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死ぬ迄戦え
しおりを挟む森に入って少し行くと、少し拓けた場所がある。伐採跡だろうか。
「此処で待ち狩りでもすっかね」
「待つのは良いが…、この辺じゃなんも感じないぜ?」
「そりゃあ街の傍だしな。敵を釣るのさ。準備しとけ」
「なる」
得物を抜いて支度に入る弥一を横目に、《感知》で周りを調べてく。弥一の《感知》はまだ程度が低いようで、野獣の姿がチラホラ見える。敵意が無い状態だと感じられんのかもな。
「野獣が居るから、もう少し《感知》の精度を高めた方が良いな」
「マジかー」
更に範囲を広げて行くと、東の方に魔物の群れが見えた。
「良し。釣るぞ」
「おう。……何処だ?」
「こっちこっち、東の方な」
指を差して方向を示すが弥一には遠過ぎて分からないみたい。《集結》を使い魔物の群れを寄せて来ると、暫くして弥一の《感知》にも引っ掛かったようだ。
「お、《感知》した。翔よ、そのスキルは釣りか?」
「《集結》な。使い方次第で色々出来るマルチなスキルだぜ」
「成程」
以前見た、ゴワゴワした紙のカードとボールペンを出してスキルを付与してる。あ、破いてモクモクした。多分だが、今それは使えないだろう。
「連れて来たぞー」
「おうっ」
集まったのはゴーラ十にブフリム八。若干ゴーラが多い群れだな。ジタバタする活きの良い魔物から、先ずはゴーラを一匹解放し、《洗脳》する。
「弥一と死ぬ迄戦え」
「…グフ」
「翔ぅ、コレくらいなら余裕だぜ?」
「はいはいフラグ乙。即死すんなよ~?」
タイマン出来ると言うだけあって、ダメージを喰らわないように立ち回り、ゴーラを一匹やっつけた。
「余裕あると言ったな、あれは嘘か?」
「まだまだスキルが弱ぇんだよ」
「ならたっぷり練習せんとな」
次はゴーラとブフリム各一匹。二対一ではどうなるか。
「しっ、ふっ」
「持ってないから分からんが、剣術系のスキルか?」
「んだっ。んっ!」
ゴーラにトドメを刺し、戦闘を終えた弥一は大きく息を吐くと、剣持つ両手をだらりと下げて乳酸を散らす。
「《抵抗》あるよな?」
「あ?おう。ふんっ……。俺のじゃ効果無ーべ?」
「俺のスキルをコピーしてんだよな?」
「他の奴のもあるけど、《抵抗》は翔のだな。それがどうした?」
「《抵抗》にも色々あってな」
「ああ、特化スキルってヤツか」
「んだ。疲労に特化させる事で汎用スキルの《抵抗》より効果が強くなる」
「あるある。俺も書いてたぜそんな設定。翔のは効果が強いから汎用スキルでも効果が充分って訳だな。《抵抗》より強いのは《耐性》、《無効》、《吸収》って感じか」
「ああ、《吸収》もソッチで使えたか。今度試してみるかな」
「《無効》系あるなら見せろし」
「無いな。《耐性》掛けてやるから覚えとけ」
「やったぜ」
弥一に《耐性》を掛けてやると、直ぐにカードへカキカキし、光が消えたのを破いてモクモク。
「煙が出るってのが面白いな」
「使用者にしか吸収されないってのがミソだぜ。しかも紙が消える」
「その紙自作だろ?漉き直せれば良かったのにな」
「材料草だし大した事無いさ。そろそろ良いぜ。翔のスキルが効いて来た」
その後、昼飯を挟んで午後過ぎ迄、弥一の特訓に付き合ってやった。
ギルドで素材を換金し、弥一は宿を探しに行った。それなりの金額にはなったが、女を買うのは次の機会にするんだと。俺はお土産買いに行く。
糸に布等裁縫道具に、笊や調味料等食品関係。使用量のとても多い石鹸を大人買い。そして櫛や小物、アクセサリーを買い漁る。これで皆も喜んでくれるだろう。
腹も減ったし、島に帰るか。
島に帰って夕食後、食堂で皆にお土産を渡す。共有の物は各所に運ばれ、個人の物は、わ~っと集まり、それぞれ気に入った物を取って行く。
「カララ、これにしたのっ」
「そうか。カラクレナイはオシャレさんだな」
「わたしはコレです!」
「コレクションが増えたな。偶には着けてやりな?」
喜んでもらえて良かった。
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