817 / 1,519
腕次第
しおりを挟む二足歩行で立つ全裸の熊は、見た目完全な熊、羆だ。靴を履いてるのが不自然だが…、あ、裾がある。毛皮のズボン履いてた。紛らわしい!
「匂い伝って来たんだが、キキラは来てねぇか?昨日から帰ってねぇんだ」
昨夜はお楽しみだったからな。
「おじさん、悪ぃ。オレ昨日宿でキキラに会ってさ。部屋で話し込んじゃった」
「ん?ワーリンか。大きくなったな」
「変わんねーって」
「で?そこの人種からもキキラの匂いがするんだが…」
おやおや、気付かれてしまいましたか。結構《洗浄》したんだが、女と獣人には直ぐバレるよな。
「この人はカケルさん。オレの良い人ってトコ。力比べして軽く遇ってたみたいだぜ?」
「ほう、なら俺も、力比べするしな無ぇな…」
それはどう言う理由だ?パパリンも援軍を得て煽る煽る。兄達は椅子とテーブル片付けだした。お茶の間コントかよ。
「おじさん、やるならギルド迄行ってよね!」
ワーリンが仁王立ちでレスリングスタイルの熊に対峙する。
「……仕方ねぇな。兄さん、付いて来な」
やらなきゃダメな雰囲気に、ニコニコしながら肩を回して俺を押すジロリン。そしてそれを押すジュリリン。この家族、バトルジャンキーだ。
一列になってギルドに向かう獣達と俺。今なら壺くらい割っても怒られないと思う。だがそんな暇も無く寄り切られてギルドに入ると職員にすげー見られた。
「おう、練習場借りるぜ?」
「え?ウヴァルさんにオルグさん?喧嘩ですか?」
「唯の力比べだ。良いだろ?」
「はぁ。まあ空いてるので良いですけど…」
良いのか。受付の奥は酒場。それを突っ切った先の廊下を進むと木で出来たスイングドアがあり、結構広めの空間があった。
「早速やろうじゃねぇか。得物を出しな」
手に指サック型の鉄の爪を着けたオルグ。殺る気満々マンだ。仕方なくバットを出す。
「棍棒程度で俺は殺れんぞ?」
「他のが殺傷力高過ぎるからこれしか使えないんだよ」
「腕次第、だろっ!」
レスリングスタイルからの突進は十ハーン程ある二人の距離を一瞬で詰めて来た。だが遅い、ジョン以下だ。腕+バットのリーチがオルグの鼻を突く。が、気にするでも無く俺の腕を斬り飛ばそうと剛腕を奮って来た。
「お前さんっ!!」
バキッと言って腕が折れる。鎧が無ければ千切れ飛んでいただろう。ショックでバットも落としてしまった。
「いい、ややい、ぎゃな」
上顎をぐしゃぐしゃにしてオルグが喋る。上顎と腕一本か、割に合わんな。
「あまり左は使わんのだが…」
落ちたバットを浮かせて回収。逆振りもしてたので振れなくは無いが、ハンデにしては付け過ぎだな。左構えにスイッチし、熊が飛んで来るのを待つ。
「ぐるる…」
「おい!オルグ!?」「動かすな!今回復出来る奴呼んで来るっ」
一つ唸ってオルグは倒れた。脳震盪だろう。ふぅっと息を吐き、プランプランの腕に《治癒》を掛ける。粉砕骨折だが、内出血は軽微で後は打撲。骨の折れたのよりそっちの方が痛い。骨がキレイにくっ付いて、傷を癒して俺の方は術式完了。オルグの方は粉砕骨折に、内出血がたっぷり。脳震盪は寝てれば治るだろうから、治し方は俺と同じで良いだろう。《治癒》を掛けて治していると、ジュリリンが職員を連れてやって来た。
「お前、回復出来るのか!」
「スキルでな」
「魔法以外での外部回復なんて初めて見ます」
スキルでの回復は此処でも知られてないようだ。ジョンの街でもそうだったし、さもありなん、か。
熊の顔が元に戻り、暫く経って目を覚ます。
「一撃が限界、か…」
「中々痛かったよ。本気を感じる一撃だった」
「お前のは、何も、感じなかったがな」
「無感情で攻撃するって、よく言われる」
「そんなんで、あの威力、か…」
「暫く寝てろ」
「俺が後、百人居れば…」
パパリンと同じような事言って意識を飛ばした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる