない

しおりを挟む


 バリアフリー。地球ではこれをやらないと色々な所から文句が出るし、やればやっただけ仕事した気分になると言うお手軽仕事であった。実際に施行するのは業者であって、発注する奴はコンクリも練らなければコーンも立てないのである。だが施行する事で非健常者の快適度が上がるのは事実なのだ。
施行する場所と予算があれば、だがな。俺が以前在籍していた課では、新規の施行箇所も新規に建てる建物も無く、それでも予算を得る為に施行する必要の無い施設にまで粉を掛けて顰蹙を買っていた。

「成程。主様の作られた方が使えなくなった場合、動けぬ人の子が取り残されてしまうと言う事か」

「けど、坂道、長い」

「人の歩幅は同じじゃない。階段は歩幅を同じにしてしまうから、歩幅が合わない者は疲れてしまうんだ。そして歩く速さもまちまちだ。前に遅い人が歩いていたら、その後ろは渋滞してしまうだろ?」

「ふむ~」

「移動距離を短くしたい意図は解る。けどこれだと荷車が上げられないよな?」

「たしかに。直さなきゃ」

ネーヴェも理解してくれたようだ。ドロドロの生煉瓦を流し込み、キュッと固めて階段を無くすと、再び穴を切り取って行く。勾配十%以下を目指して切り取ってもらったが、これを歩き続けるのも実はかなりキツい。が、この対策は今は出来無いので後回しだ。西側と同じようにスロープを作り、廊下や部屋を切り出して、落下防止のブロックや屋上出口の屋根等を付けたらがわの完成だ。作り直した場所があっても俺がやるより早いのは、流石龍だとしか言い様が無い。

 今日も広場では奥さん連中が集団で飯を作ってる。井戸端会議の延長であるそれは、食い物に差が無いからこそ出来る事なのだろう。昼飯までにはまだ時間がありそうなので、外の雑野菜を更新しに行こう。

「島で食うにはまだ土が弱いな」

「肥料が足りないか」

「出来れば一度、森にして鋤き込んでしまいたい所だ」

「なら、種を取ったら半分程森にしてしまおうか」

「心得た」

空に上がり、奥の門から半分程のエリアに魔力を注ぎだす。茂って枯れる野菜から種を浮かせて寄せて来る。纏まって雑多になっちゃってるので後で仕分けしなきゃな。
地面から野菜が無くなると、薪や建材になる木を風魔法で切り刻み、ドバババッと地面に射出して成長させた。間伐も枝打ちもしないので、水瓶と道以外密集した木で隙間無く埋まってしまった。それでも成長を止めないので密着し始める。島の複合施設みたいだな。
そいつをネーヴェが風のグラインダーで粉々にして行く。イゼッタの魔法を真似たのか。魔力と音に驚いたボーデンフェルトが飛んで来たが、俺達が作業してるのを見て静観するみたいだ。
おが屑と土をリームが混ぜて、混ぜたのをネーヴェが腐らせる。湯気の立つ赤黒い土が出来上がった。俺、何もしてないので水撒きます…。

「主様の水は魔力が多くて良い。普通の人の子ではこうはならん」

褒めて伸びる子なので頑張ります。手伝ってもらって素早く終わらせたけどね。

「カケル殿、奥の方まで収穫は出来ん。建材や薪の為の林にして貰えぬだろうか?」

静観していたボーデンフェルトが口を出した。確かに往復六十キロハーン掛けて収穫するのは移動だけで一日掛かりだな。森の中心に収穫村が出来るまでは森林にしても良いだろう。

「リーム、枝打ちは解るか?」

「分からんが、必要ならば教えてくれ」

枝を払って材の質を高めたり、日を林内に入れる事の意味を教えてやると、何となく理解したようだ。

「風呂と食堂のある木のようにする訳だな。不自然に枝が無いと思ったが、そう言う事か」

「手間が掛かるからそこまで気にしなくても良いよ。十ハーン間隔で植えて、枝が重なるようなら切れば良い」

「やってみよう」

リームが真上から植林したり枝打ちをした結果、木が円柱状に剪定された。そうじゃない感で一杯だが、今直ぐ使う訳で無し、そのままにしておこう。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...