女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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強え

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「ひぎっ、いぎぃぃぃっごべんだじゃいいっ!アダジのばげだがだあっゆるじでぇえーっ!!」

「早く言えよな」

 《威圧》を解くと力無く座り込む。が、その瞬間、体を捻って裏拳が飛んで来た。だけど俺には当たらない。何故なら後ろに居ないから。

「え?ちんぽ、入ってんのに…」

「挿れてねーもん。ワーリンが気付くって言ったろ。手も舌も、ソイツだって《威圧》で出来てんだ。友達思いは良いが、相手をよく見ろよ?俺はワーリンが認めた男なんだぜ?」

俺はもう一度《威圧》を放つ。キキラは声も無く脱糞した。


「申し訳、ありませんでした…」

 《洗浄》し、ウェイトレス姿に着替えたキキラが丁寧な口調で頭を下げる。仕事をサボって客と喧嘩しようなんざロクな店員じゃ無いな。仕事が終わったら部屋に来るようキツく言い渡し、解放した。

「遅かったね。クンクン…あれ?」

部屋に戻って即クンカー。やはり致してると思われたか。致さなくて正解だったぜ。

「飯、食べないで待ってたのか?」

「冷めちゃったけど食おうぜ。勿体無いもん」

「ワーリンは良い子だな、よしよしよしよしよ~し」

撫で回しておっぱいに顔を埋める。ワーリンも頭に頬擦りして抱き返してくれた。夕飯は冷めてたけど塩気があってちゃんと食えたよ。量もあって高いだけある。腹一杯食べて、食後の水を飲み飲みちゅっちゅしているとドアをノックして受付のお姉さんがやって来た。カートに酒瓶が何本も並んでる。ツマミもたっぷりだ。高かっただけある。

「お待たせしました。…もう始めてたの?」

「オレ、来る前に散々されちゃったからね。優しくされてんの」

「随分寛大な彼女さんなのね」

「ひひっ、したら分かるよ」

「乾杯くらいはさせてね。高かったんだから勿体無いでしょ?」

「今マットを敷くから少し待ってて」

「?」

何ぞやと言う顔が驚きに変わるのに時間は掛からなかった。雑木マットに丸い木のローテーブルがベッドの横に設置され、酒とツマミはローテーブルへ、食べ終えた食器はカートへと飛んで行く。

「それ、魔法なの?」

「スキルだよ。魔力使わないし連発出来て便利だぞ~」

「凄いわね…。それより、さっきキキラと何してたの?浮気じゃないわよね?」

「匂いしなかったからエッチしては無いみたいだぜ?」

「おっぱいすら揉んでないぞ」

「そうみたいよね、だから余計に気になったのだけど。怪我もしてなかったし」

「連れの友達殴れるかよ」

「打ちのめして良かったのに~。アイツはそっちの方が話し分かるもん」

マジかよ…。まぁ、そんな感じはしてたけどさ。

「私は違うけど、この街の獣民は皆そんな感じよ?」

「お国柄か、それとも獣人の特性か?」

「漁師よりは喧嘩っ早くないよ」

排水の滝の傍、断崖の下に港があって、そこから漁業に出てるのだと。

「何事も無かったならそれで良いわ。乾杯しましょうよ。私はキューイよ」

「俺はカケルだ」

「ワーリンだ」

木のコップに茶色い酒が注がれて、マットに座って乾杯した。
茶色い酒はコップに入るとお茶みたい。だが匂いは酒。ほんのり甘く、日本酒に近い香りだが、口に入れてグッと来た。強え…。

「んくーっ、久しぶりに飲んだけど利くねぇ」

「貴女この街の生まれなのね」

「ウヴァルの娘だよ」

「あら、傭兵さんの?」

「そそ」

パパリンはそこそこ有名らしく、この宿の酒場でも管を巻いているらしい。押しかけて来なくて良かったな。空いたコップに茶色い酒を注ぐ。返し酌は少しだけ。まだ全然減ってないから。

「貴方、もしかしてお酒は苦手?」

「美味いとは思う。ただこんなに強いと進みが遅くなるな」

すげー強えけど甘さと香りで飲みやすい。と、思う。だが煽ったら倒れる気しかしない。《治癒》…否、《解毒》が良いな。こっそり掛けとこ。

 二人の酒が進み、話も弾んでいると再びドアがノックされる。やっと来たか。少しふらつく足取りでドアを開けると平服に着替えたキキラが立っていた。






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