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男の証
しおりを挟む更に更にと進んで行って、やっと明かりの無い階に着く。どうせ一人だ、光の棒を出すのも面倒なので《暗視》と《感知》で進んでく。ホテルオナホから此処迄、宝箱の中身はポーションやらお金やらばかりでハズレしか無かった。此処からは流石に当たりを引きたい。早く拾ってあの奥を探索したいのだ。
だが、物欲センサーに引っ掛かってしまったようで進めど進めどハズレばかり。武器や防具は金になりそうな品物だが、奥に行けば売れない物になってしまう。捨てるのも勿体無いから回収はするけどさ。
「あ、やべ」
ツイて無い時はとことんツイて無い。まさか転移罠に引っ掛かるとは…。俺は大きく息を吸って《威圧》の壁を六方に展開。這い蹲って衝撃に備え、魔法陣の光に飲み込まれた。
「女は…居ないか」
薄目を開けて明るさを確認。眩しく無いので下の階だろう。辺りを見回すとキレイに切り揃えられた部屋に居るらしい。ドアはあるが階段は無い。何方に進むにしろ階段を探さねばならないようだ。
スキルで罠を見ながら慎重にドアを開けて外に出る。《感知》で敵の位置はさっき見たので分かる。
(かなり通路が広いな…)
部屋の幅程もある通路が縦横無尽に走っていて、敵も稍大きいように感じる。一先ず敵はスルーして宝箱の場所に向かう事にした俺は《威圧》の壁に穴を開けて移動した。
「一人だとつまらんな…」
宝箱を前に独り言ちってしまう。エージャでも連れて来れば良かったかな。
先程使い忘れてた《罠感知》に反応が無いので開けてみると、中は深い闇。は?手を突っ込むのは馬鹿のする事だと思うので、浮かせてひっくり返してみたが、中から何か出て来る気配は無い。再び置き直し、拾った剣を一本闇の中に入れてみる。長さ的に入り切らない長剣が箱に入れようとして一瞬で消えた。
「まさか、これ自体がマジックボックスなのか?」
箱の側面を手で触れて念じる…あった。取り出そうと念じてさっき入れた剣が出て来た。他にも色々入ってるので取り出してみると、魔石に装飾品、魔剣に魔装が幾つか入ってた。中身は魔石以外は売れないので、この箱の方が当たりだな。《収納》出来たのでお持ち帰りしよう。
「さて…。門限的には上がるべきなんだろうな…」
通路の広さを察するに、此処は女達の居るエリアより下にあると思われる。《感知》では階段が二つ見えたので最奥でも無さそうだ。何処まで深いのか分からんし、転移スキルでも使えない限り今回は戻るのが得策だと判断し、上に繋がる階段に向かう事にした。
道中の敵はゲビトレベルの大きさの人型だった。男の証をぶらぶらさせて走り寄る全裸マッチョを煙に変える。ダンジョンよ、せめて下着は着けてくれ。
「下向きか」
男の証では無く、階段の向きだ。上向きだと思ったのだが、勘違いしたようだ。人型を煙に変えながら、もう一つの階段へ向かう。
「下向きだな…」
ダンジョンは、俺を帰したくないようである。《感知》に集中してエリアを隈無く見て行くが、階段はこの二つだけ。まさか階段の方向すら騙して来るとは…。階段を降りた先は同じような作りのエリアで、向かった先の階段は上向きであった。《感知》のおかげで迷う事は無いが、普通の冒険者なら困っていた事だろう。
「これじゃあ上が分からんな」
困った。俺は普通の冒険者だしな。
困った時は戻るに限る。今来た道を引き返し、階段を上がって罠のあったエリアへ。そして勘違いだと思った階段へと戻って来た。
昼飯に薄切り肉を焼き、少し休んで階段を降りる。敵はやはり巨人だ。似たような敵が出るダンジョンは自分の居る階層が分からなくなるデメリットもあるのだな。通路まで全く一緒だったらパニックになっていたかも知れん。
通路を進む事暫し。上向きの階段を発見したが全然信用ならん。あっち側の階段も上向きだったしな。行くも戻るも確率半々。ハズレを引いたら最奥迄行くしか無い。少し気合いを入れて階段を上がったのだった。
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