女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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トイレが臭くなる

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 それから十日、ホルスト達に無理の無い範囲で少しずつ移動距離を稼いで黒い森に到着した。十日も女断ちして居れば男共の目もおかしくなって来る。メルタールでハッスルしなかった奴等は輪を掛けてだ。獲物を狙う視線に女達は距離を取り、互いに口数も減って来ていた。

「カケル、それと…ヤイチだったかしら。ちょっとこっち来なさい。早く」

ヘンプシャーが俺を呼ぶとは珍しい。弥一も一緒なのが解せんがその弥一は即答でホイホイ付いて行ってしまうし仕方無い。明日の為に作っていた料理を《収納》し、ウキウキした感じで付いて行く弥一の後を追った。

「あまり近寄らないで。皆不安なのだから」

前回公爵夫人が寝泊まりしていた部屋に通されると、そこには三組の女達が集まって、奥の壁に並んでた。ヘンプシャーの言葉を受けた俺達だが、座る椅子はヘンプシャーが使って居るのでその場で胡座をかく。

「要件を聞こうか」

何故俺達なのかは敢えて聞かない。何と無しには分かるから。弥一は分かって無さそうだが取り敢えず静観する模様。

「話が早いわね。男達のアレ、何とかならない?」

「アレ?」

「厭らしい視線よ。貴方の組員はそうでも無いけど、他の男共は野盗と同じ目をしているわ」

「ムームードやダミヤン達が抑えに回ってるから、手を出す迄には至らないだろうとは思うが」

「出される前に手を打って欲しいのよ」

確かにな。

「性欲溜まってんだろうしなぁ。自身で発散してもらいたいモンだぜ」

「貴方達は自制が効いてるみたいだから、敢えてこんな事話してるのよ。スキルか何かあるんでしょ?」

「否、俺達の組は全員女を抱いている。メルタールでな」

女達の目がゴミを見る目に変わる。が、更に続ける。

「金の使い方は個人の自由だ。それに、そこから更に何十日も移動があるのだから性欲の処理も仕事の一つだ。違うか?」

「そんな物っ、…我慢したら良いだけでしょう?」

「今必死に我慢してるのが彼奴等だ。そろそろ三十日、オナニー出来ん環境で、良く耐えてると思うよ」

「オ、オナ…」

「勃起した男性器を自分の手で扱いて子種を「分かってるわよ!」鎧やコートに隠れているが、勃起してる奴、居るよな?」

「「「……」」」

女達とヘンプシャーは黙ってしまう。どうやら見た事があるようだ。

「女は外見では分からないし自制も出来るだろう。だが男は外から分かっちまう。自制出来ていてもな」

「だからって、飢えた野盗の中には居られないわ」

「…そうだな。此処からまだ三十日、掛からん程度には掛かる訳だし、少し忖度してやるか」

俺の言葉に女達から安堵の息が漏れる。

「提案だ」

「聞くわよ」

「先ずは隊列の並びを変更する。六号車の後ろに付いてもらう」

「それは、逃げる為?」

「乗り降りで嫌な視線を貰わなくて済むだろう?次に、俺の乗り物を寝る時に貸してやる。その代わりキレイに使えよ?」

「それが一番助かるわ」

「貸し出すに当たり、夜警のペアになってもらう。乗り降りの時に起こされては敵わんからな」

「…飲まざるを得ない訳ね」

「皆と相談して決めてくれ」

「そう、するわ…。貴女達」

「なあ翔よ、男共にオナニーさせたら良いんじゃねーのか?」

ヘンプシャー達が相談を始めようとした所で弥一が口を開いた。

「トイレが臭くなるが、それでも良いならそれでも良いぞ?」

「それは嫌だが」

「オナニーしたくて一人になるとフラグが立つだろ」

「話としては面白いが…」

「今は俺達が居て敵の存在に気付けるが、この依頼が終わってパーティー組んだ時、同じ事は出来んよな」

「糞、今更になって執筆欲が溢れて来やがった…」

「貴方達、五月蝿いわよ」

「集中しろよ」

「こっちの話はとっくに終わったわよ」

どうやら全面的に俺の提案を飲むようだ。

「なら付き添い全員に話をして理解して貰え」

話は終わったので飯を作りに部屋を出た。辺りを彷徨く男達の視線が刺さる。





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