1,273 / 1,519
犬と白熊
しおりを挟む普段なら昼飯の支度で活気のある食堂も、今日は三人、厨房の奥で大物の整備をしてるだけ。昼飯どうするのかを聞いてみる。
「お昼は入浴施設とルドエ、それとセカンドハウスに分かれてそれぞれ食べる予定です」
「セカンドハウスの湖の水位が上がって、イゼッタ様達が排水に出ています。ですので、皆さん近場で済ませるそうです」
俺が仕事に出た後の事、ブチ姉妹がやって来てヘルプを頼んだのだそうだ。大型調理器を整備する三人も、終わり次第セカンドハウスに合流するそうで、子供達もそっちに遠足してるのだと。
「何か手伝うか?」
「後でご褒美一杯くださいっ」「おっぱい吸って欲しいですっ」「よろしくお願いしまっす」
取り敢えず今は要らない子な俺は、チュッチュと唇を重ねてセカンドハウスへ移動した。
「お帰りなさいませ、カケル様」
「水位が上がって排水してるって聞いたが」
大部屋の転移門を潜り、出迎えてくれたテイカに状況を確認する。建屋自体は少し高見にあるので浸水被害等は出てないが、湖畔の桟橋が水没して舟が一艘沈。対岸側には水が溢れ、此方も桟橋が水没したそうだ。話を聞きながら下へと降りる。
「お、兄貴!」「やっと来た!」「うへへへ、あーにきー」
妙なテンションのが居るが、概ね元気そうな少年隊が装備毎ビッシャビシャの姿で玄関の直ぐ外に立たされていた。何やらかした?
「どうした。水浴びでもしてたのか?」
取り敢えず《洗浄》掛けて乾かしてやる。
「舟に飛び乗ろうとしたらさ、中に水が溜まってやんの」
「そんな舟にダート兄貴とニットが一緒に飛び乗ったから舟がひっくり返っちまってさ」
「うへへ、沈んじゃった」
「怪我無くて何よりだよ。風呂入っといで」
「「「うぇ~~い」」」
「野郎共を乾かしてくれましたか」
「危うく床を汚される所でした」
「「お帰りなさいませ」」
風呂に向かう三人とブチ姉妹が擦れ違い、姉妹は此方へやって来る。
「もう少し早く来てくれたら俺も手伝いに来れたんだがな」
「コッチは屋根の上に多少水が溜まった程度です」
「箱のおかげで直ぐ終わりました」
「「拍子抜けです」」
溜まった雨水を箱に収納したそうな。災害にも役立つんだな。イゼッタ達はまだ外で作業中だそうで、俺も外へ出る。
「う、風魔法か。イゼッタ~」
空に浮くイゼッタは、風魔法の旋盤を何枚も重ね、水面に当てるように回して湖の水を対岸側へと押し流そうとしている。リアは飛べないので畔からストームで吹き飛ばしてた。音は凄いんだが、何方も効果は今一つのようだ。
「リーーアーー」
「!?あらっ、貴方様。お手伝い下さいませ。水が戻って来てしまうのです」
「お疲れ様。取り敢えず地面に穴を開けてそこに流し込もう」
対岸から直ぐの森へ飛んだら木を《収納》して土地を空け、土を深く迄《収納》した。そして穴と湖を繋ぐよう溝を切り出し、排水池とした。
「もう直ぐ昼飯だから、流れるかどうかの確認だけしたら戻ろう。イゼッタにも伝えて来る」
「承りました」
リアのストームが水面を吹き飛ばし、押し込まれた水は波となって対岸へ押し寄せる。溝を更に削り込み、水面より低くしてやっと水の流れが生まれた。
「イ~ゼッタ~」
「カケル。魔力つきそ」
「お昼だから戻ろ?」
「ん」
イゼッタが魔法を解くと、押し上げられていた水が湖へと逆流する。今迄の作業が徒労に終わる。
「自然つよい」
「そりゃそうだ」
フラフラと飛んで来るイゼッタを抱き抱え、リアとも合流してセカンドハウスへと帰った。
「あ、旦那~」「今日はオレ達も飯作り手伝ったんだぜ?」
食堂は、普段の倍の人が居て、作るのも配膳するのも人手が掛かる。犬と白熊の手も借りて、大皿料理を作っていた。そしてソーサーは焼かず、スープの中に細かく落とし込まれた。
「焼鍋だと倍は焼けないのです」「誰か食いそびれるです」
「コッチは大型調理器は無いからなぁ。考えておくよ」
「「よろしくお願いしますです」」
ステレオで懇願された。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる