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青と白の猫
しおりを挟むベルベットスキンを逆立てて、四足になって威嚇するバジャイに皆が引いている。俺は何とか宥めようと抱き着いて撫であやしてやるがあまり効果は無いみたい。
「お前です」「貴様です」
「貴様って何の獣人だっけ?」
「はい。虎人です。もしかして、その方がお怒りなのは私のせいですか?」
「近い種族だから縄張りを荒らされると思ってるんじゃないか…と思う。
そんな事しないからな?落ち着けー」
バジャイを抱いてベッドに寝かせる。
「大丈夫だぞ。俺が居るだろ?二人共俺の群れだ。仲良くな?」
「あー!あえあえあー!」
呻き出すのを強く抱き締め俺の匂いで包んでやると、暫くして落ち着いてくれた。ベルベットの肌触りも元に戻ったよ。二人には、と言うか貴様には悪いが二人は他の部屋で休んでもらう事にして、その日はバジャイを抱いて寝た。
ちょっとした騒動はあったが、朝には威嚇しない程度に落ち着いてくれたバジャイは、今朝も俺にベッタリで焼肉食ってる。野菜もお食べ。
UFOに暗部の二人とイゼッタ、シャリーが乗り込んで、くっ付いて離れないバジャイを何とか宥めてるのだが珍しく我儘さんだ。
「一緒に来てもバジャイは目立つからなぁ…。困った」
「バジャイ、離れたくない」
「せめて肌が見えない服を着てくれれば良いんだが。バジャイ、一緒に来るなら服を沢山着なきゃいけないんだ」
「うぅー…」
「それとも乗り物の中でお留守番出来るか?」
「カケル…さまぁ…。いっしょがいい」
ああもう!捨て猫みたいな顔すんな!抱き着いて撫で回し、チュッチュする。
「服を着てもらうぞ。嫌なら連れてかない!リュネ、黒っぽい皮を分けてくれ」
「はぁい。こんなので良いかしら?」
結構デカい、熊っぽい野獣の皮だろうか。焦げ茶の毛の皮だ。《散開》で毛を落とすと白っぽい生皮が現れた。茶色いのは毛だけだったか…。《伸縮》してとにかく薄く伸ばし、布程の厚みにした。
「リュネ、これでズボンと、首まで覆うインナーを作れるか?装飾は要らない」
「ええ、そのくらいなら直ぐにでも。これならキレイな毛並みを隠せますね」
「バジャイ、下着になれ」
「ん、うん…」
「カケルさぁん、少し離れてくださいねぇ」
リュネに言われて服を脱ぐバジャイから離れると、リュネはパンイチになったバジャイを立たせ、前後から皮で挟んだ。
「ふぎっ」
「もう少しですよー」
皮に切れ目が入り、手足と顔と股間。そして不要な部分の皮が剥がれ落ちる。縫い目も無くぴっちりして、ボディスーツみたいな姿になった。皮が肌色に近いから普通の獣人に見えなくも無いな。
「なにこれ?ふく?」
「《伸縮》したままだからきっと脱ぎやすいですよ」
「そんな作り方も出来るのか…」
ファンタジーの世界でSFを見た気分。体をぐにぐに曲げてるバジャイもそれなりに気に入ったようだ。その上から靴と手袋と皮鎧、そしてヘルメットを着るのは嫌そうにしてたがな。
腹から膝上程のスカートに、胸を隠す七分袖の服。そして指切り手袋と靴に、首まで覆うヘルメット。どれもデッドサーチャーの青皮だ。初期装備にしちゃお高いが、それを感じさせないシンプルさに纏まった。青と白の猫…、少し不思議な世界に居そうだがこっちの方が断然可愛い。
「カケルさまっ、いっしょ!いく!」
これで連れてかないとか言ったら嫌われてしまうな。時間を食ったがバジャイも乗せて、空高く飛び上がった。
「イゼッタよ、ウルルゲンは獣人差別とかは無いよな?」
「だいじょぶ。普通に歩いてる」
「ナーバーグやエディアルタにも居ましたよね?カケル様は見てませんか?」
「ああ、そう言えばギルドに一人居たなぁ」
「数は多くないですが特に差別も無く共存出来てますよ。私みたいなのにも寛容ですし」
狭いコミュニティの方がそう言う迫害って多いよな。部落差別とかヘイトクライムとかさ。
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