女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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「あ、カケル~」

客間に行くと、身重が三人思い思いに過ごしてた。こっちも初産だろうに落ち着いたもんだな。

「カロにお前達の落ち着きを分けてやりたいぜ」

「わたし達はママのを見てますからねー」

「前例がある事でだいぶ助かっております。ママ上様には頭が上がりませんね」

「我々も出産に立ち会えた事で幾分か気構えが出来ている。幾分か、だがな」

  「内心ドキドキです」
「フラーラとノーノに貴族の名付け方を聞きたいのだが、少し借りても構わないか?シャリーはカロを、テイカは此処で様子見を頼みたい」

「分かりました」「お任せ下さい」

「ああ、旦那さん。ちょっと良いかね?」

見た目からして産婆さんな婆ちゃんが話し掛けて来た。

「なんだい?」

「まあなんだ。ここで話すのも娘さん達が落ち着かないだろうし、他所で話そうかね」

名付けの事もあるので婆ちゃん達を連れて客間へ移動した。

 客間に着いて、お茶が出るのを待ち、婆ちゃんの話を聞くと、貴族相手に産湯を使うのは初めてと言うのだ。

「冥土の土産になるな、良かったじゃないか」

「姫様の赤子を取れるのだ。名誉に思うが良い」

「あたしゃ不安しかありませんよ。やれる事をしますけどね」

「みんなそうだよ。姫も平民も関係無い。危なくなったら俺が回復する。だから気負わず行こう」

「回復魔法があるなら…。そうだね、しっかりしないとねっ!旦那さんも良い名前、付けたげなよ?」

「それを今から話し合うのさ」

  「カケル様、名付けのルールを説明しますね」
賢者ノーノの話はこうだ。
基本は名・姓・領地。イゼッタ・シンプロン・ナーバーグが良い例だな。カロ・メリクヒャーは領地無しって事だ。カケル・カリバは平民なので姓を名乗らない。なので名付けは名前だけを決めれば良い。
この辺りは俺でも予想出来た。問題は名付けのタブーだ。
 貴族によくある、偉人や先祖の名前を貰うのは良くないそうだ。そもそも俺には分からないのでその辺はノノペディアに頼るしかない。カルメリア・ミラルダ・アフマクシア。リアの本名カルメリアは曾祖母の名を頂いた物だと言う。婆ちゃんも知ってる名前だそうだ。
 次に、濁音を使うのも良くないみたい。特に女の子。イゼッタは災難に遭ってたし、ママ上殿も親父殿と一緒に野盗に襲われてたな。何だか実例があると納得してしまいそうになるが、たまたまだろ、とも言えなくもない。外に出れば何れこう言う事もある世界だからなぁ。
 最後に、短い名は良くないそうだ。カロェ…。

「お嬢様の名前はカルメリア公妃様の略称から頂いたと聞いております」

「名前の由来が同じだったのか」

  「カロル様ですね」
ロは何処から来たのだろ?カールだと足速そう。フランス語だとシャルル何とか…だっけ。名前だけ聞くと可愛く感じる不思議。

 《並列思考》をフル回転させて四人の名前を考える。男女が分からないから二つずつ…。否、見た目のインスピレーションもあるから三つくらいずつは考えなきゃ。

「アイシャ、アウール、アエリア、あお…あおぉ…」

「全部アが付くのか」

  「思い付く言葉を並べまくってますね…」
「まあ、男の名付けなんてこんなモノですよ。家の人もね……」

必死に名前を考える俺を余所に、婆ちゃんの経験談に花を咲かせるメイド達であった。聞き耳を立てて情報収集を謀った結果、女親が付けてしまう事が多いらしい。もしかして、メッツ君もママ上殿が命名したのか?流石に妻や貴族の初子は俺が付けてやらんといかんだろう。

 昼飯と夕飯を寝室で食べたら産婆と手伝いは帰って行った。その後、アルネスが催促するので皆を風呂に入れる事になり、全員浮かせて後ろからメイドに押されて浴場へ。

「お腹が軽いです!」「ん」「楽ですね」

服を剥かれて掛け湯され、静かに湯に漬けられた。
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