女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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王家の威信

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 愛娘の温もりが名残惜しい。ギルドに着いてしまったのだ。カロと一緒に裏口から入り、職員にチラ見されながら進み行く内に、シンクのデスクに着いてしまった。

「ベッドに、机かこれ」

「ギルド証を渡すお仕事です」

シンクのデスクの隣に居る受付嬢が答えてくれた。ガンダーの所も机っぽいのが置いてあるが、こっちには飲み物や花なんかが置いてあるな。

『仕事してるのよ?私。パパは?』

『俺だって仕事してるもん。クーデター鎮圧して来たもん』

『何気に凄い事してたのね…』

「カケル様、そろそろ」

カロに急かされ階段を上がる。カウンターの中に冒険者が居ては不自然だしな。

「まだ朝飯食ってないし、取り急ぎ報告だけ。詳しくはリアに聞き直しておくれ」

「それは、畏れ多いですね」

手持ちの道具でお茶を淹れ、果物を摘みながら知っている限りを報告した。

「はむ…、城が更地にならなくて良かったです」

「見るに徹したようだしな。第一公女に《威圧》くらい掛けてくれても良かったのに」

「カケル様、貴族の世界は我慢の連続です。あむっ」

「カロも我慢してるのか?」

「んぐ、今は別に…」

「寿退社、したくないのか?」

「私が辞めたらカケル様とギルドが戦争になりそうで。辞めるに辞められませんよ。それに、屋敷なり島に居着いてしまったら、皆さんに敵いませんから…」

「気にしなくて良いのに」

「シャリーさんみたいに外との架け橋にならねば私の価値が下がってしまいますっ。あむっ」

果物を切り分ける俺、食べるカロ。美味いのか、そうかそうか。俺にもくれよ、俺のだぞ?剥いた皮の、栄養が詰まっている所を齧って居ると、ノックがあり誰かが入って来た。

「失礼します。誰ですかその方は」

「カケルだ」

「不審者ですか?」

「此方はカケル様です。カケル様、彼処は情報課のキャルパです。どうしましたか?」

課があるのなら課長は居るのか?部長は?自分のデスクに戻ったカロに、紙束が贈られる。情報を纏めた報告書、だろうか。果物を切った食ったしてる俺を羨ましそうな目でチラッチラ見るキャルパ女史。仕方無いな。カロのデスクに切ったのを持って行く。雑木ピックを二つ刺して。

「…良かったわね。貴女も頂きなさい」

「はいっ」

今日一元気な返事だろうな。

「書面での報告はカケル様の報告と粗変わりませんでした」

「違う所があったのか」

「誤差、と言うか、王家の威信に関わる事ですね。言わなくても良い事は言わない…と」

「成程な」

「貴方、諜報部だったの?」

「俺はギルド職員じゃ無いよ。実労部隊だとは思うがな」

「報酬も思いのまま、騎士爵は確定。勝ち組ね」

「金もあるし地位も要らん」

「またまたぁ」

「まあ、他の要求が少しあるから、それで帳消しってな」

「欲をかくと頭が飛んで行くわよ」

「一番安上がりだと思うよ。そろそろ串焼き屋も出るだろうし、行くわ」

「はい。果物ありがとございます」

「あ、ありがとうございました。美味しかったです」

ギルドを出て露店街へと歩いてく。外へと向かう冒険者に、野菜を積んだ農家のホルスト車が擦れ違い、街の住民達がそれぞれの仕事に向かう。そんな光景を眺めながら露店の立ち始めた中央広場に辿り着く。まだ良い匂いしてないし、串焼きはお預けだな。そうなると飯の食える店は宿屋か彼処しか無い訳で、行きに来た道を戻って行った。

「カケル様?」「もう入場は終わってますよ?」

「朝飯食わずに出たもんで食事にありつこうかと」

玄関を掃き掃除するラビアンが、施設に来た俺を見て不思議な顔をするが、ハラヘリなのを聞いてドアを開けてくれた。頭撫でてやる。

「あ、カケル様っ」「ホントだ」「お久しぶりです」

食堂に着いて厨房を覗くと、ティータにテッチー、ラッテの三人が賄い食ってた。

「久しぶりだな。こんな時間迄働いてたのか?」

「時間は何時も通りだけど、今日はお風呂入って仮眠して…って感じね」

普通に働いても外では一瞬だしな。




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