女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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犬と白熊

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 普段なら昼飯の支度で活気のある食堂も、今日は三人、厨房の奥で大物の整備をしてるだけ。昼飯どうするのかを聞いてみる。

「お昼は入浴施設とルドエ、それとセカンドハウスに分かれてそれぞれ食べる予定です」

「セカンドハウスの湖の水位が上がって、イゼッタ様達が排水に出ています。ですので、皆さん近場で済ませるそうです」

俺が仕事に出た後の事、ブチ姉妹がやって来てヘルプを頼んだのだそうだ。大型調理器を整備する三人も、終わり次第セカンドハウスに合流するそうで、子供達もそっちに遠足してるのだと。

「何か手伝うか?」

「後でご褒美一杯くださいっ」「おっぱい吸って欲しいですっ」「よろしくお願いしまっす」

取り敢えず今は要らない子な俺は、チュッチュと唇を重ねてセカンドハウスへ移動した。

「お帰りなさいませ、カケル様」

「水位が上がって排水してるって聞いたが」

 大部屋の転移門を潜り、出迎えてくれたテイカに状況を確認する。建屋自体は少し高見にあるので浸水被害等は出てないが、湖畔の桟橋が水没して舟が一艘沈。対岸側には水が溢れ、此方も桟橋が水没したそうだ。話を聞きながら下へと降りる。

「お、兄貴!」「やっと来た!」「うへへへ、あーにきー」

妙なテンションのが居るが、概ね元気そうな少年隊が装備毎ビッシャビシャの姿で玄関の直ぐ外に立たされていた。何やらかした?

「どうした。水浴びでもしてたのか?」

取り敢えず《洗浄》掛けて乾かしてやる。

「舟に飛び乗ろうとしたらさ、中に水が溜まってやんの」

「そんな舟にダート兄貴とニットが一緒に飛び乗ったから舟がひっくり返っちまってさ」

「うへへ、沈んじゃった」

「怪我無くて何よりだよ。風呂入っといで」

「「「うぇ~~い」」」

「野郎共を乾かしてくれましたか」

「危うく床を汚される所でした」

「「お帰りなさいませ」」

風呂に向かう三人とブチ姉妹が擦れ違い、姉妹は此方へやって来る。

「もう少し早く来てくれたら俺も手伝いに来れたんだがな」

「コッチは屋根の上に多少水が溜まった程度です」

「箱のおかげで直ぐ終わりました」

「「拍子抜けです」」

溜まった雨水を箱に収納したそうな。災害にも役立つんだな。イゼッタ達はまだ外で作業中だそうで、俺も外へ出る。

「う、風魔法か。イゼッタ~」

空に浮くイゼッタは、風魔法の旋盤を何枚も重ね、水面に当てるように回して湖の水を対岸側へと押し流そうとしている。リアは飛べないので畔からストームで吹き飛ばしてた。音は凄いんだが、何方も効果は今一つのようだ。

「リーーアーー」

「!?あらっ、貴方様。お手伝い下さいませ。水が戻って来てしまうのです」

「お疲れ様。取り敢えず地面に穴を開けてそこに流し込もう」

対岸から直ぐの森へ飛んだら木を《収納》して土地を空け、土を深く迄《収納》した。そして穴と湖を繋ぐよう溝を切り出し、排水池とした。

「もう直ぐ昼飯だから、流れるかどうかの確認だけしたら戻ろう。イゼッタにも伝えて来る」

「承りました」

リアのストームが水面を吹き飛ばし、押し込まれた水は波となって対岸へ押し寄せる。溝を更に削り込み、水面より低くしてやっと水の流れが生まれた。

「イ~ゼッタ~」

「カケル。魔力つきそ」

「お昼だから戻ろ?」

「ん」

イゼッタが魔法を解くと、押し上げられていた水が湖へと逆流する。今迄の作業が徒労に終わる。

「自然つよい」

「そりゃそうだ」

フラフラと飛んで来るイゼッタを抱き抱え、リアとも合流してセカンドハウスへと帰った。

「あ、旦那~」「今日はオレ達も飯作り手伝ったんだぜ?」

食堂は、普段の倍の人が居て、作るのも配膳するのも人手が掛かる。犬と白熊の手も借りて、大皿料理を作っていた。そしてソーサーは焼かず、スープの中に細かく落とし込まれた。

「焼鍋だと倍は焼けないのです」「誰か食いそびれるです」

「コッチは大型調理器は無いからなぁ。考えておくよ」

「「よろしくお願いしますです」」

ステレオで懇願された。




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