女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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ビニル袋

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「雛を多くしたければ裏の穴を塞げば良いだけだ。後は自分達でも作れるな?」

「ははっ、より高みを目指す事を誓いましてございますっ」

 取り敢えず卵を貰える事にはなったが、今は一つも貰えてない状況では家に帰る事は出来無い。しかし時間は昼を過ぎてしまった。駄々捏ねて離れないハークを撫であやし、最後の手段に出る。

城の上空で目を瞑り、《白昼夢》で意識を飛ばす。しっかりと場所を吟味して、座標を固定し《転移》した。


 耳に入る雑音が懐かしい。だが感傷に浸る訳には行かない。直ぐに装備を着替え、アイツも萎えさせ状態確認。…服装良し。靴履いた。財布、中身もある。良し。

「あ、あーあーんっんんっ、…良し」

人気無い路地裏から通りへ出る。そこは武器を持たぬ人と金属の塊が動く町。首を硬そうなリボンで括った男達が目の前を通り過ぎ、掌サイズの板に話し掛けている。金属の棒と車輪を組み合わせた乗り物に、子供を二人載せた女が向かって来るのをサッと避け、俺は目的地へと歩いて向かった。

此処は、俺の地元から二駅都会へ向かった繁華街。繁華街と言っても大型スーパーと飯屋と車屋が並ぶだけの田舎だが、それでもシルケの街以上に人が居る。人口一万人は伊達じゃない。
駅前の大型スーパーに着いて、買い物カゴを手に取る。手に汗が滲んでるのが分かる。緊張しているようだ。直ぐに生鮮コーナーを通り抜け、十個入りのパックを十パックカゴに入れ、レジへと向かう。ビニル袋、五円。買うしかない。金を払い、商品とお釣りをもらって素早く店を出る。長居は危険だ。足早に来た道を戻り路地裏に着くと、辺りに人の居ないのを確認して島へと《転移》した。

「お帰りなさいませ。臭いです」

「済まん。ちょっと買い物に行っててな」

テイカが迎えに出て来るが、地球の匂いに顔を顰める。元地球人の俺でさえ、少し臭いと思ってしまっていた。ビニル袋を《収納》し、風呂で作業着を洗濯しながら風呂に入る。

とにかくコレで、卵が手に入った。だがこんな裏技二度と使いたくない。地球の卵は美味いのだ。次同じのを作れと言われたら、文句が出るのは自明の理。地球で昼飯も食わず帰って来たのも、地球の飯、日本の飯が美味いから。お陰で余計に腹が、減った。
湯上りに豆乳を飲み、ジューシーな野菜で腹を満たす。

「カーケルー」

「どうしたイゼッタ」

「ケーキ、まだ?」

「皆が用意した材料を見てからだな」

「待ってる」

「出来るのは明日だぞ?」

「ぐえー」

龍語が上手くなりおって。近くを歩いてたラビアンに、厨房横の倉庫に集めてあると聞いて見に行くと、一回分以上の量で詰め込まれていて、ドアを開ける事しか出来無い状態だった。直ぐに使うからなんだろうが、それでも箱に入れとけよ…。レシピを見ながらとにかく《収納》。倉庫をスッキリさせたら食堂を出て空に上がった。

 大型UFOに乗り込んで、下拵えを開始する。先ずは皆に内緒のミルクから。獣母の愛は皆に知られる訳にはいかん。ササッと《洗浄》したら魔力を込めて、大型バケツに搾って直ぐ仕舞う。バケツに蓋をし密閉したらグルグルゴロゴロ攪拌開始。濃厚ミルクを出してもらったが、どれだけのバターになるかは謎だ。
攪拌を続けながら、フルーツのカット。コレ等はラビアン達が各大陸から掻き集めて来た地上の果物だが、よくもまあこんな量集められたモンだ。初見の物を味見をしながら皮を剥いて薄切りにして行く。切って粉糖に混ぜ、寝かせる作業してたら夜になってた。

「カケルーご飯なのー」

「はーーい」

カラクレナイが飛んで来る。飯の時間だ。

「カケル、できた?」

「まだ下拵えの段階だねぇ」

ネーヴェは気が早いな。

「くんくん、果物の匂いするの」

「切って甘く煮るからねぇ」

カラクレナイの言葉に女達が殺気立つ。摘み食いしてた訳じゃ無いんだよ?味見しないとどう料理出来るか分からないんだから。





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