女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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アマナット

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 黒い森での滞在は二日。付き添い達に全員分の弁当を持たせると、俺は食料の買い付けに向かう事となっている。

「貴方、買い付けはバルタリンドに行くのよね?」

何故か睨みを利かせた視線のヘンプシャー。

「お願い事をしたいなら可愛い顔して欲しいんだが?」

「ヘンプシャーさん」「可愛く、可愛くですよ」

三組の女達が俺に合わせる。やはりお使いに行かされる流れか。

「くっ…。えへ」

えへってしても、顔変わってないぞ。

「…何が欲しいんだ?本来余計なモンは用意しない。あり物で何とかするのも此奴等の訓練だ。必要に感じなければ却下するぞ」

「貴方は知らないでしょうけど、一応聞いておくわ。アマナット。貴重な黒糖を使った丸薬よ。女には必要な物なの」

「お前等も疲れてんだな…」

「どうなのよ」「「「…………」」」

女達の視線が強い。ゾイッとしたポーズの子に萌えを感じていると、食い物の話に敏感なあの男が寄って来る。

「翔、アマナットって、…あ?アマナットー?」

「ああ」

「お前の婆ちゃんの蒸しパン、美味かったな~」

「「「ムシパン…」」」

「レーズンも入っててな~」

「「「レーズン…」」」

「止めぃ。レーズンは無い」

「けどワインはあるんだろ?原料葡萄じゃないんか?」

「「「ワイン…」」」

「普段飲まない俺が原料知ってると思うか?」

「ざ、材料はブランの実ですっ」

女の一人がゾイッとして声を上げる。何だか可愛く見えて来た。この世界、果物に限らず植物は時期物だから、無い時期は無いんだよな。ブランの実を教えてくれた子の家は公都近くの村でブラン農家をしているそうで、醸造もしていると言う。で、やはり時期は外しているそうだ。

「甘納豆は手持ちがあるからこれ食って可愛い顔の練習でもしとれ。蒸しパンは考えとく」

「「「わあっ」」」「何で貴方、持ってるのよっ」

「帰って来て、可愛かったら教えてやる。女の笑顔は武器だ。覚えとけ」

そう言って、俺はバルタリンドへ《転移》した。

「あ、カケル様、お帰りなさい」「お帰りなさいです」

施設に入ると、午後の部の営業準備に勤しむラビアン達に迎えられる。

「食料の買い付けに来たんだ…が、メイド達はお休み中なんだったな。どうすんべ」

「お野菜なのです?」

「乾燥野菜と甘納豆、黒糖にマタル粉だな」

「でしたら全部、ルドエで事足りますね」

ああ、全部彼処で作ってたな。ミネストパレスに行けば良かった。ラビアン達を撫で散らかして、ミネストパレスへ飛ぶ。

 ミーネの城には今日も女が井戸端議会。その中央では議長で女王が鎮座して、女達の話を聞いていた。

「旦那様。女を漁りに来たのか?」

「ブレス吐きたいくらい溜まってるけど、今日は買い付けだよ」

「そうか。誰か、トリントンを呼べ」

ミーネの言葉で女が動き、暫くあってトリントンが連れられて来た。

「女王様、ご要件は…カケル様っ、お迎えに上がれず申し訳ございませんっ」

「お仕置きプレイを楽しみたい所だが、今日は真面目に買い付けなんだ。よろしく頼むよ」

「お任せ下さいっ。お仕置もお待ちしています」

薄板に欲しい物を書いてトリントンに渡すと、女達と一緒に確認し、在庫が足りるか相場がどうだと話してる。

「昼食前には集め終わりますので、お仕置き下さい」

「集め終わったらご褒美プレイしてやるからさっさと終わらせておいで」

「「「はいっ」」」

数人の女達を連れて城を出るトリントン。俺はエッチな仕草の女の誘いに…を…我慢して、厨房へと向かう。

「マタル粉に、甘納豆、黒糖。どれもあるな」

「疲れた時は甘い物ってね。女王様がお許しいただけるのさ」

薄ソーサーに水で伸ばした黒糖を塗ったクレープや、甘納豆を混ぜたソーサーをおやつにしていると言う。
雑木で蒸し器を拵え鍋に湯を沸かし、ボウル代わりの鍋や篦、調理器具等を用意した。重曹は、多分無いだろうな。どうすんべ…。




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