女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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朝番

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 折角なので年長者の意見も聞いておこう。

「宜しく頼みます。所で、クリューエルシュタルトでジョンがドンパチ始めたらどうしようかと思ってるんだが…」

「まあ、それは起きますまい。隠居の方々が居りますからな」

ブルランさんの言う隠居達はハークとアルアが大好きな爺婆だろうな。街の外周五キロハーンは草原なので滅多な事では街に被害は出ないだろうが、街を焼かれると移動が面倒になる。流通もだな。

「カケル殿、今夜は何方にお泊まりで?」

 話を終えて、ブルランさんが口を開く。

「本日は当屋敷にてお泊まりの予定です。貴方も明日に備えてお早く休まれるべきですよ」

メイド長がドアを開け、お帰りを促した。
メンチビームが二人の間をバチバチしてるのが俺には分かる。

「明日は旧王都に向かって冒険者を回収し、ジョンの所に送り届けたら、一度家に戻ってまた来る予定だ。その時はブルランさんの所に厄介になりたいと思ってる。それでどうかな?」

「…承知しました。それ迄に此方の仕事は済ませておきましょう」

頭を下げて部屋を出るブルランさんとお付のメイド。残念そうだが此処は家主を立てなきゃな。

 玄関前迄見送って、今度は客室に連れられた。普段使わぬ客室であってもキレイに掃除してあるんだな。そして部屋に居たのは料理人と数人のメイド。全員ネグリジェ姿で、柔らかそうなおっぱいが柔らかそうな布地を押し上げていた。

「カケル様、今宵は宜しくお願い申し上げます」

「「「宜しくお願い申し上げます」」」

「この者等は朝番ですのでお先にお楽しみ下さいませ。後から他の者を寄越します」

メイド長はそう言うと客間を出てしまったが、それを契機に女達が寄って来る。俺は装備を《収納》し、女達からの歓待を受けた。


 よく寝た…とは言い難い一夜を過ごし、朝食を食べて屋敷を、そして街を出る。街道から森に入り樹冠へ飛んで、ノーズコーンに収まると、樹冠の少し上を飛んで旧王都へと向かった。昼前に着けば良いので、速度を落として少し寝よう…zzz

 目が覚めて、森の上で止まってた。城はと探すと一キロハーン程の距離にあり、着いた事に気付く。街道には誰も居ないので直接乗り付け、旧王都へと歩く振りして飛んで行く。
旧王都の周りは浅い沼に囲まれて、自然の泥罠状態になっている。そんな沼の上に土台を組んで、兵隊達が隊列を組んでいた。

(こりゃあ入れそうに無いな…)

《阻害》を掛けて、高高度に逃げる。…気付かれては無さそうだ。ゆっくり街の内側に向かい、人気の無い場所に降り立った。だが先ずは飯だ。ジョンの仲間の居る宿に行けば食堂くらいあるだろ。
…と思っていた時期が私にもありました。
前に来た時とは打って変わり、通りには一般人が殆ど歩いてない。代わりに武装した兵隊が二人連れでチラホラ歩いてる。これは困った。迂闊に歩いてたら誰何されて捕まるヤツだ。《阻害》を掛け直し、大通りを避けるように、ゆっくりと空を移動する。そして漸く辿り着いた冒険者達の居る宿は、俺が初めて泊まったギルド直営宿と似たり寄ったりなレベルの安宿であった。
ジョンの仲間を《感知》で探すと一つの部屋に固まってるのが分かった。確か男女三人だったよな。何も起きない筈は無い。
窓から行きたい所だが、窓は通りに面しててダメ。となると裏口から侵入するしか無い。正面から行くのも宿主に存在を明かすのも悪手な気がしたんだ。
裏口のある小さな庭に降り立つと、洗濯物を干している女に軽い《洗脳》を掛ける。

「お姉さん、ちょっと良いかい?」

「ん?なんだい?見ない顔だけどお客さん…じゃ無さそうだね」

「泊まってる客に用があってね。繋ぎを取って欲しいんだ」

「それは良いけど、外には出られないよ?あんたがどうやって入って来れたのか知らないけどさ。今街は完全封鎖で外を歩くのも面倒なのさ」

確かに面倒だった。

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