女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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指名手配

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 それぞれの期待する未来を思い描き、涙を流すジジババ共は、それぞれが恍惚とした表情で半分か、それ以上魂抜けている。静かになったは良いが、放っとくと全部抜けてしまいそうなので蘇生してやろうと思う。

「ジョンくんを砦付近の魔物討伐に行かせたいんだが、借りてっても良いか?」

ダメだ。シッシと手を振られた。もう魂は帰って来ないな。

「俺は構わんが、魔物討伐じゃ無いんだろ?」

「ああ。俺や龍は見守りに徹する事に決めたから手が出せん。ブルランさんも居るし、ハーク達なら砦を落とす事も出来るだろう…がなぁ」

「心配ってか」

「んだ」

「んで?偶々近くに居た俺が大アトールに居る敵共とハーク様達が戦ってるのに居合わせて、加勢するって筋書きか」

「まあな。砦の中って冒険者の姿が無いからさ、俺が入ると囲まれそうじゃん?」

「冒険者の移動は出来た筈だが…。婆ちゃん、何か知らないか?」

ジジババの中で唯一人、魂の抜けなかったこの街のギルマスであるベールカーンは、目を伏せて何かを思い出そうとする素振りを見せてから口を開いた。

「情報は無いねぇ。小アトールから大アトール迄の依頼が出されてない。それに、ギッツ王国からの依頼も流れて来ない…って考えると、抑え込んでいるのかもねえ」

「小アトールには冒険者居たし、ギルドはあるんだろ?」

「懐柔、されたのかねぇ…。本部に問い合わせるよ」

「大アトールにギルドは?」

「彼処は本物の要塞さ。本来平民が近付いちゃならない場所なんですよ。勝手に住み着いて街にしちまったけどねぇ。小アトールの方は既成事実でウチだけギルドを置いたみたいだけど、他のギルドは無い筈ですよ」

軍事施設の周りが発展するのは良くある話だ。ジジババからの情報は得られなかったが仕方が無い。ジョンを連れて移動しよう。

「じゃあジョンを借りてくよ。Aランクなら一人で森に放置しても平気だろうし」

「おい準備くらいさせろ」

「危ない事はさせないでおくれよ?」

「魔物程度で死ぬならそこ迄だろ。取り敢えずクリューエルシュタルト経由で大アトールに飛ぶぞ」

「遠いな」

「《転移》すっから一瞬だ」

「「「てんいぃい?」」」

あ、生き返った。では無く、魂が引っ込んだジジババが変な角度で俺の方へと首を曲げた。首どうなってんだよ。

「おいカケル!転移とは何じゃ!?魔法か!?」

「一瞬で大アトール迄行くと言うたな!?」

「あたしゃ何があってもハークさ…ハーク王様に会いに行くよ!?断ったら死んでやる!」

「《転移》はスキルだよ。アルアの使ってるのも多分だがスキルだ」

「アルア様が《転移》スキルを…」「ワシの傍に来てくれんかのう…」「あたしも《転移》出来れば何時でも会いに行けるのにぃ…」

「「ソレじゃ!」」

「おいカケル!《転移》を教えよ。さも無くば魔法ギルドが敵となるぞ!?」

「商業ギルドと敵対してみろ、買い物が出来んくなるぞぉ?」

「あたしゃ家政婦組合にも顔が利くからね?」

最後のが一番キツい。

「今直ぐは無理だ。つーかアルアに教えて貰うが良いよ。俺とアルアの《転移》は覚え方が違うし、その方がアルアの習熟度に繋がるから」

「ならば!」「アルア様の所へ!」「連れて行きなさい!」

「「「今直ぐ!」に!」じゃ!」

騒がしく、仲の良いジジババだ。ジョンの準備があるし、ジジババ共も丸腰では役に立たんと言う訳で、全員連れてクリューエルシュタルトへ行く事となった。

「良いか!?先に行ったら指名手配じゃからな!?」

外に待たせてる介護士に断りを入れる為、部屋を出るジジババが同じ事を言って部屋を出る。

「階段の昇り降りでジジババの寿命が縮むから下で飛ぶぞ?」

「コラ、ジョンさんっ」

「動ける内は動いた方が良いんだぞ?」

「コラ、カケルさんもっ」

ジョンも降りると言うので付いて行き、地下一階の訓練場を人払いして借り切った。




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