女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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ひねくれてる

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 ボス部屋だろうと罠部屋だろうと、魔法陣から敵が出るならやる事は変わらない。圧死させるだけだ。しかしボス戦とは違って時間は無駄に長く掛かり、だいぶうんざりした。ヤモリっぽいのの卵を茹で卵にして食べ終わるくらいの時間が過ぎて、やっと敵が出なくなった。ヤモリっぽいのの茹で卵は殻も中身もプルプルで、久しぶりの卵なのもあって美味いと感じた。マヨネーズ欲しい。だが生は怖い。
魔石とドロップを回収し、地面に埋まった箱を取り出せるかを考える。壁を《収納》しようとしたが、切り出す事は出来無かった。壁や床にスイッチを探すが、これもダメ。諦めて部屋を出て、隠し扉を越えると出て来る。イラッとする。
その場から箱を《収納》し、ダンジョンにドヤ顔してやったぜ。

「どうせ中身はゴミなんだろうがな」

中身だけを取り出してみると、ミスリルのナゲットが二つ…。時給二十万ヤンと考えると美味いのか?魔石とドロップの事も考えれば入る価値はあるか。今かなり欲しい物を、ほんの少しだけくれて寄越す根性はひねくれてると思う。
マップには、ボス部屋の魔物が出続ける罠部屋、とだけ書いておいた。

 箱を投げ捨て破壊して、マッピングしながら四十階に辿り着く。作り置きしといた茹で卵を食べて休憩し、扉を開けて驚いた。ボス部屋がフィールドなのだ。これでは出現前に屠れない。頭に気を付け空に上がると、五十ハーン程で《結界》が触れた。《感知》で辺りを見回すと、部屋の中心は範囲外にあるようだ。広くて高い空間のようだ。
そのまま飛んで、エリアの確認と索敵をするが、敵は直ぐに現れた。

「こんな浅いトコで出るのか」

つい独り言ちてしまったが、トカゲがこっちに飛んで来てるのが《感知》に反応した。しかも数は十を軽く超えていて、数えるのを辞めた。部屋の中心で出現するとして、少なくともこの部屋十キロハーン以上はある事になる。広過ぎだろおい。

 自分の正面五百ハーン程前方に、とにかく広く《威圧》の壁を張って迎え撃つ。見えない《威圧》に突っ込んで、情けない声を出すトカゲの脳味噌をスカスカにして、先ず六匹がさようなら。警戒して停滞するトカゲも唯の案山子だ。次々に煙へと変える。
上下左右に方向転換し、《威圧》の壁に翼を擦りながら飛んでいるトカゲは多少知恵があるのだろう。壁の切れ目を見付けて乗り越えて来るようだ。俺が何時までも同じ所に居ると思ってる辺り、知恵はそこまでのようだがな。
壁にこっそり穴を開け、上向きに移動するトカゲの群に付いて行き、少しずつ数を減らして十五匹仕留めた。
左右と下に向かった群が壁を越えて飛んで来る。が、そこには俺は居ないんだ。トカゲ共が集まった所で、これでもかと圧縮した煉瓦弾が空高くから降り注ぐ。スキルマシマシで熱を帯びた煉瓦弾は、さながらメテオレインのようだ。翼がボロボロになり、痛みで空に留まれなくなった個体が、次々と地面に落ちて行く。
数が少なくなった所を脳味噌《散開》させて煙に変えると、下から幾つものブレスが飛んで来た。真面に動けない状態で出来る事なんてこれくらいの物だろうしな。
《威圧》の壁の向う側に避難して素早く地上に降り、上を向いて大口開けてるウスノロを煙に変える。そして気付いた時にはもう遅い。トカゲ共の四方は《威圧》の壁で囲んでしまった。此方に向けて口を開く間に天井も締め切って詰み。自分達のブレスで焼け爛れ、壁を狭められて圧死した。

 トカゲの魔石五十三個。大漁である。ジョンの記録を大幅に塗り替えたが、今回は参考記録って事にしといてやろう。トカゲの数が数だけに、箱もたっぷり二十個出た。殆どがポーションや捨て確定の魔具だったが、金貨の詰まった箱が一つあったので地味に嬉しい。デザインが違うのでそのままでは使えないがな。
その後、エリアを探索して階段を見付けたが、これ徒歩なら移動だけで一日掛かるぞ…。
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