女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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信じるか信じないかは相手次第

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 片付けを終えた皆が食堂のテーブルに着き、今後の身の振りを話し合う。
子供達の殆どは帰宅を希望した。当たり前だよな。その内の二人は両親が、と言うより集落が滅ぼされた孤児だそうで、帰れなくて泣いた。九歳と十二歳、幼馴染だそうだ。
 帰りたい子供達は四人と二人、それぞれ同じ集落の生まれだそうだが、困った事に住んでた集落が分からないと言う。森の有無でウラシュ島か否かだけは分かり、結果、二人の方はウラシュ島の何処かだと思われる事が分かった。
 大人四十六人は個人の都合によりバラけた。借金奴隷の二十四人は、帰る家があっても帰りたくないと言う。帰っても再び質草にされるだけだからだそうな。
帰宅希望者は二十一人。何れも住んでいた場所を覚えているので帰れそう。
バジャイは飼う。此処を新しい縄張りと定めたようで、今は床で寝てる。

飼育一
残留二十六、内子供二
帰宅希望二十七、内子供六

となった。雑木紙に書き出しておこう。

「希望は聞いた。だが先ずは、奴隷紋を消してやらねばならんよな?」

「そんなお金なんて…」

「私等は借金奴隷だし…」

「拉致されたお前達は無理矢理されたんだよな?」

「ああ。殴られて犯されて」「殺されたのもいたよ」

「奴隷紋を消すのはこの島では無理らしい。なのでキネイアッセンかヒズラーに行ってする事になる。俺は金持ちだから金に関しては心配すんな」

「どうしてそんなに世話してくれんのさ?」

「アタシ等にゃ体しか払えるもんがないんだよ?」

「ぶっちゃけ偶々だ。船が来て、奴隷を積んでたから罪人を労働力にしたが、お前達はその序でしか無いんだ。バジャイは此処に住むって言ってくれたが、お前達は拉致されたんだし強制出来ないからな。けどそのまま返しても紋付じゃ真面に生活出来んだろ?それに、せめて体くらいキレイにして帰さないと俺が疑われるわ」

俄に騒がしかった女達が静かになった。帰宅希望者は帰った後の事を考えていなかったようで、顔に影を落としている。例え無傷だと言い張ったとしても、信じるか信じないかは相手次第だからな。

「借金奴隷のお前達は、出来れば街の住民になって欲しい。仕事は今の所収穫作業くらいしか無いが追々増える予定だし、飯は今の所只だ。家は此処でも良いが、対岸にも今作ってる」

「おまんまにありつけるだけで充分さ」

「昨日までに比べりゃ何処でも天国やね」

「でだ。明日は知り合いの居るヒズラーの街に行って、奴隷紋の解除の方法とかを聞いて来るつもりだ。なので明日帰ると言う訳には行かない。理解してくれ」

「アタシ等はいつだって構やしないよ」

借金奴隷は骨を埋めるつもりだな。

「私等は、もう少しだけ考える時間ができたと思う事にするよ」

拉致被害者はもう一度考えた方が良いだろう。

「パパとママに…ううん、がまんする」

女児達は必ず帰す。家族に会いたいと言うのをグッと堪えたのは集落を焼かれた二人に気を使ったのだろう。優しい子等だ。

夜更かししたせいで子供等が船を漕ぎ出したので解散とした。寝てる子とバジャイを浮かせて子供を部屋に安置。バジャイは上に連れてこう。

「話、終わったの?」

居間に敷いたマットで横になるネーヴェはまだ起きていた。

「明日、カロの所に行って奴隷紋の解除法を聞いてくるつもりだ」

「支配魔法か。我には扱えんな」

「リームも起きてたのか」

「簡単」

「何がだ?」

「かいじょ、簡単。時間を戻す。そんだけ」

「ネーヴェに負担になるような事は出来るだけさせたくないんだがな」

「魔力くれたらやったげる」

「俺、干からびちゃわない?」

「だいじょぶ。箱に付与するのと変わらない」

明日になったらその事を説明し、先ずは帰る者を優先して施術する事になった。彼女等には、予定がコロコロ変わって済まないと思うが、人の考えの遥か上を行く存在が居るのでしょうがないのだ。
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