女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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異世界人の平民

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 翌日。妻三人にメイド三人、そしてテイカを連れてバルタリンドへ向かう。ママ上殿とメッツ君に挨拶し、荷車を出してカロ邸へと移動した。

「皆様、お待ちしておりました。お嬢様も近々ですのでご挨拶等出来ず申し訳ございません。どうぞごゆるりとお過ごしくださいませ」

リアが居るので腰を折る角度が一段深く、挨拶長めのアルネスである。挨拶を済ませて玄関前まで移動して、荷車から妻達を降ろしたら、浮かせて客間へ連れて行く。

「そろそろとは言え、挙って来る事も御座いませんでしょう。ゆっくりお茶を頂く時間くらいは、赤ちゃんも待ってくれますよね」

待ってくれるのか?産まれたら聞いてみたい所だ。

「人それぞれだと思いますけど、なんでこんなに待っててくれてるんですかね?旦那さまが来るのを待ってたんでしょうか?」

待ってたのかな?これも聞いてみなければ。

「皆と他の人の違いなんてトカゲ食ってるか否か、くらいしか無いんじゃないのか?…ああ、後は俺が特殊なんだったわ」

「産まれたらおちちしか飲めない」

お肉も甘味もお預けな訳か。

「成長したら、離乳食はトカゲでハンバーグ作ってやるぞ。それまではおっぱい貸してやるからたっぷり飲みやがれ」

イゼッタのお腹に抱き着いて、小さな命に語り掛ける。蹴られた。

「けった」

「ママを泣かせたらトカゲバーグ作ってやらんからなー。頭からスポンと出て来いや~」

「イゼッタさんの赤ちゃんは元気いっぱいですね!わたしの子は大人しい子みたいです」

「よしよし。良い子には黒蜜豆腐を離乳食にしてあげよう。女の子だったらパパのお嫁さんにしてやるからな~」

「ん…。嫌みたいですよ?」

解せぬ。パパ泣いちゃうから。サミイのお腹を撫でるがあんまり反応してくれなかった。

「カケル様、私のお腹も撫でて下さいな」

「はいはいよしよーし。…よく学べ。友を得よ。心を磨がけ…」

「理解しているかどうか分かりかねますね…」

「産まれて来たら詳しく教えてやるからな。今は力を貯めておけ~」

お茶を飲んだりお腹に語りかけてると、アルネスが女達を連れてやって来た。家政婦組合から派遣された産婆とお手伝い達だ。互いに挨拶を交わし、イゼッタ達を連れて寝室となる客室へと行ってしまった。産むまでの話を詰めるらしい。
そんな訳で、絶賛ボッチなうである。親父殿が酒場で管を巻いていた気持ちが解る。暇過ぎて居た堪れないが外に行く訳にも行かず、近場で暇を潰せるのが酒場であり、不安感を拭えるのが酒なのだろう。

「名前、考えなきゃなぁ…」

ママ上殿の所は良い名を付けたが、我が家はどうしよう。サミイは名付け方の手本があるので良しとして、貴族と元貴族の三人だ。音の流れだけで決めて悪い名を付けてしまった。なんて可哀想だしな。
異世界人の平民が考えた所で解決する事も無し。分かる人に相談するしかない。

「アルネス~、ちょっと良いか?」

「はい、如何しましたか?」「カケルさまぁ~」

カロの寝室へ出向くとカロがおろおろしていた。リアに挨拶も出来ず不敬だ何だと落ち着かなくなっていたようだ。撫でてあやす。よしよし落ち着け~。

「カケル様、ご用は何でしょう?」

「ああ、子供の名前についてだ」

「カケリュ様ぁ、私の子に名前を頂けるのですか~」

「ダメだったか?」

「とんでも無い!待ってましたあは~ん」

泣いてしまったカロをあやす。よちよち。

「俺は貴族じゃ無いので貴族の名付け方を知らんのだ。名付け方にルールがあるなら教えてくれないか?」

「でしたら別室にてお教え致しますので、フラーラ様ノーノ様を交えながら考えましょう」

「カケル様、行かないでぇ~」

「甘えん坊さんめ。お腹の子に笑われるぞ?良い名前考えて来るから楽しみにしとけ」

「はい…。キスしてくださいまへ…ん、はむ…んちゅ」

少しは落ち着いたかな?アルネスを連れて客室へと向かった。
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