女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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チョコ味

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 下り階段の姿が今迄と違う。凸凹たっぷり、自然のままの洞窟が緩やかな傾斜を付けて闇の中へと伸びて居る。…闇?《感知》の効果は切れてない。ボス部屋自体真っ暗な筈だし、光る粒も光ってる。要するに、俺の《感知》で見えない状態。スキルの効果を消されてるのか、若しくは別空間に飛ばされるのか。人間レベルの《恐怖耐性》を貫通し、俺に怖いと思わせる。久しぶりだな、リュネの笑顔以外で此処迄怖いと感じたの。

怖いもの見たさで坂を下る。闇の中に入ると次の瞬間には《感知》の視界が戻る。どうやら転移門だったようだ。
ふぅっと息を吐き、階層を見渡す…居た!四人!?一人が少し離れて居るが、徒歩圏内か。

『リュネ!ミーネ!ネーヴェ!カラクレナイ!サミイッ!』

無理をして《念話》を飛ばす。返事は無い。だが《念話》以外での返事はあった。四人の内、二人を囲う《結界》が強まったのだ。多分ネーヴェだ。囲まれてるのはカラクレナイとサミイだろう。
三次元に入り組んで、狭くなってる場所もある、本物志向の洞窟はエリア型の《結界》では先に進めない。マップを頭に叩き込むと《感知》を解いて《纏う》に変えて、皆へ向かって進んでく。
敵がいる。水溜まりの振りをして、通り過ぎようとする俺に飛び込んで来る。ミズゲルだ。西洋ファンタジーでは強敵であるスライムはシルケでも強敵なのだな。凄え、《結界》が溶ける。直ぐ様《結界》をエリア型に変えて核を押し潰し、ドロリとした粘液に変える……ん?
煙にならない?ダンジョンでは無いのか?

「ぎっ!」

考える事を辞めようとすると左目に攻撃をされた。器用な奴め、左目だけ執拗に失明させてくれよる。溶けた分の《結界》を増して纏い直し、先へと進む。

「うぶっ」

しかし行く手を塞ぐのはミズゲルだけでは無かった。氷だ。谷間に溜まって固まった氷が通路全体を塞いでしまっている。…こんなに暖かいのに?鎧越しでも暖かく感じるのであれば、常温以上である事は間違いない。
かなり無理して《鑑定》すると、氷では無い事が判明する。石膏だ。生前、テレビで見た事あるが、あれはファンタジックなクリスタルがニョキニョキ生えた感じだった。しかし此処では水面状に固まっている。

《収納》を使いブロック状に切り抜いて進む。突き出た鍾乳石や石筍が切れないのはダンジョンだからだろう。無理し続けているので非常に気持ち悪いし、狭い中体をくねらせて進むのでとても疲れる。ダンジョン産の木の実を食べる。チョコ味のヤツだった。美味し。脳味噌の消耗を避ける為、《感知》はピンポイントでしか使っておらず、体もそんなに動かせないので一口で入る物を適当に選んで口の中に放り込んだのだ。石膏の塊に顔をぶつけて変な声出しちゃったのは一生の秘密である。

石膏の塊が無くなり空間に出られた。腕を上げられる程では無いが、立って歩ける程度には高さのある空間になってホッとする。皆迄後少し。《念話》で声を掛けながら進んだ。

「リュネ!ネーヴェ!」

 石膏の床の上に横たわる四人を見付け、声が出る。《結界》で囲われたカラクレナイとサミイに駆け寄り顔をぶつけた。

「カラクレナイ!サミイ!助けに来たぞ!?」

皆、息はある。ネーヴェを抱き上げカラクレナイ達の所へ。リュネも同じく抱き上げて、ヨロヨロと皆の元へ移動する。鎧越しに上下するおっぱいに顔を埋めたい。左目の激痛で目が覚める。

「カ…ケル…」

ネーヴェが蚊の鳴くような声で呟くのを顔を近付けて返す。

「良く守ってくれたな」

「ちか、ら、だせない…」

「皆を《結界》で囲むぞ?」

「…ん」

龍の力を減衰させる階層って事か?リュネ達はサミイ達を守るのに必死でそれ以外の行動が出来無くなったと思われる。
…さて、ちょっと命を懸けねばならなくなったな。龍が寝たきりにされるこの場所で、俺が《結界》を張り直したらどうなるか…。



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