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王の仇
しおりを挟む「カケル様、屋根を」
「騎士達も元に戻してくれ」
話し合いは終わったようだ。今屋根をくっ付けたら飛んで帰れないんだが、まあ良いか。
「分かった。聞いたな?これで抜剣したら戦争だかんな?」
金属鎧共に声を掛け、《結界》を二人に纏わせる。フラフラと立ち上がるのを他所目に屋根をくっ付けた。流石に此処で斬り掛かって来る馬鹿は居ないようだな。作業の為浮いてるから届かないのもあるが。
「貴殿は、飛べるのか…」
「この世には数人居るぞ?俺の身内が殆どだが、それ以外で飛べる奴には気を付けろ。敵対すると国が滅ぶ」
「飛べるだけで、か?」
「ドラゴンが人に化けてる可能性があるんだ。何もしなけりゃ何もされない。引き込んで手足に…なんて、国が焼け野原になるだけだからな」
メイド二人に連れられて、城の外へ向かう。金属鎧が睨んでるみたいだが、バイザー越しでは分からない。階段を降りて更に進むと、静かな廊下に女の声が響いた。
「貴様等が賊かああ!?」
「おやおや、元気なお嬢さんだ」
「カケル様、物語の悪役みたいですよ?」
「成る可く優しく応えたつもりだったんだがなぁ。俺はカケル、コッチはエンメロイ。お嬢さんは何方様だい?」
「俺は王国第八王女!ピエルタ・ブラマハーンだ!」
「お嬢様!そのような言葉遣いは!その前にそのような者と口を聞いては!?」
「そうか。暇潰しにでもカケラントに遊びに来ると良い。これからは仲良くするってからな」
ピエルタちゃんの後ろから駆け付けて来るお婆ちゃんメイドを無視して話し掛ける。金髪ショートの天パがモコモコ。絵画の天使みたいな俺っ子だ。ドレス姿に抜き身のショートソードで武装してやる気満々マンだな。ちっちゃくて可愛い。
「カ、カケラントって何処だよ!?知らねえぞそんな国!」
「お嬢様っ!」
「元帝国だよ。成り行きで俺が今の王って感じ?」
「名実共に王ですよ。王として来たのですから」
「…だそうだ」
「おと、王の仇!」
「生きとるわい」
俺の言葉を聞かず剣を振り回して来るピエルタちゃん。俺の太腿に剣が当たってびっくりしてる。斬るつもりでやってんだろ?
「何で避けないんだよ!」
「斬れねーし。良い服なんだぜ?」
元皇帝の服だし、良い物だよな多分。
「そ…、そうかよ…。ふぅ」
「お父様にちゃんと断ってから遊びにおいで。じゃあね、ピエルタ姫」
ピエルタちゃんをお婆ちゃんメイドに渡し、メイドに連れられ城を出る。特にこれと言ったアクシデントも無く城の外に出られたが、折角だし観光でもして行くか。
「エンメロイ、宿を取って着替えたいんだが」
「他国に長居は怪しまれますよ?」
「日帰りはするけどさ、お土産買いたいし~」
「カケル様が帰らないと私も帰れないんですから。皆を心配させない為にも、早く買って帰りましょう」
「分かったよ」
「そうでないと、私がカケル様を独り占めしてると思われ兼ねません」
だからUFOの中で寝てても跨って来なかったのか。まあ、するならヤリ部屋の方が良いし、大通りの角地にある宿に休憩で入り、着替えを済ませた。この国もまた通貨のデザインが違うらしく、ギルド証で払えて助かった。
「ギルドに寄って金降ろしてからだな」
「帝国通貨も使えますよ?」
「デザイン違うのに?」
「重さを大陸全土で統一しているのですよ。数年に一度、新貨の計り直しをしています」
「へー。ブフリムの臭い小銭も?」
「元々はアレを自国の貨幣に鋳直すのが目的だったそうで、昔は重さで両替してからでないと使えなかったのですよ?」
「大きさマチマチだもんな、アレ」
何処の街でも大体壁の入口寄りにあるギルドに入り、事務処理と小銭を降ろして買い物へ。受付嬢に聞いた話だと、壁の下が大通りだそうで、内外を繋ぐのは唯の通りだそうな。この街には四つの壁があるので、六つの環状大通りがあるって事になる。
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