女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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運次第

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 その後は宿へと戻りもう一泊するって事で、ギルドで金を下ろしてチェックイン。一階の商店で土産物や特産を見て回る。鉱山だからか、宝石の付いたアクセサリーが豊富で、小さなストーンが列になって並ぶ銀のブレスレットや髪飾り、指輪なんてのがお手頃価格で並んでた。魔道具じゃ無いからお手頃価格なのだろう。小さいもので大体千ヤン程。殆ど地金の銀の値段だな。

「ワーリンは宝石とか興味あるか?」

「ガキん頃は拾って小遣い稼ぎしてたよ。今は拾うより依頼やった方が金になるからなー」

「それ、買い叩かれてたんじゃねーか?湖でシャリーが拾ったジェム、結構な値段になってたぞ?」

「あんなんでも?」

「大きさがあったからだな」

「ならさ、ちょっと拾いに行こーぜ。掌くらいのなら運さえ良ければ拾えっし」

そんな訳でワーリン一押しの穴場へと連れてって貰った。

 海に面した斜面一体がズリになっていて、子供達がチラホラと宝探しに勤しんでいる。落ちたら魚に食われるぞ?

「オレ達はこっち」

此処は穴場じゃ無いらしい。少し山側に分け入ったこの場所が穴場だそうだ。大きめの石が細かいズリの中に埋まってる。

「この大きいのを叩き割るのか?」

「そ。運次第、だろ?」

鉱脈に当たる迄の工程で、明らかに入って無さそうな石はこのように砕かれずに捨てられると言う。で、運次第で中に入ってるかも?って事で、ロリワーリンのお小遣いになっていたそうだ。ワーリンにはハンマーと鏨をたがね 作って渡し、俺は石を地面から引き摺り出す。

「久しぶりだぜ」

「俺には石にしか見えん。少しずつ割って行けば良いのか?」

「割ってみて、無かったらまた割るのさ」

「そうか。目に入らないようになー」

俺は新たに石を引っこ抜く。バスケボール程の大きさだが、如何なものか?
ハンマーでガツガツ叩いてく。満遍無く、とにかく叩く。力より手数。そうしている内に罅が入り、砕けるように崩壊した。
多少キラキラしてるようには見えるが、これはなんだろう?

「なあワーリン、このキラキラしたのは何だろう?」

「どれー?」

寄って来たワーリン曰く、小さな鉄の鉱石が一杯くっ付いているそうだ。鉄鉱石なのかな?試しに《散開》させて鉄だけ纏め、《集結》させると癒着面に模様のある、キレイな鉄球になった。

「鉄になったよ」

「そこまでしたら売れそうだよね」

売っても二束三文だろうし、鉄ストックの足しになってもらおう。昼飯の時間を過ぎて遊び尽くし、俺は鉄球三個と砂レベルで濁ったレッドジェムが片手にこんもり。ワーリンはキレイな多面体のレッドジェムを十個程拾ってた。砕いた石じゃ無い所から拾っていたのはご愛嬌だ。因みに、俺が集めたレッドジェムだが、砂レベルの細さだと何にも使えないのだそうで土に帰ってもらったよ。練って固めてってすれば塊にはなると思うが、多分それは不正だろうから止めておく。

 外にある食事処で遅い昼飯を食い、宿の部屋に戻ってまったりと過ごす。

「なんか、売るのが勿体なくなっちゃったよ」

雑木マットの上で赤い宝石をおはじきみたいにデコピンして当てているワーリン。心の余裕が所有欲になって行く訳か。

「良いんじゃないか?彫金してくれる店に頼んで加工してもらうのも良いかもな」

「だな。友恋達の土産にすっかな。お前さんの土産はどうすんだい?」

鉄球じゃダメだよなぁ。外に出た序に店をチラ見してみたが、宝飾品以外では目を引く物は無かったんだよな。魚もトカゲも一杯あるし…。
考えを巡らせていると、誰かがドアをノックする。ワーリンは動く気ねーな。ドアを開けると、ウェイトレス姿のキキラが立っていた。

「どうした。食事なら外で食べて来ちゃったぞ?」

「カケル、親父に何言った?」

拳で、と言うかバットと鉄の爪で語り合ったが、大して口は開いてないぞ。

「親父が来てな、お前に嫁げってよ!?」

「はあ!?」

振り返り咆哮を上げるワーリンであった。




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