女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
825 / 1,519

男の証

しおりを挟む


 更に更にと進んで行って、やっと明かりの無い階に着く。どうせ一人だ、光の棒を出すのも面倒なので《暗視》と《感知》で進んでく。ホテルオナホから此処迄、宝箱の中身はポーションやらお金やらばかりでハズレしか無かった。此処からは流石に当たりを引きたい。早く拾ってあの奥を探索したいのだ。
だが、物欲センサーに引っ掛かってしまったようで進めど進めどハズレばかり。武器や防具は金になりそうな品物だが、奥に行けば売れない物になってしまう。捨てるのも勿体無いから回収はするけどさ。

「あ、やべ」

ツイて無い時はとことんツイて無い。まさか転移罠に引っ掛かるとは…。俺は大きく息を吸って《威圧》の壁を六方に展開。這い蹲って衝撃に備え、魔法陣の光に飲み込まれた。

「女は…居ないか」

薄目を開けて明るさを確認。眩しく無いので下の階だろう。辺りを見回すとキレイに切り揃えられた部屋に居るらしい。ドアはあるが階段は無い。何方に進むにしろ階段を探さねばならないようだ。
スキルで罠を見ながら慎重にドアを開けて外に出る。《感知》で敵の位置はさっき見たので分かる。

(かなり通路が広いな…)

部屋の幅程もある通路が縦横無尽に走っていて、敵も稍大きいように感じる。一先ず敵はスルーして宝箱の場所に向かう事にした俺は《威圧》の壁に穴を開けて移動した。

「一人だとつまらんな…」

宝箱を前に独り言ちってしまう。エージャでも連れて来れば良かったかな。

先程使い忘れてた《罠感知》に反応が無いので開けてみると、中は深い闇。は?手を突っ込むのは馬鹿のする事だと思うので、浮かせてひっくり返してみたが、中から何か出て来る気配は無い。再び置き直し、拾った剣を一本闇の中に入れてみる。長さ的に入り切らない長剣が箱に入れようとして一瞬で消えた。

「まさか、これ自体がマジックボックスなのか?」

箱の側面を手で触れて念じる…あった。取り出そうと念じてさっき入れた剣が出て来た。他にも色々入ってるので取り出してみると、魔石に装飾品、魔剣に魔装が幾つか入ってた。中身は魔石以外は売れないので、この箱の方が当たりだな。《収納》出来たのでお持ち帰りしよう。


「さて…。門限的には上がるべきなんだろうな…」

 通路の広さを察するに、此処は女達の居るエリアより下にあると思われる。《感知》では階段が二つ見えたので最奥でも無さそうだ。何処まで深いのか分からんし、転移スキルでも使えない限り今回は戻るのが得策だと判断し、上に繋がる階段に向かう事にした。
道中の敵はゲビトレベルの大きさの人型だった。男の証をぶらぶらさせて走り寄る全裸マッチョを煙に変える。ダンジョンよ、せめて下着は着けてくれ。

「下向きか」

 男の証では無く、階段の向きだ。上向きだと思ったのだが、勘違いしたようだ。人型を煙に変えながら、もう一つの階段へ向かう。

「下向きだな…」

ダンジョンは、俺を帰したくないようである。《感知》に集中してエリアを隈無く見て行くが、階段はこの二つだけ。まさか階段の方向すら騙して来るとは…。階段を降りた先は同じような作りのエリアで、向かった先の階段は上向きであった。《感知》のおかげで迷う事は無いが、普通の冒険者なら困っていた事だろう。

「これじゃあ上が分からんな」

困った。俺は普通の冒険者だしな。
困った時は戻るに限る。今来た道を引き返し、階段を上がって罠のあったエリアへ。そして勘違いだと思った階段へと戻って来た。
昼飯に薄切り肉を焼き、少し休んで階段を降りる。敵はやはり巨人だ。似たような敵が出るダンジョンは自分の居る階層が分からなくなるデメリットもあるのだな。通路まで全く一緒だったらパニックになっていたかも知れん。
通路を進む事暫し。上向きの階段を発見したが全然信用ならん。あっち側の階段も上向きだったしな。行くも戻るも確率半々。ハズレを引いたら最奥迄行くしか無い。少し気合いを入れて階段を上がったのだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...