女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,407 / 1,519

ビニル袋

しおりを挟む


「雛を多くしたければ裏の穴を塞げば良いだけだ。後は自分達でも作れるな?」

「ははっ、より高みを目指す事を誓いましてございますっ」

 取り敢えず卵を貰える事にはなったが、今は一つも貰えてない状況では家に帰る事は出来無い。しかし時間は昼を過ぎてしまった。駄々捏ねて離れないハークを撫であやし、最後の手段に出る。

城の上空で目を瞑り、《白昼夢》で意識を飛ばす。しっかりと場所を吟味して、座標を固定し《転移》した。


 耳に入る雑音が懐かしい。だが感傷に浸る訳には行かない。直ぐに装備を着替え、アイツも萎えさせ状態確認。…服装良し。靴履いた。財布、中身もある。良し。

「あ、あーあーんっんんっ、…良し」

人気無い路地裏から通りへ出る。そこは武器を持たぬ人と金属の塊が動く町。首を硬そうなリボンで括った男達が目の前を通り過ぎ、掌サイズの板に話し掛けている。金属の棒と車輪を組み合わせた乗り物に、子供を二人載せた女が向かって来るのをサッと避け、俺は目的地へと歩いて向かった。

此処は、俺の地元から二駅都会へ向かった繁華街。繁華街と言っても大型スーパーと飯屋と車屋が並ぶだけの田舎だが、それでもシルケの街以上に人が居る。人口一万人は伊達じゃない。
駅前の大型スーパーに着いて、買い物カゴを手に取る。手に汗が滲んでるのが分かる。緊張しているようだ。直ぐに生鮮コーナーを通り抜け、十個入りのパックを十パックカゴに入れ、レジへと向かう。ビニル袋、五円。買うしかない。金を払い、商品とお釣りをもらって素早く店を出る。長居は危険だ。足早に来た道を戻り路地裏に着くと、辺りに人の居ないのを確認して島へと《転移》した。

「お帰りなさいませ。臭いです」

「済まん。ちょっと買い物に行っててな」

テイカが迎えに出て来るが、地球の匂いに顔を顰める。元地球人の俺でさえ、少し臭いと思ってしまっていた。ビニル袋を《収納》し、風呂で作業着を洗濯しながら風呂に入る。

とにかくコレで、卵が手に入った。だがこんな裏技二度と使いたくない。地球の卵は美味いのだ。次同じのを作れと言われたら、文句が出るのは自明の理。地球で昼飯も食わず帰って来たのも、地球の飯、日本の飯が美味いから。お陰で余計に腹が、減った。
湯上りに豆乳を飲み、ジューシーな野菜で腹を満たす。

「カーケルー」

「どうしたイゼッタ」

「ケーキ、まだ?」

「皆が用意した材料を見てからだな」

「待ってる」

「出来るのは明日だぞ?」

「ぐえー」

龍語が上手くなりおって。近くを歩いてたラビアンに、厨房横の倉庫に集めてあると聞いて見に行くと、一回分以上の量で詰め込まれていて、ドアを開ける事しか出来無い状態だった。直ぐに使うからなんだろうが、それでも箱に入れとけよ…。レシピを見ながらとにかく《収納》。倉庫をスッキリさせたら食堂を出て空に上がった。

 大型UFOに乗り込んで、下拵えを開始する。先ずは皆に内緒のミルクから。獣母の愛は皆に知られる訳にはいかん。ササッと《洗浄》したら魔力を込めて、大型バケツに搾って直ぐ仕舞う。バケツに蓋をし密閉したらグルグルゴロゴロ攪拌開始。濃厚ミルクを出してもらったが、どれだけのバターになるかは謎だ。
攪拌を続けながら、フルーツのカット。コレ等はラビアン達が各大陸から掻き集めて来た地上の果物だが、よくもまあこんな量集められたモンだ。初見の物を味見をしながら皮を剥いて薄切りにして行く。切って粉糖に混ぜ、寝かせる作業してたら夜になってた。

「カケルーご飯なのー」

「はーーい」

カラクレナイが飛んで来る。飯の時間だ。

「カケル、できた?」

「まだ下拵えの段階だねぇ」

ネーヴェは気が早いな。

「くんくん、果物の匂いするの」

「切って甘く煮るからねぇ」

カラクレナイの言葉に女達が殺気立つ。摘み食いしてた訳じゃ無いんだよ?味見しないとどう料理出来るか分からないんだから。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! 圧倒的不利な状況を武と知略で切り抜ける! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...