女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
752 / 1,519

青と白の猫

しおりを挟む


 ベルベットスキンを逆立てて、四足になって威嚇するバジャイに皆が引いている。俺は何とか宥めようと抱き着いて撫であやしてやるがあまり効果は無いみたい。

「お前です」「貴様です」

「貴様って何の獣人だっけ?」

「はい。虎人でティグリアンす。もしかして、その方がお怒りなのは私のせいですか?」

「近い種族だから縄張りを荒らされると思ってるんじゃないか…と思う。
そんな事しないからな?落ち着けー」

バジャイを抱いてベッドに寝かせる。

「大丈夫だぞ。俺が居るだろ?二人共俺の群れだ。仲良くな?」

「あー!あえあえあー!」

呻き出すのを強く抱き締め俺の匂いで包んでやると、暫くして落ち着いてくれた。ベルベットの肌触りも元に戻ったよ。二人には、と言うか貴様には悪いが二人は他の部屋で休んでもらう事にして、その日はバジャイを抱いて寝た。

 ちょっとした騒動はあったが、朝には威嚇しない程度に落ち着いてくれたバジャイは、今朝も俺にベッタリで焼肉食ってる。野菜もお食べ。


 UFOに暗部の二人とイゼッタ、シャリーが乗り込んで、くっ付いて離れないバジャイを何とか宥めてるのだが珍しく我儘さんだ。

「一緒に来てもバジャイは目立つからなぁ…。困った」

「バジャイ、離れたくない」

「せめて肌が見えない服を着てくれれば良いんだが。バジャイ、一緒に来るなら服を沢山着なきゃいけないんだ」

「うぅー…」

「それとも乗り物の中でお留守番出来るか?」

「カケル…さまぁ…。いっしょがいい」

ああもう!捨て猫みたいな顔すんな!抱き着いて撫で回し、チュッチュする。

「服を着てもらうぞ。嫌なら連れてかない!リュネ、黒っぽい皮を分けてくれ」

「はぁい。こんなので良いかしら?」

結構デカい、熊っぽい野獣の皮だろうか。焦げ茶の毛の皮だ。《散開》で毛を落とすと白っぽい生皮が現れた。茶色いのは毛だけだったか…。《伸縮》してとにかく薄く伸ばし、布程の厚みにした。

「リュネ、これでズボンと、首まで覆うインナーを作れるか?装飾は要らない」

「ええ、そのくらいなら直ぐにでも。これならキレイな毛並みを隠せますね」

「バジャイ、下着になれ」

「ん、うん…」

「カケルさぁん、少し離れてくださいねぇ」

リュネに言われて服を脱ぐバジャイから離れると、リュネはパンイチになったバジャイを立たせ、前後から皮で挟んだ。

「ふぎっ」

「もう少しですよー」

皮に切れ目が入り、手足と顔と股間。そして不要な部分の皮が剥がれ落ちる。縫い目も無くぴっちりして、ボディスーツみたいな姿になった。皮が肌色に近いから普通の獣人に見えなくも無いな。

「なにこれ?ふく?」

「《伸縮》したままだからきっと脱ぎやすいですよ」

「そんな作り方も出来るのか…」

ファンタジーの世界でSFを見た気分。体をぐにぐに曲げてるバジャイもそれなりに気に入ったようだ。その上から靴と手袋と皮鎧、そしてヘルメットを着るのは嫌そうにしてたがな。
腹から膝上程のスカートに、胸を隠す七分袖の服。そして指切り手袋と靴に、首まで覆うヘルメット。どれもデッドサーチャーの青皮だ。初期装備にしちゃお高いが、それを感じさせないシンプルさに纏まった。青と白の猫…、少し不思議な世界に居そうだがこっちの方が断然可愛い。

「カケルさまっ、いっしょ!いく!」

これで連れてかないとか言ったら嫌われてしまうな。時間を食ったがバジャイも乗せて、空高く飛び上がった。

「イゼッタよ、ウルルゲンは獣人差別とかは無いよな?」

「だいじょぶ。普通に歩いてる」

「ナーバーグやエディアルタにも居ましたよね?カケル様は見てませんか?」

「ああ、そう言えばギルドに一人居たなぁ」

「数は多くないですが特に差別も無く共存出来てますよ。私みたいなのにも寛容ですし」

狭いコミュニティの方がそう言う迫害って多いよな。部落差別とかヘイトクライムとかさ。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...