女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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未経験

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「いらっしゃいませカケル様、お待ち申して居りました」

鉄扉を開けてくれたアルネスに聞いてみる。

「カロが休んでるそうだな」

「はい。十日前からギルドをお休みされております。ささ、どうぞ中へ」

歩きながら話を聞くと、やはり産休であるそうだ。イゼッタ達もそろそろだと言うと、其方を優先すべきだと返されたが、産む場所等を相談したい旨を伝えると、それなら当家で、と家主の許可も得ず決めてしまった。

「姫様が当家で!?ならば私は外で構いません」

「馬鹿め落ち着け」

話を聞いて、慌てて起き出そうとするカロを押さえ付けて撫で回す。

「はにゅ~…」

良し。一緒に横になり、おっぱい揉んだら落ち着いた。張りが出てるな、モミモミ…。

「カロの所では助産師はどうするんだ?」

「はい。家政婦組合からお呼びする手筈となっております。明後日からは泊まり込みで付いてもらう予定です」

「そこにイゼッタ達三人が来ても大丈夫だろうか?」

「それは問題無いかと。同時に産まれると大変でしょうが、その分人を集めても構いませんから」

「ではカロ邸に厄介になるよ」

「お部屋に関しては、主寝室にお嬢様。二つの客室を姫様達三方の寝所としましょう」

「アルネス、それは畏れ多い」

「普段使いなされてるお嬢様のベッドに姫様を寝かせる方が問題かと…」

「俺、出産未経験なんだが、ベッドとか汚れたりするのか?」

「私も未経験です。ですが、シーツや敷物は取り替えると聞いております」

「なら、雑木マットの方が取り替えが利いて良いかも知れんな」

「姫様達が使い慣れているのでしたら、それも良いかも知れませんね」

名残惜しいが揉む手を離し、客室のベッドを替えに行く。貴族の家らしい立派なベッドだが、汚したら悪いだろうしな。《収納》して、マットを厚く敷いて行く。使わないであろう他の家財道具も《収納》して、三床分のスペースを確保した。

「客室が余りましたね」

「助産師を増やすなら休憩室も作らなきゃな」

「成程。でしたら其方の部屋にもこのマットをお願い出来ますでしょうか?」

そんな訳でもう一つの客室にもマットを敷いて行く。家財道具を《収納》し、雑魚寝なら二十人は寝られるスペースとなった。

 一息着いて、カロの元に戻ろうとしていると、エージャが来てる反応があった。謎感知ではなく、ちゃんとした《感知》だ。

「エージャが来てるみたいだ。外に出よう」

「え?はい」

「カケル様!カケル様ぁ!」

何時ものおかしなテンションじゃない感じで俺を呼ぶエージャ。何かあったのだろうか。

「どうした?」

「先約があると言うので断られました。斬って捨ててもよろしいでしょうか?」

「止めんか。先約の中身は俺の子だ」

「私の中にもお願いします!」

「その内な。アルネス、増援の件を含めて話を通して貰えるか?」

「畏まりました。お嬢様にお伝えしてから向かいたいと思います」

明日も来ると告げ、俺とエージャは寝具店に戻る。

「あばぁ~」

「おにーたんでちよ~」

義弟と戯れる時間くらい、俺も欲しいのだった。義弟の名前はメッツ君となった。父の名の名残は消えてしまったな。きっと美男子になるだろう。


 エージャにカケリウムを補充して家に帰り、イゼッタ達にカロ邸で厄介になる事を伝えた。明日から行くと言う事で、服やら色々準備してる。やってるのは主にメイドだが。
手伝いは要らないと言うのでもう一つの問題解決へ向かう。

「ええ、私達もそろそろかと…」

ラビアン達もそろそろらしい。腹ボテのニト母と、同じく腹ボテのニトがアイツを舐りながら教えてくれた。唯、ラビアン達は島の中で産めると言う。今まで自分達だけで産めて居たと言うので信じるが、道具だけでも揃えてやる事にした。
赤ちゃん大合唱が始まるのか…。防音施設、作るべきかな?

「赤ちゃんの部屋は作った方が良いか?」

「んっ、んちゅ…。でしたら、男の子部屋で充分だと思うのです」

「なら男の子部屋に防音を付与してもらおうか」

「そんなのも要らないのですよ。ラビアンは泣かないので…はむっ」

「ぷは。野獣を呼んでしまいますからね…れろ…」

此方の問題は何とかなりそうだ。

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