女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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家に居ても暇なお父さん

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「結界は何処まで広げてあるんだ?」

ミーネの事だからそこまで膨大な範囲にはしないだろうが…。

「愚妹の作った柱迄だ。沖は深過ぎて私の手には余るからな」

そう聞いてホッとする。リームの作った防衛用施設は、島と本土を半円に繋げてあるデカい柱と通路だ。高さがあるので人は上がれないし、本土からは岩壁を降りて行く事になるので梯子とか用意しないと帰って来られない。俺や龍が着いて攻撃を打っ放す専用の場所となっている。今の所使われてはいないがな。それが陸の中心から大体二百ハーンくらいなので、大陸棚ギリギリに作ったようだと伺えた。

「カケルー」

「カラクレナイも何かあるのか?」

「カララ、小さくなってもいくなったの」

「そうか、よく頑張ったな」

「えへ~」

「もう小さいままでも成長に負担になったりしなくなったのか?」

「ああ、問題無い。旦那様のあの玉のおかげだな」

狩った獲物を飴玉みたいにしたアレだな。これからも与えて欲しいと母は言うが、ボーリング球サイズは食べにくいだろうから、もっと小さくしなければならないな。

「ちっちゃくなるから外出るの」

そう言って外に出て行く巨大カラクレナイ。

「ネーヴェは無いか?」

「ない。あ、テッチー達と遊ぶ」

「ここでか?」

「んにゃ、あっち」

「そうか。更地にしないようにな」

「ん。行ってくる」

食堂から出て行くネーヴェと入れ替わりに入って来た赤い髪の少女に、俺は目を見張った。

「カラクレナイ!」

「カケルー!」

女児の姿も天使だったが、大きくなったカラクレナイもまた、天使だった。背丈はラビアンサイズ迄成長し、他の所も成長したようだ。上気した肌はそれでも白く、抱き着いて潰れる二つ山も頗る柔らかい。赤い尻尾を振り回し、喜んでるが危ない。

「服は無かったのか?」

「急いでたの」

「俺は逃げるのは得意だが、カラクレナイを待つくらい何でもないぞ?」

撫で散らし、舌を絡めると服を着ると言って出て行った。そして目をハートにしたリュネも着いてった。多分だが、時間が掛かるだろう。

 ミーネとリームはウラシュ島に行くと言う。俺もと思ったが着替えたカラクレナイが出て来た時に居ないと臍を曲げそうなので出掛けられない。因みに龍にも臍がある。人型だけでなく、デカい状態でだ。何故かは分からんが、鮭の稚魚みたいに栄養分が臍の辺りに付いているのだろう。殻を割った時には付いてなかったので、外に出る頃には全部吸収されるのだろうな。
家に居ても暇なお父さんなので、居間でお茶をしながら子供のおもちゃでも作る事にした。
作るのはやはり紙製。雑木紙にボールペンで設計図を描いて、それに従い切り出して行く。直径×π…、円周を六分割して…、コンパスで切り取り線を…。
で、空気を入れて出来上がったのがこれ。紙風船だ。

「…玉?」

「丸めた紙が大きくなりましたね」

やはりシルケ人にはウケが良くない。

「イゼッタ、この穴の中に光の粒を少しだけ入れてくれ」

「ん?んー」

ごにょごにょ言って魔法を放つ。すると女達の反応が変わった。

「これはキレイですね」

「ママ上のトコで見たかも」

イゼッタは寝具店の裏庭で食事した時にシーツで作った折り紙風船に光を入れたのを覚えていたようだ。他の者は見た事無いので純粋に見入ってる。

「目は見えなくても光は感じるからな。音と光で楽しんでくれると嬉しい」

紙風船の中には玉にした紙が入ってるのだ。浮かせて動かすとカサカサ言う。起きてる子が目で追ってるよ。何だこれ?みたいな顔してる。

「紙だけど木だからな。早々壊れはしないだろう」

「壊すような事をするのですか?」

「手で叩いて飛ばすんだ。見てろ?」

紙風船を手に乗せて、ふわっと浮かせて手で叩く。ポスッと鳴って飛んで行くのをバジャイが飛び付いた。バジャイ、此処に居たのか。

「食べられない」

「食べたらダメだねぇ」

「もう少し大きくなられたら遊べそうですね」

「だろう」

その後、女達がポスポスし始めた。
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