女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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その時はその時だ

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 それにしても、三組の奴等は何処で寝てるんだ?男達に聞いても分からんと言うし、弥一の《感知》を使うのも癪なので、自分の《感知》で女を探し出す。……奴等、俺ん家の船三艘に二人ずつ忍び込んで寝ておった。寝るだけならまだしも予定の時間に起きて来ないのは問題だ。ヘンプシャーの手足を《威圧》で固め、浮かせて水に漬け込んだ。

「お前等起きろ。交代の時間だぞ?」

船迄飛んで、お手軽達を起こす。寝惚けてる奴は《洗浄》だ。

「あ、あれ?ヘンプシャーさんは…?」

「彼奴なら顔洗ってるよ」

ヘンプシャーと一緒に寝ていた片割れの問いに答えると、水上に脚だけ出して藻掻く女を指差した。

「えっ!?」「ちょっ!ヘンプシャーさんっ」「早く引き上げてっ」

オールを使ってワタワタと、蠢く脚に集まって、皆がせーので引き上げる。

「うげっ!ベホッ!」

「おはよう、寝坊助さん。勝手に家の備品を使うで無いよ」

「げっほ!ゴホッあだたがっ、がさだいがらっゲホッ!」

「俺はテント張って寝ろって言ったぞ?ソイツは家の奴等が使うんだ。全部陸に持って来たら移動出来んだろうが」

少年隊やぶち姉妹なら飛び越えられるけどな。

「ゴホッゴホッ、私達は女なのよ!?気を使いなさいよ」

「それは気遣いの出来る者が言う言葉だ。次の者が風呂を待ってるってのに気遣いも無い。そんな奴に使う気があるのかよ。お前等もだ。お前等の実力で此奴と同じ事しようモンなら、犯されてブフリムの群れの前に投げ捨てられっぞ?」

「え…」「あ…」「すいません…」

「良いからもう陸に上がれっ」

言い捨てて、返事を待たず陸に戻ると、暫くして女達も陸に戻って来た。《威圧》で固められてるヘンプシャーを担いで焚き火前迄やって来る。それを見た男達は動揺を隠せない。

「翔、お前の仕業だろ?どうしたんだよ」

「船が全部こっちに来たら、島に住んでる奴等はどうすんだろうな」

「分かるけどよ。女だろ?」

「女だな」

「後でこっそりブフリムの巣にでも投げ込んだら良いじゃねーか。今は怒る時じゃねーべ。仲良くやろーぜ?」

弥一が俺を宥め、ヘンプシャーの顔色が変わる。三組の女達も固まった。

「俺はコッチに来てまだ日が浅いが、この世での命の価値が滅法安いってのは理解してるつもりだ。魔物を殺すし野盗も殺す。逆に殺される事もあるだろう。ヘンプシャーさん、あんたAランクだからって死なないとでも思ってんのか?翔はあんたより強いんだ。大人しくしとけよ」

「貴方なんかに、言われたく無いわねっ」

「言われなくても分かってるんなら行動で示そうな?翔、離したげて」

「殺されても知らんぞ?」

「…しないわよ」

まあその時はその時だ。《威圧》を解いてやると地面に下ろされ殺意籠る目を向けて来る。が、そこ迄のようだ。上半身ずぶ濡れの女は焚き火に当たる事もせず、俺達の視界から外れる場所に陣取って朝が来るのを待った。

 朝食の支度をして朝になり、起き出した男共と朝食を摂る。だがその場にヘンプシャーと三組の姿は無い。女達は少し離れた場所で、森から摘んで来た野草なんかを齧ってる。

「翔、嫌われちまったな」

「食わなくても食費に含まれてるんだがな」

育ち盛りな女子の目が、俺等の食事を見て逸らす。静かな飯の時間を破ったのは世話好きな男の声だった。

「お前等、何があったか知らんが飯を食え。このまま食わずに居るつもりか!?」

ダミヤンの言葉に女達の目が泳ぎ、一点に集まる。この原因を作った女だ。其奴は黙したまま草を齧り、意志を示す。女達は草を齧った。

「兄貴ぃ、船持ってっちゃったのか?」「おはよー」「はよー」

次に静寂を破ったのは可愛い弟分達。ぴょーんと飛び跳ね対岸へ着地すると、ガットとニットが船を漕いで島へと戻る。

「悪い、戻すの忘れてたぜ。夜の内に勝手に使われててな」

「もしかして、彼奴等?俺達は良いけど、姉貴達は跳べないんだからさ、気ぃ揉んでくれよな?」

離れて葉っぱ食ってれば察しも着くか。






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