女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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威厳ある父

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 ドロップを見て何を狩ったか分かるタマリーは出来る職員だ。

「トカゲの魔石は大口の注文があるから、そっちに回すつもりだよ」

「女かい?」

「男だな。顧客には女も居るかもだけど、卸す先は男だよ」

「ああ、ノースバーの」

「今一番使ってるの、彼処の金だからね。多めに持っておきたいのさ」

査定の結果は明日以降と言う事で、結果が出たら振り込んでもらう事になった。

「暇ならで良いんだが、昼飯一緒にどうだ?」

「コブ付きで良いならね」

「我が子を拒む親等居るか。カロも呼んでくれ」

「分かったよ」

階段を上がって行くタマリーの尻を眺めながら、赤ちゃん達を愛でる輪に突入する。

「シンクレイア、ガンダー。お仕事ご苦労様」

「ぶえ~」「んー」

ガンダーはお腹空いて切なくなってるな。《洗浄》したトカゲの魔石を抱っこさせてやると、直ぐにベロベロやり出した。絶対無味無臭な筈なのに何故執拗に舐るのか。魔力吸ってる訳で無し。

「あぱー、あーぱー」

「おおよしよーし」  『シンクレイアのは後でな。此処ではヤバい』 

「あんー」

「カケル様、お待たせ致しました」

「此奴、また良いのを貰ったね」

「飽きたら養育費の足しにしてくれ」

「そんなにあったら働かなくなっちまいそうだよ」

「さあ、行きましょう。シンクレイア、行きますよー」

「あー」

 赤ちゃん二人を肩に乗せ、カロとタマリーに連れられ外に出た。敢えてスルーしていたが、トカゲの魔石を出すとギャラリーが凄くざわざわする。規模は違えどタマゲルだって持ってるだろうに、高々魔石に騒ぐなと言いたい。
二人に連れて来られたのは、前も使った個室の店だ。店主の婆ちゃんもシンクレイアとガンダーの来店に目尻が下がってる。此方へどうぞと個室に入り、先ずはササッと注文し、タマリーがおっぱいプルンプルンした。俺のじゃ無い。子供達のご飯だ。子供達を少し浮かせて負担を減らしてやる。

「悪いね。坊やの分はお預けさ」

「見てるだけでも幸せな気分になれるんだぜ?」

「カケル様、吸いますか?」『すけべ』

「威厳ある父で居させてくれ。そうだ、ダンジョンでお土産拾って来たからもらってくれ」

「良いのですか?」

「ガンダーだけじゃ贔屓してるみたいだからな。シンクレイアにもあるぞ」

「はぱぁー!」

「今パパって言ったね」「流石私とカケル様の子ですっ」

「ははっ、息継ぎしただけだろ。それよりお土産と聞いて喜んでる事に驚きだよ。末はお土産屋さんかな?」

ガンダーにはさっきあげたトカゲの魔石。カロにはシンプルなミスリルの腕輪、タマリーは両手が塞がってるので金の鎖のネックレスを着けてやる。そしてお乳を吸いながら俺をじっと見詰めるシンクレイアには…、

「あ?」

ミスリルの鏡を見たシンクレイアはこの反応である。

「え!?それもダンジョン産なのですか?」

「へぇ…。本妻にはそれ以上の物をくれてやったんだろうね?」

大人二人はこの反応。この世界の鏡の扱いの高さが窺い知れよう。

「シンクレイアはお気に召されなかったかな。効果を知れば跳ね回ると思うんだが」

「カケル様、それはどう言う?」

「皆に送った物は魔装、シンクレイアのは魔具だ」

三人は、効果を聞いて絶句した。
カロに送った腕輪は壮健のブレスレットと言い、体力と疲労をリジェネしてくれる優れ物。魔法やポーションには疲労回復の効果は無いので、二十四時間戦いたい人には喉から手が出る程の品である。
タマリーのネックレスは予期のネックレス。予想した事の顛末を知る事が出来る。効果範囲は精々自分の周辺って所だが、ミスの無い仕事をする者ならば絶対に持っておきたい逸品だ。
そしてシンクレイアが怪訝な顔をして見てる鏡だが、これは遠見の鏡。上から視点ではあるものの、色んな所を見る事が出来る。勿論鏡としても使えるぞ。あんしんフィルターが付いてないのは少し心配だが、それは後で説明しよう。

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