女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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栄養袋

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「ならば我等も気にせねばなるまいな」

「お漏らしは御免だな」

「お漏らしでなく、破水です~っ」

「さ、リュネ様。脚を開いて息んでくださいましね。旦那さんは、そこで良いのかい?」

 姦しい三人に産婆が割り込んだ。普通であれば男は退室するモノだそうで、見守る男は居ないと言う。

「名前はまだ決めてないが、覚悟は出来てるよ」

「名前も決めてくださいねぇ。では、行きますよ~」

リュネの背中を助産婦が二人で支え、その時を待つ。

此処からどれだけ待つのだろうか。そんな事を考える暇も無く、ブリンッと出て来て婆ちゃんもびっくりだ。

「ふふっ、スキルを使えばこのくらい、何の事もありませぇん」

「まだ動いちゃいけませんよ。胎盤が残ってますからね」

「カケルさぁん、たいばんって、何です?」

「赤ちゃんと母体を繋ぐ器官で、母体から栄養等を受け取ったりしてるんだ。赤ちゃんが産まれたら取れるんだよね?」

「旦那さん、よく知ってるね。…って、奥さん達に聞いてたかい」

「否、母に聞いたんだ。サミイの母の時も居合わせたしな」

「ああ、そう言えば居たねぇ。あ、出て来たよ」

「はぁい。出しちゃいますね~」

流石にこれは直視出来無い。目を閉じて天を仰いだ。

「旦那さんも頑張ったね、よしよし」

「よしよ~し」

産湯に浸かってキレイになった赤ちゃんが、リュネの隣に寝かされる。

「…泣かないのな」

「そんな子も居るさ」

「状態は問題無いな」「うむ」「ですねぇ」「かわいい」

そう言う子も居るのか。因みにお包みに包まれちゃって男女の判別は出来無かった。丸くて、おっきくて、しわしわ。白っぽく見える細い髪は猫っ毛と言うヤツか。男なら苦労しそうだが、果たしてどっちなのか。

「リュネ、やっぱり俺にはどっちの性別か分からんよ」

「全くぅ、仕方の無いお父さんですねぇ」

「男はそう言うモンさ。リュネ様は元気そうだけど、面通しが終わったらしっかり休んどくれよ?」

「はぁい」

助産婦が呼びに行き、暫くすると女達が入って来る。妻三人にカラクレナイ。メイドと性奴隷。その後にラビアンが続いた。


「カケル、名前、どすんの?」

 一旦妊婦部屋を離れ、俺達の部屋に戻ると、お茶で口を潤したイゼッタが聞いて来る。

「まだ考えても無かったよ。と言うか男女か分からん」

「わたし達の時は仕方無かったですけど、今度は頑張ってくださいね!」

「本当に感謝しております」「心よりの感謝を…」

あの時は十日くらい寝たきり状態にされたからな。頭を垂れるカロとアルネスに手を挙げて制す。

「カラクレナイの時は龍の姿だったからイメージ湧いたけど、今回は人型だからなぁ。難しいよ」

「高々四人分さ、頑張りな」

「されど龍の方々の名前です。迂闊な事は出来ませんよ?」

「名付けのタブーを聞いておいた方が良いだろうな」

  「人の子には思いもよらぬタブーがあるやも」
「だな。後で聞いて来るよ」

四人分なのも大変だし、アカン名前を付ける訳にもいかん。そもそも性別が分かって無いので話を聞いたりお包みを剥がさねばるまい。

「…ちょっと行って来る」

更に気になる事があるので直ぐに動く事にした。

「リュネ、起きてる?」

「はぁい?」

 横になってるリュネが顔を向ける。赤ちゃんはモゾモゾしてるが寝てるかどうか分からんな。

「リュネ、お乳出るか?」

「カケルさぁ~ん。赤ちゃんが居るのですからぁ、それに、二人きりが良いでーす」

「人の子の姿の赤ちゃんだし、初乳は大事かと思ったんだ」

「しょにゅ…初乳ですか。確かに殻もありませんねぇ」

「栄養袋も無いな」

カラクレナイみたいに孵化する場合、臍の所に栄養袋なる物が付いていて、それが引っ込む迄の間は食事の必要が無いと母龍は言う。お包みをそっと捲って確認したが、そんな袋は付いてない。代わりに可愛いウインナーが付いていた。男の子だ。

「バレちゃいました」

教えてくれよ。
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