女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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俺は男だ

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 腹減って、島に戻ろうと思ったが、多分まだ午前中。女将の暇な時間なら食堂の片付けが終わった辺りの時間だろうと予想する。島に戻ってもおやつ程度の物しか無いだろうし、街で買い食いする事に決めた。雪の時期が遠のいて、街の広場には露店が並び出している。
コレ、今迄無かったんだって。ウラシュ島との交易が始まってから流行りだしたそうだ。
とにかく辛いと銘打つ串焼きを買い求め、齧りながら露店巡りに興ずる。うん、辛い。唐辛子でも山葵でもマスタードでも無い辛味がする。舌先から喉の奥迄満遍なく同じ刺激なのが面白い。味噌が欲しい。塩味なのが残念だ。

「あ、カケルだ!捕まえろ!」

「え?」

 声の主はフル装備のジョンだった。同じくゴテゴテ装備した奴等がガチャガチャ鳴らして集まって来た。

「カケルだな?観念しとけよ?」

「卑猥な装備しやがって、何やらかしたんだ!?」

「ジョンくーん、懲らしめて良いかねー?」

「止めろ!懲らしめんなっ!お前等も冗談だ!絶対触るなよ!?」

俺がやる気を出すと、ジョンくん走って来た。

「え?冗談?」「こんな卑猥装備なのにですか?」

「実力に見合った装備だ。試合うなら後にしとけ」

「「おう」」「分かったぜ」

「で、ジョンさん。此奴は?」

「俺より強ぇ冒険者のカケルだ」

「どうも、ジョンくんより強ぇカケルさんだ。所でどうしたその格好?」

「ああ。此奴等の到達階を下げる為にな。随伴すんだ。カケルも来いよ」

通りで見掛けん顔だと思った。と言うか若い。俺より若いかそう変わらんかって感じの若造達だ。

「男ばっかじゃん」

「そうだぜ?俺は男だかんな、ダンジョンで儲けてモテまくるんだ」

「俺だってジョンさんみたいにドラゴンバッタバッタ殺ってやんだ!」

男と言われたのが嬉しかったのか、途端に馴れ馴れしくなった。そう言う意味で言ったんじゃ無かったのだが…。

「なあ、来いよ。俺一人じゃ三人ぐらい減っちまいそうだしよ」

減り過ぎだ。依頼として受理されて、報酬が出ると言うので帯同してやる事にした。
ダンジョン入口迄走りながら、ガキ共の自己紹介を聞かされる。ジョンの右腕になりたいサムに、ならば左腕になると言うドアップ。右脚のラグエルと左脚のミッデラン。誰も頭脳にはなってくれないのな。

「四肢欠損しても平気だな」

「平気なモンか!」

「カケルはジョンさんの何になんだよ?」

タメ口かよ…。俺はジョンのお守りじゃ無いんだが…。

「ならば…、ジョンくんの代わりに女を抱いてやろうかな」

「やっぱ卑猥装備じゃねーか!」

「引っこ抜くぞちんぽマン!」

行くの辞めたい。だがダンジョンの入口が近付くと、ガキ共も静かになって来た。

「緊張してんのか?」

「だっ!誰がっ!」「しゅ、集中してんだよ!」

「お前等、少し力抜け。いきなり強ぇトコ迄は潜らんからよ」

「「「「お、おう」」」」

ジョンの一言で落ち着いたのか、それからは静かに受付を済ませ、ダンジョン内に入って行った。


「十階は余裕、か」

「ケブなんてガキでも殺れらぁ」

 数が居てもわ~っと来るだけじゃ大した驚異にゃならないか。聞くと此奴等。三十階手前くらい迄は行けるそうだ。回復に後衛無しで行けるのは意外と優秀なのだろうか?

「後衛や支援は集めないのか?」

「喰らわなきゃ回復要らねーじゃん」

「魔法屋って足遅ぇしな」

「後ろから撃たれたらたまったもんじゃねーぜ」

「残弾考えなきゃなんねーしな。飛び道具もだけどさ」

前言撤回。唯の脳筋だった。俺の問に答える四人は盾一回避一剣二の四前衛。三十手前が限界なのは理解出来た。

  「此奴等に解らせる意味もある」
ジョンが小さく囁いた。それで俺もって事か。否、俺居なかったらどうしてたんだ?三人減らしたのか?

 そんなこんなでガキ共が限界と言う二十七階にやって来た。多少迂回したが敵を蹴散らして来たので皆お疲れだ。

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