女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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兎耳の特性

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「カーケルー」「カケルー甘いの~」「甘いのなの~」「だ~んな~さま~」

「餡蜜と飲み物でも食べておいで」

 暇を持て余して火の鉄板を固める内職をしていると、甘味に飢えた肉食達に囲まれた。

「餡蜜無いって、シャリーが」

「お客さんに出す物は今作って無いんですよ!」

食堂に行けばあると思ったが、客に出さない時は作ってないそうだ。これでは黒糖を齧るしか無い訳で、俺に集りに来た訳だ。

「仕方無い、何か作ってやるよ」

「「「わーー」」」

何処で聞いてたのか、ラビアン達まで喜びの声を上げる。兎耳の特性だな。
一度島に戻って、フサナリと時短箱、そして氷砂糖と餡子を取って帰ると、食堂と厨房には粗全員が集まっていた。居ないのはリュネとミーネくらいの者か。出来上がったら持ってかないときっと多分絶対怒るヤツだ。

 洗ったフサナリを水と共に鍋に入れ、時短箱で浸水させる。コイツは団子にするのだが、今回も蒸せないので煮る事になる。浸水が終わり、火の鉄板に乗せて時短箱に戻す。フサナリは火の通りが早いので忙しい。直ぐに取り出し硬さをチェック。柔らかく煮えているのを確認し、水気を切って《散開》と《集結》で練り、一口大の団子に変えた。
次にタレ。氷砂糖を粉にして、水を加えて加熱する。ふつふつと泡立つその中に、水溶きマタル粉と白味噌を混ぜた物を加えて味を見ながらとろみが出るまで掻き混ぜた。

「カケル…、それ…」

「よく見ろ。茶色くないだろ?」

「うん…、黄色」

「カケル、知らない匂い」

「味噌と言う調味料に甘さととろみを加えてある。甘塩っぱくて美味いぞ?」

「ふ~ん」

皆が見守る中、スプーンに掬ったタレをペロる。よし。皿に乗せた団子にタレを掛け、餡子を添えて出来上がりだ。
配膳をラビアン達にお願いし、席に着いたら頂きます。

「ん…んく。甘くて塩気がありますね!」

躊躇い無く口にしたのはサミイ。良い子だ。

「唯甘いだけよりずっと甘味が引き出されて居ると感じますね。氷砂糖を使うのは久々では?黒糖には無いスッキリとした甘さがお団子の仄かな甘さを感じさせてくれます。餡子にもよく合いますし、とても美味しゅう御座いました」

料理評論家なリアが絶賛すると、姫様が美味しゅうと言うならば…と産婆達が口を付ける。これがカリスマか。それに倣って他の者も手を出した。ホント、食う迄臆病だよな。

「んま~」「カケル~、んま~」「んまいの。はぐっ」

臆病な肉食共も満足したようだ。

「成程、甘味はあまり食さんが、これは複雑な味だな。色々な味が混ざりあっている。これがみそとやらか」

リームは味噌の味が気になるらしい。肉に浸けて焼いて食うのも美味いからな。

 さて、みそたらし団子に舌鼓を打つ女達を放置して、妊婦部屋に残った二人にお供えを持って行く。

「おやつ出来たから食べておくれー」

「ああん、待ってましたぁ~」

「よくあんなモノが甘味になると思ったよ。試しに私も頂こう」

やはり見ていたか。

「臟の中身みたいな色をして、味は全く違うのだな」

「排泄物みたいな色のもありましたよねぇ?あれは何時使うのです?」

龍は生の臟食うし、茶色い食べ物に抵抗無いのだろうな。

「龍の作る酒に、茶色い物は無いのか?」

「ああ、あるな。内側を焼いた木桶に濾した酒精を寝かせるとそんな色になるようだ」

それウイスキーじゃん。売り出したら幾らになるやら。樽で無く桶なのは樽を作る手間を省いたからだそうで、丸太の真ん中を焼いて凹ませたのを桶として使っているのだと。巨木の多いシルケでは此方の方が手間が無いのだろうな。


「カケルさぁ~ん」

「どうした?」

「頭が出そうです~」

 それから三日後の夜、リュネが破水した。
産婆が産湯を用意して、何時でもどうぞな体勢の中、俺はリュネの手を握りその時を待った。

「痛みは無いのか?」

「ええ。突然お漏らししたので《洗浄》してしまいましたが、あれが破水だったのですねぇ」

お漏らしだと思ってたのか。






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