女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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泣くな

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 「カケル様、ハーク様達は如何なされましたか?」

 見守りを解いてお茶を一服。息を吐いた俺にメイドが声を掛ける。只管歩いて行くよりは遥かに短い時間だが、結構な時間を俺はソファーで微動だにせずに居たのだ。皆も声を掛けるタイミングを計っていたに違い無い。

「大アトールの手前に着いて、夜を待つようだ」

「すんなりと待ちますでしょうか…」「私も同意見です」「お茶のお代わりは如何ですか?」

「…貰おうか。で、すんなり待たない理由は?」

「はい。夜は警戒度が増します故、敵が気を抜く時を見計らうかと」

「寝込みよりも前に仕掛ける可能性が高く感じられます」

「皆は計画を聞かなかったのか」

「拷問に掛けられても口を割る事はありませんが、同行せぬ者に情報を流す必要はありませんからね。ささ、温かい内にどうぞ」

お茶を頂き、皆もどうぞと茶菓子を出す。伸した団子にあんこを挟んで半月形に畳んだ柏の無い柏餅だ。朝食に団子スープを作ってくれたので、少しくすねて作った物だ。茹でたてを《収納》したので熱々だぜ。

「あふ、あ、あふっ」

「温かい甘味は初めて食べます」

「こも、むちゅむちゅひた、んぐ。食感も初めてですね」

「外側はそれ程味が無いから甘味以外にもスープに入れたり出来るんだ。ソーサーの代わりにもなるし」

「面白い食べ物ですね。して、この後はどうなされますか?」

「どうと言われても、俺は今回見守るだけだからなぁ。明るい内に少しクリューエルシュタルトに行って来ようかと」

「ギルドですか?」

「ああ。知り合いで協力してくれそうなの彼処しか無いからな」

  「ジョン様しか居ない…」「俺だけのジョン…」
何やら聞こえて来たがスルーする。お茶を飲み干し出掛ける。


 《転移》した先はギルドの屋上。雪降る地なのに屋根が尖って無いのが不思議だが、外壁とくっ付いてる建物だから、移動経路や待機スペースとなっているのだろうな。壁を守る衛兵達に誰何されん内に飛び降りた。

「ジョーンくーん」

閉ざされた俺専用入口を叩き部屋主を呼ぶと、見知った顔の美人が開けてくれた。名前は忘れたがサブマスの誰かだ。

「カケル様…ですね?」

何処見て俺と判断したの?ライデンの服だから顔は晒しているが、下を見て、顔を見て、浮いてるのを確認して俺だと判断したらしい。

「居ないの?今忙しいとか?」

「ええ、マスターはシューンシューンズデーゲンに出張しております」

「国葬関連かな?」

「お耳が早いですね。公言はなされないように」

《感知》を飛ばして婆ちゃんの居るギルドを見遣ると、ジジババに混じって確かに居た。

「俺も渦中の人だからね。情報交換して来るよ」

「あまり迷惑を掛けませんように」

俺はトラブルメーカーじゃ無い筈だが、大人なので了承して《転移》…の前にジョンに《威圧》を放っとこ。ジョンがビクッとなったのでシューンシューンズデーゲンへと《転移》した。

「来たな!?面倒事か?」

「お前もそんな扱いか」

窓を開けたジョンの第一声がコレである。中に入れてもらい窓を閉めると四人のローブが魔法を唱え、部屋を囲う結界が張られた。これくらいの結界ならカロ一人でも張れるよな。そう考えるとカロって凄いのでは?

「で、カケルよ。話があんだろ?」

「だな。情報交換に来たんだ。此方からとしては…」

ハークに王座が渡る事、少数で大アトール要塞を落としに行ってる事、城内の敵対勢力の一部を懐柔した事、等の情報を提供した。

「此処からではどうあっても馳せ参じられんでは無いか!」

「そう言う事は早く言え!嗚呼、ワシが居ればあんな要塞、瞬く間に灰燼に帰そうと言う物をぉぉ」

「およし。彼処を壊したらそれこそ出入り自由じゃないか。それと、出来無い事を言うんじゃ無いよ」

「ぬぁにうぉーっ!」

「待て待て。心は熱く、頭は冷静に、だ。そんなではハーク王が呆れてしまうぞ?」

「「「ハーク、王……」」」

泣くなジジババ。情報寄越せ。




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