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友好の証
しおりを挟むサトーさんに促され席に着く。お誕生日席が無いので多分上座だろう。俺が上座で良いのか?
「これでは旦那様とくっ付けないな」
「申し訳御座いません。直ぐに用意致します」
「構わんよ。ミーネも人前でイチャイチャしないでしょうに」
手を伸ばすと掴んで来る。二人でニギニギしていると、ノックがあってサトーさんがドアを開け、数人の男女を引き連れて、珍しい格好の男が入って来た。
「お二人共、そのままで構いませんぞ。私もこの様な姿でな。早速掛けさせて貰おう」
俺の正面にの席に立ち、左右から保持されて座る男は両腕に松葉杖を突いていたのだ。
「突然の訪問に快くお迎え頂き感謝する。キネイアッセン、カケラント王のカケルだ。此方はウラシュ島、ミネストパレス王、ミネストパーレ様。聞いていると思うが龍だ。怒ったら怖いのでお忘れ無く」
「ミネストパーレだ。取って食ったりはせんよ」
「カケラント王にミネストパレス王、初めてお目に掛かる。私はアンメスベルク王、ジューネスターク・キャスパトリ三世と申す。アンメスベルクにようこそ」
キャスパトリ三世は白髪混じりの明るい金髪。細身であるが、内包する筋肉と魔力は確かに王族の血だと見て取れる。赤白黒。珍しい。因みにアンメスベルクはメルタル大陸の東の果てにあるそうで、俺達はキネイアッセンを越えてしまっていた事に気付かされた。
「二人は駆け落ちと聞いたが、何処か行く宛てでもあるのか?」
「唯のデートだよ。昼間に龍の姿で飛ぶと驚かせてしまうからな。アンメスベルク王のその足は、怪我で?」
「うむ。戦車から転げ落ちてしまってな」
戦車と聞いて無限軌道を思い浮かべたが技術的に無理だろう。となるとエジプトとかで使われていた、馬に車輪付けたアレかと思われる。
「競技が盛んなのだな」
「実戦でも使うが、使わぬに越した事は無いな」
《感知》で診ると、しっかり治療を受けているようで、体力さえ戻れば問題無く生活出来そうだ。
「良い治療を受けているようだ。直ぐに良くなるだろうね。友好の証に治してやろうかと思ったがこれでは立つ瀬が無いな。これ以上王の眠りを妨げる訳にもいかん。早いが退散させてもらおうか」
「うむ」
「ま、待ってくれぬか。カケラント王よ、そなた医術に明るいのか?」
ん?早く歩きたいのか?焦る事も無いと思うが身を乗り出して来たアンメスベルク王は介護者に支えられてソファーに掛け直した。
「死者以外はな。ミネストパレス王なんて龍だからな、凄いぞ?」
「お前の脚なら《治癒》を掛ければ歩けよう?他の者に居るのだな?人の子の手に余る者が」
成程そっちか。ミーネが龍なのを思い出したアンメスベルク王はテーブルに頭を付けて発した。
その部屋は小さな灯りがベッドの横に灯されて薄暗く、明かりの傍に居た使用人は王達を見て静かに立ち上がり、腰を折った。
「…孫である」
静かに寝ているその子を見て、直ぐに《感知》を発動する。
「ミーネ。内臓だな」
「内臓?カケラント王、肌の色と内臓に何の関係があると言うのか」
「体にある毒素を、内臓が処理し切れなくて肌に出るんだ」
「誰かが、毒を…」
「違うな。旦那様よ」
ミーネの言葉に子供を見ると、裸に剥かれて浮かされていた…何だこれ?
「何だこれ。魔力がそこだけ滲み出てる」
「魔力が出し切れて居らんだと?食事の後に放出させたと聞いたが。使用人、説明せい」
「は、はい。確かに、お食事の後神官様の魔力を流されて居たと存じます」
回復量が多過ぎて溢れてる訳か。その影響で内臓がダメージを負ってしまったと。
「旦那様、魔力を流してやれ」
その間にミーネが何かするっぽい。初めチョロチョロ、ゆっくり魔力を通してく。子供の魔力を包み込み、コッチで練り混ぜてやると子供の全身から魔力が滲み出し、流れ出る。
「な、何と言う魔力量…」
「旦那様、そのまま暫く続けてくれ」
十リット程流しただろうか。ミーネが止めた。
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