女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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痩せた

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 料理に勤しむ俺の周りに集められた付き添い達に、ヘンプシャーからの陳情と提案が上がる。

「済まんな。俺達が抑え切れんで」

「抑えは効いているわ。けど心配の芽は摘み取りたいのよ」

グリオーソの言葉にヘンプシャーは返す。他の男達も済まなそうにしていた。

「では、俺の組の後ろにムームードの組が付き、カケルの組の後ろにヘンプシャーの組が付く。夜警に関しては、グリオーソが一番手に、ヘンプシャーが三番手に変わる。ソレで良いか?」

「「「おう」」」「ええ」

「グリオーソは順番が変わる。組のモンに話を通しに行ってくれ」

「おう」

纏め役が居ると話が早い。直ぐに解散となり、男達はそれぞれの部屋に散って行った。

「それで、寝かせたいのだけど」

「今出すよ」

薄ソーサーを焼く手を止めて、《収納》から小型UFOを取り出すと、女達を乗せて空に上げる。ロックも掛かるし、飛び上がって手が届かない程度で充分だろう。

 少し夜更かしして飯を作り上げ、俺も寝る。

「あれ?カケルさん、何で三組が起きてんすか?」

六組の奴等に説明してなかったぜ。寝床の変更と隊列の交代を説明すると皆嬉しそうな顔をした。
逆に嬉しく無さそうな四組の男達は、配膳の手伝いもせず食い散らかし、片付けもしない状態となった。《洗浄》掛けてはい終わり。嫌がらせにもならん。そしてムームードに怒られてやんの。


「貴方達、今迄走って来てたの!?」

 ヘンプシャーの声が後ろから聞こえる。馭者席の後ろから覗いているのだろう。六号車の左右を挟んで走る俺達にとっては有難い声援だ。

「体力付くし、移動系のスキルが、生えるかも知れん、からな」

俺は走ってないけどな。装備を押さえて静かに走る五人は、走り始めた時より確実に早くなっている。そして、デブが痩せた。

「カケルさん。スキル、来ましたっ」

「お、何が来た?」

「《持久力》って奴です」

「初めて聞くな。だが有用だな」

「はいっ」

「俺も来ました。《脚力強化》です」

「お、俺もだ。《走る》…そのまんまかよ」

「本当に、走るだけでスキルが?」

偶々だろうがスキルが連続して生えてヘンプシャーも驚いている。休憩地手前迄走り続け、弥一以外は脚力や持久力に関するスキルを手に入れられたようだ。弥一はカードに描き描きし、トイレでモクモクやっていた。彼奴は自分のスキルでしかスキルを増やせないのかも知れん。だが痩せただけ良いだろう。

「あ、あの」

飯時も近くに居る女達の一人が俺に話し掛けてくれる。何でも聞くが良い。

「何だ?」

「あの、走ると痩せるって、本当ですか?」

一人が聞くが、これは女達の総意のようで、皆が皆、此方を注視していた。

「あの弥一を見て、嘘だと思うか?」

「ですよね、ですよねっ」

「彼奴は元々ぶよぶよだったから分かり易いが、長く走り続けると体が細くなる。今体に付いてる筋肉の内、走る為の筋肉が発達し、脂肪が燃焼されるからだ。だから弥一は細くなった」

「「「成程…」」」

「早く走ったり重い物を持ち上げる筋肉は太くなる。ダミヤンのムキムキがそうだ」

「「「ほうほう」」」

「でも、私、ムキムキはちょっと…」

「一旦ムキムキになってスキルでも身に付いたら重い物を持たないようにすれば良い。鍛錬を怠れば筋肉なんて直ぐに無くなっちまうからな」

「「「へー」」」

「適当な事言ってるわね」

「やらなきゃ分からんよな。ヘンプシャーのソレは《投擲》だろ?自分で生やしたスキルなのか?」

「そうだけど…」

「スキルが生えた頃より細くなってると思うぞ?鍛錬怠ってるならな」

「ヘンプシャーさんっ」「見せてくださいっ」「触らせてっ」

「あっ、止めっキャッ」

「翔、てぇてぇ」

「ああ、そうだな」

女同士のキャッキャウフフは、尊い物である。

「ひ、酷い目に遭ったわ…」

敢えて言わんが、顔がニヤけてますぞ?ヘンプシャーは其方の気があるように思える。
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