女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
668 / 1,519

アルアイア・メルユーチヒ・シュワイトリンゲン

しおりを挟む


「なっ!?」

目の前が暗くなったと思ったら薄ら明るい空間に居た。

『ご飯!ご飯じゃない!ご飯!』

『俺はご飯じゃないねぇ…』

「強い魔力を感じてみれば、やはりお前か」

人語が聞こえて振り向くと、巨大な青い龍だった。するとこのはあの時の男の子か。

「カケルだ。俺を餌にするのか?」

「…そんな事をしたら我等に明日は無いだろうよ。魔力を制御も出来ぬ程、お前は焦っているのだな」

「ああ。かなりな。知り合いが連れ去られた。しっかり考えて行動すれば良かったが、後悔してる時間も無いんだ」

「成程の。我はお前に礼をしたいと思っているのだ。力を貸してやっても良い」

「願っても無い…、けど良いのか?この子が放ったらかしになるぞ?」

「人を捜す等訳無い事よ。直ぐに終わる」

「では、頼む。アルアを見付け出して欲しい」

深く頭を下げる俺に青い龍の鼻面が伸びる。あ、何か覗かれてる気がする。抵抗は無意味だな…。

「お前は異世界の者だったか」

「神二人を処分させた男だぜ」

「神殺し…良い響きよ」

「一応秘密にしといてくれ、人の子には刺激が強過ぎる」

「そうよの。では探すとするか……」

青い龍が目を閉じて、構ってちゃんがぺろぺろしだす。数ピルもしない内に、目の前に何かが現れた。

「ひっ!ここは!?」

「アルア!」

「ひゃっ!カケ…ドラゴン!?」

俺をペロってる龍を見て腰を抜かすアルアだが、何とか手を翳して魔法を打つ素振りを見せた。

「落ち着け。恩人の息子だぞ?」

「恩人…?」

「それを言うならば恩龍であろうよ」

振り返ったアルアは気絶した。雑木マット出すか…。

 子龍にトカゲの魔石を与えてペロらせてる隙にアルアを介抱し、漸く落ち着いてもらえた。

「まさか、物語のドラゴンを見られるなんて…」

冬を連れて来るドラゴンの話は身分を問わず聞かされる寝物語の一つだそうで、話し手により色々脚色されると言う。アルアの家では絶対の力と繁栄を齎されるのだとか。まあ、間違いでは無いな。

「ドラゴン様、お助けくださり感謝の言葉もございません。このアルアイア・メルユーチヒ・シュワイトリンゲン、一生の感謝をささげます」

「要らぬよ。これはそこの者への礼をしたまでの事。礼に礼を返されてもお前では返す事も出来まい」

「そんな…」

「あう…あ…」

平伏するアルアに辿々しく人語を使う子龍が鼻っ面を伸ばす。触れるか触れないか、鼻息の掛かる距離にアルアは動けない。

『食べちゃダメだよ?』

『食べないよ!親、アルア、良い子?』

『さあな。この者が仲間と言うならば、良い子なのだろう』

『良い子、食べない』

悪い子も食べないで欲しいが、取り敢えず餌認定はされなかったようだ。

「この子のお友達になるか?」

「人の子と、龍がか?…お前のように幾つもの龍を従えるようにするつもりか?」

「俺とリュネ達は家族だ。俺なんて直ぐに死んじまうけど、それまでは家族だし愛してる」

「カケルさぁ~~んっ!!」

リュネが来た。飛び込まれ、抱き締められて顔が幸せでパフパフ。

「グリュ…お前、見ていたな?」

「愛するカケルさんが年増の魔の手に堕ちないか見張っていただけですっ!」

「リュネ、あまり悪く言うな。俺の恩人なんだぞ?」

「カケルさん、この龍は私達の母です。だから年増で合ってるんですーっ」

「なん…だと…?」

知り合いとは聞いていたが母親かよ…。期せずして家族と顔合わせしてしまったのか。

「娘を生き長らえさせた礼もしなくてはならんな。それに、ミネストパーレに龍殺しの汚名を付けなくて済んだ…。礼を尽くしても尽くしきれん」

「礼はリュネ達から貰ってるから気にしなくて構わないよ」

「どうやら、そのようだの…」

頭ん中見られてるし、理解も早いか。

「だがこの礼は必ずする。龍の約束だ」

「母さん!」

リュネが大きくなって怪獣大戦争に発展してしまう前に帰ろう。子龍とアルアは何となくだが仲良くなった気がする。二人して蚊帳の外だったからかな?

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...