女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
667 / 1,519

晒し首

しおりを挟む


「なあカケルよう、またダンジョン行こうぜよーう」

俺が顔真っ赤にしたサブマスから金を受け取っていると、構って欲しそうなジョンが声を掛ける。

「良いのか?」

勿論ジョンでは無く目の前に居るサブマスに聞く。

「え、らめっ」

「ダメだそうだぞ」「っざけんなよ」「あ!ダメじゃないです」「どっちなんだよ」

とんだコントである。
ジョンの希望は叶えられるようだが、仕事の調整が終わってからになるそうだ。大体十日程掛かるのをゴネにゴネて七日に負けさせていた。暖かくなって個人からの依頼が増えて来るこの季節は色々忙しいのだとさ。寒い時期は勝手に凍死するケブ見たいな小物が、暖かくなって悪さしだすとか何とか。

 小銭を貰って俺用出入口から外に出る。時間はまだ昼前で特にする事も無し。作り置きした飯を消費したいのでヤリ部屋でまったりする事にした。

「おかえりなさいませ、カケル様」

ヤリ部屋の玄関先で待ち構えていたのは貴様だ。

「何かあったか?」

「昨夜遅く、かの方が襲われました」

此処で話す内容では無いが急いだ方が良いだろうな。

「被害は?」

「護衛の全滅、メイドとかの方は連れ去られました。冒険者は逃亡」

「…飛んで行く。案内しろ」

「御意に」

「それと、冒険者は晒し首な」

「御意」

ノーズコーンを取り出して先に乗り、背中を抱くように貴様を乗せたら直ぐに発射する。

「お前はどうした?」

「怪我をして離脱しております」

「強かったのか」

「騎龍が出たそうです」

「野盗の振りも出来ないくらい焦ってる?」

「アルア様が殊の外お強かったそうで」

「あの兄妹天才だからなぁ」

「カケル様、そろそろです」

話を聞きながらアルア一行が襲われたと言う場所の上空に到着。街道には、血と、壊れた鎧に荷車が散乱しており、野獣等に襲われた風を装ってあった。夜の内に少なからず食われてはいるだろうがな。
 《感知》で見ると、荷車が移動したであろう轍と、騎龍の飛び立った跡が確認出来た。

「アルアは騎龍で連れてかれたか」

「轍で移動した痕跡は罠ですか?」

「メイド達だな。俺は、見捨てねばならん」

「問題ありません。主を生かしてこその従者ですから」

「アルアが傷付く。出来れば避けたい」

ゾーイ車の移動距離等高が知れている。轍の上を移動しながら《感知》範囲を伸ばして進むと林の中にゾーイと車輪を潰された客車が目に入る。生命反応はあるが、急いだ方が良さそうだ。

「カケルだ!生きてるか!?」

見覚えのある客車に声を掛けると、中の反応がモゾりと動いた。恐怖に絶望、悔恨の感情を垂れ流し、ドアを開けたのは知った顔のメイド長であった。

「カ…、カケル様…。お嬢様…お嬢様がっ」

「暗部から話は聞いている。先ずは体を暖めろ」

林の木を数本《収納》し、以前旧王都の森で作った家を出してやる。捨てなくて良かったぜ。メイド達を中に入れ、光と水の棒、火の鉄板、雑木マット。そして作り置きの飯を出す。

「後は自分達で出来るな?」

「それよりも早く!お嬢様をっ」

「当たり前だ。アルアは何処に向かった?」

「は、はい。街道から逸れて北に向かいました。ですが、其方の方角には街等はありません」

迂回したか。それとも隠れ家でも作ってあるのか。アルアを死なせるだけなら掘っ建て小屋でも良い訳だが、それなら連れ去る意味すら無い。

「行って来る。貴様は此処で護衛してくれ」

「御意に」

外に出て空に上がる。《感知》を伸ばして生命反応を拾ってく。人以外の反応しか無い。
焦るな!落ち着け…。
移動しながら《感知》を重ね掛けして多方向を探し、移動し、探す。

「クソっ!海を越えられたら益々捜し難くなっちまう」

視界の先に海が見えて、独り言を吐き捨てる。貴様に報告を受けた時から俺は焦って居たようだ。部屋に入って聞いていれば時間を掛けて考えられただろう。島に居るだろうリュネに助力を乞うても良かったかも知れん。否、多分それが正解だろう。
メラメラと魔力が溢れ、俺の視界は真っ暗になった。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...