女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ポーリは学がある

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 階段から階段迄最短で移動して、ボスをサクッと煙に変える。三人はそれを見て目が点になってるが、成る可く早めに終わらせたいので少しだけ急ぐ。

「うっ、コレ、魔剣だよ」「気持ち悪っ」

「その状態だと、二人はまだ魔剣を持つに至らないって事だな」

「そんなのどうやって持って帰んだい?」

「捨ててくよ。国に略奪されるのも癪だしな」

「下手に使うと、魔装に飲まれる、って」

ポーリは学があるようで、魔装についての知識はあるっぽい。ネーヴェの後ろに隠れて震えてる。

「トカゲのボスが落とした癖に、私ゃこっちの方が怖いよ」「私も」「うん」

持って帰って売れる物だけ回収し、階段を下る。俺は要らないし、三人には退屈させてるのでお詫び代わりにくれてやった。

「コレだけで延滞金になりそうだね…」

「帰ったら美味いメシでも食ってくれ」

「ああ、浴びる程飲むよ」

「装備買いなよ…」

「そうだねぇ。そう言えば幾つか拾ったけどさ。店のとどっちが良いんだろね?」

「手に馴染むなら店売りよりドロップの方が良いぞ?何より同じのが手に入るから予備に取っておけるしな」

「私にはちょっと重いかな」

「盾の良いのがあったけど、私も同じ。ちょっと重いね」

「靴、大きい。男用なのかな?」

「かも知れんね」

確かにダンジョン産の装備は男物なサイズが多い。ユニセックスなのはショートソード以下の短剣や小盾くらいか。逆にアクセサリーの良いヤツはデザイン的に女物が多いような気がする。

敵の出ない階層を進み、やって来たボス部屋。皆薄々気付いているようだ。この奥がヤバいと言う事に。

「カケル、私一人でやるの?」

「倒すのは一匹あれば良いから、釣り出すのは俺がやろうか。結界解いたら逃げちゃうだろうし」

「ん、まかせた」

「良し。じゃあ入るが、動くなよ?」

「この先に、居るんだね…」

「レッサードラゴンなんて見た事無いよ」

「見たくも無いけどね…」

「貴重な体験だな。では行くぞ」

扉を開けて、中に入る。部屋の中に広がるフィールドに三人は息を飲んでキョロキョロと辺りを伺っている。

「カケル、いってら」

「釣り過ぎ無いようにするよ」

《感知》でしっかり位置を確認し、少ない方に飛んで行く。此処には彼奴も居るから成る可く離れた位置で戦わせたい。軽くひとっ飛びで三匹のトカゲが目に入る。三匹が近過ぎて皆釣れちまうだろうが仕方無い。お土産にもなるしな。
投石程度で死にはしないだろうが一応手加減して投げる。第一球、クイックモーションからの危険球がトカゲの脇腹にヒット。グギャーーッと大きい声を出し、近くに居た二匹が其奴へ向かって寄って来る。第二球。集まって来た片方の太腿を直撃。一匹目のトカゲと目が合った。

「グギャーーッ!」

トカゲ語は分からんが、居たー!とかそんな感じか?ダメージの無いヤツを率いて大口を開けて飛んで来る。太腿を痛め付けられたヤツが少し遅れて飛んで来るのを確認し、少し弧を描いてネーヴェ達の元へ戻った。

「三匹だ」

「んー」

そう言うとネーヴェは更に気配を消して浮き上がり、俺の前に陣取った…と思う。多分。《感知》でも地上から上がる瞬間消えたみたいになってるし。フワッとした風の感覚で近くに居ると感じただけだ。
射線から外さぬように、それでいてブレスを吐かせないように真っ直ぐ後退すると、先頭を飛んでいたトカゲの頭が真っ二つに割れ、ゆっくりと落下しながら煙へと変わって行く。続くトカゲは胴を分割され、遅れて来た一匹は慌てて動きを止めた。
が、遅い。二匹目と同時に胴が斬られていたようで、止まった時には斬り口から煙が上っていた。地面に墜落する前にドロップを《収納》しておこう。

「カケル、おわた」

「お疲れ様」

気配と共に姿が現れ抱き着いて来るネーヴェを地上に降ろすと、固まっていた三人が駆け寄って来た。

「凄え!凄えよネーヴェ姐さんっ!」

「三体のレッサードラゴンを一瞬で!」

「やっぱり、とんでも無かった…」

「ん。おそれうやまえたてまつれ~」

両腕をV字に上げたドヤポーズで三人にドヤるネーヴェに、前衛二人は祈りを捧げ、釣られてポーリも膝を折った。





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