女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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呉々

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 配る用を抜いておいて良かった。料理研究家みたいな感想をくれるリアですら無言でフォークを運び、甘い物にあまり興味の無いミーネまでしっかり皿に残ったクリームをペロって居た。居座ると追加生産を強いられそうなので早々に退避し、バルタリンドへ《転移》する。

午後のギルドは冒険者の姿も疎ら、空いてて居心地良いのだが、何故か視線が飛んで来る。どれも女の職員からだ。

「あぱぱあ~」

「シンク~ガンダー、また来たよぉ~」

『…パパ、甘い匂いがするわね?』

『無償の愛を持って来たぞ。家に帰ったら皆でお食べ』

『待てないんだけど!』

『ママ達と食べようね』

《威圧》の手で優しくママを撫でると、ピクリとして立ち上がり、部屋を出た。何時もより忙しないな。

「カケル様っ、カケル様は何処に!?」

「此処に居るぞ~」

「お待ちしておりましたっ。ささっ、上へ」

カロも甘い物には目が無いシルケ人だが、今日のは教えて無い筈だ。カロの後ろで揺れる尻を見ながら階段を上がり、ギルマス室へ入るとカロは自分の机から紙ペラを取り上げテーブルへと乗せた。

「それ、見るのか」

「ええ、一読お願いします」

「……は?」

読んだ紙ペラの内容を簡単に説明すると、公都で武装蜂起が起きたと。で、城が包囲されて中にも侵入を許してるって。

「戦争擁護派の蜂起のようです。ギルドでは不可侵を貫く事としましたが、それでは姫様が…」

「取り敢えず今夜はタマリー親子を連れて島に来い。お土産に甘い物を用意したから夕飯の後でな」

「今は甘い物を食す余裕等…」

「大丈夫だ。俺だけでも何とか出来るし、最悪リュネ達も居る。此方である程度話は纏めておくから、甘いの食って英気を養え」

「はい…。呉々も、よろしくお願い致します」

何か変な話になっちゃったな。一先ずカロ邸へ向かいお土産を渡し、簡単な説明をして直通転移門でリュネの部屋へ。

「お帰りなさいませ。何かありましたか?」

「居間に人種を集めてくれないか?」

「分かりました」

新居の居間に降りて待っていると、お世話中だったのか子供を抱いて来たりする女達。

「忙しい中集めて悪いな。急な話なんだ」

「旦那さま、子供に聞かせても良い話ですか?」

「理解出来るならな。皆、これを見て、意見を求む」

テーブルに、カロから受け取った紙ペラを置くと、左右からイゼッタとサミイ、正面からはリア、後ろからはテイカが覗き込む。

「お父様…」

「カケルっ」

「お城が襲われてるって、事ですか?」

「中の人がな。リアよ、お前が望むなら俺は頑張るよ」

「貴方様…」

「カケルッ、はよっ」

「落ち着けイゼッタ。夜にカロ達が来る。それ迄に決めたら良い。状況把握もしておきたいしな」

「貴方様。お頼み申し上げます」

「うム」

 《白昼夢》と《感知》で公都を探し、城の上空に辿り着く。包囲したと聞いたが門を抑えているだけのようで、本隊は中に居るようだ。壁をすり抜け侵入すると、戦闘は既に終えているようで、鎧を脱がされ縛られている兵士にメイドや小間使いが見受けられる。そして積まれた兵士達。王らしき反応のある場所に移動すると、王を前に横隊で相対する兵士達。下手側には鎧を着た数人が固まっているので此方は敵側か。

『静かに聞け。反応は指先でしろ』

《念話》を返せるか分からないのでそんな感じで指示を出すと、縦長の椅子に座った老人は親指と人差し指を輪にして擦った。
反応あり、だな。

『夜に助ける。それ迄殺られるな』

指が擦られ、口が動く。何を言っているのかは分からないが敵側の数人の内一人が前線に立つ。兜着けてるので何か言ってても分からない。

『呉々も死ぬなよ。では、また夜に』

「…戻ったぞ」

「カケルッ」「貴方様」

「義父を見て来たよ。予定通り、夜に助ける」

「旦那さま?何ですぐに助けに行かないのですか?」

「敵の親玉が居なかったからだよ。これから其奴等を探すんだ。人質とかも居るやも知れんしな」

夕飯の時間迄、俺は寝室に籠った。









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