女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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うぇーい

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 ブルランさんが居るなら呼ばれた要件を済ませたかったが、鬼ごっこしてるなら帰って来る迄待つしか無い。干し芋をクチャる少年達に絡まれて、俺はバットを構えた。

「カケルさぁ~ん、頑張って~」

ボコボコにされたら治してくれるらしい。

「へい兄弟、巴討ちを仕掛けっぜ」「「うぇい」」

「僕どーすんのさー」

ハークの嘆く声をスルーして、三匹の兎が寄って来る。ジグザグピョンピョン、撹乱狙いの動きは多対一を想定した物だ。

「うう…、三人共、成長したんだなぁ…グスッ」

「シッ!!」

「クッ、騙されんか」

渾身の泣き真似が見抜かれてしまった。正面、ダートの攻撃はフェイクだが避けないと当てて来るので左に躱し、ダートの右から回り込むニットの突きを全力ダッシュで逃げる。逃げないと飛び込んで来るガットと背後から忍び寄るダートにヤられてしまうからだ。
反転し、ダートニットを見失う。《感知》を使ったら負けな気もするが、負けたら心が折れてしまい兼ねん。なので勝ちを優先した。

《結界》

大人気無い《結界》に、子供らしく無い魔法が打ち当たる。ハークの放った風魔法だ。姑息にも砂等を混ぜて嫌な感じのストームにしてやがる。天才兄妹め、腹芸が上手くなりおって。

砂塵の迷宮となった視界の中で、自由に動けるのは《魔力視》や《感知》等、目に頼らぬ感覚を持つ者だけである。が、少年隊はピョンピョンしているし、ハークはジリジリ移動して、発射位置を特定されないように立ち回る。

ボガッッ!!

突然目の前が閃光と共に燃え上がり、思わず目を瞑る。《結界》のお陰で目眩しで済んだがコレ粉塵爆発だろ、ヤバヤバ。立ち上る火炎を越えて空に上がり、急いで酸素を確保する。そこを狙って、今度は水に包まれた。

此奴等、確実に殺りに来てるぜ。リュネが居るからって安心して殺りに来よる。

「糞ッ、二度死んだぞ」

呟いて、纏わり付く水をハークへ向けて逃がす。飛んで逃げるハークだが捕まるのは時間の問題だな。
着地して、誰かが横を抜けてって、右太腿から下の感覚が無くなる。よろける前に浮かせて《治癒》。おいおい…。

「魔剣はあかんだろ魔剣は…」

さっき迄木製だったのが魔剣に変わり、いよいよ仕留めに掛かって来てる。

「カケルさんなら大丈夫でぇ~す。皆さんも頑張って~」

「「「うぇーい」」」

うぇーいじゃ無ぇぞ。だが声のお陰で大体の位置は掴めた。三人は魔装の効果か何かで自分の位置をズラしてる様子。ハークは水に包まれたが、飛ぶ為に纏われている風と拮抗してる。全く凄いぜ。俺相手じゃ無ければ浮遊砲台じゃないか。試しに抜いた形見のダガーの糸が風魔法で逸らされて虚しく宙を舞う。その隙間を縫うように視界から消えた少年隊が駆け回り、装備と肌を斬らない剣が肉を断つ。

「あ、やべ」

「ひひっ、先ずは一人」

肝臓辺りを犠牲にし、鎧に忍ばせていた糸がダートに触れた。気配のする場所より少し先に糸が集まり繭となる。自分に付着していた糸を外し、麻痺状態から抜けると危険な移動砲台を落とす為空に上がる。飛び掛って行く糸は風に押し戻され、追い越す形となってしまうが想定内。

「残るはお前だけだな」

水玉の中からは何も聞こえない。背後で何かを狙っていたニットとガットを見逃さず、糸の毒牙に掛けると移動砲台から放たれる魔法に術者の天才振りを再確認する。小型だが十数個同時展開されたソレは、イゼッタの使う旋盤であった。器用に全部を操作して、俺を狙いながら仲間を助けるつもりだろう。
だが、やらせん。
切り過ぎて体迄斬ったら可哀想だからな。四人を柔らか煉瓦で包み、ハークをぐるぐる回してやると暫くして意識を飛ばした。

「ひぃ…ひー、物理攻撃もさせて貰えんとは…」

「大人気無かったですねぇ~」

「よ、四人はもう、大人だ」

「ソレはあの子達に言って上げてくださぁい」

言いましたよ。認められた四人は嬉しそうでしたよ。俺は悔しい。




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