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女堕としの甘い物
しおりを挟むワーリンの家は入って直ぐが食堂兼居間。島の母屋に近い作り。その中に暑苦しいパパリンとギャップ萌えのワーリン。そこに俺、アルア、ネーヴェにリュネ、少年隊とハークが入ると座る所も無い。折り畳める食卓を部屋の隅に立て掛けてこの状態だ。
「ウヴァル、せまい」
「ネーヴェ様、すいません。こんなに客が来る事も無ぇもんで」
「穴、開けちゃいますぅ?」
「勘弁してくるぇ…くだせぇ。裏にも他のが住んでますんで」
お、パパリンリュネがネーヴェ並に危険だと察したか。
「押し掛けて迷惑だろうし、そろそろ下に降りといで。日帰り出来るトコ迄な」
「迷惑なのはお前ぇだけだ。坑道崩んじまえ」
「ハーク王よ、この街の獣民は「カケルの事だっつの!」」
茶番はこれくらいにしてやろう。キキラを呼びに行くワーリンを見送り、暫し待つ間に下に行きたい者のマスクを作ってやる。
「何これ?」
「口元に着ける防具だ。細かい粉を吸うと咳が止まらなくなるからな」
「咳?我慢すりゃいーじゃーん」「「いーじゃーん」」
「一生ソレと付き合う事になるぞ?鉱夫の中にも咳ヤバい奴居るだろ?」
少年隊の言葉を往なしてパパリンに聞いてみると、やはり職業病である事が分かる。それを少しでも減らす為に風の属性魔石を置いてあると言うが、撒き散らす手助けしてるのでは無いか?無いと無いで酸欠になるのだろうけど。
「旦那達ー、今来たー。下行くのー?」「連れて来たー」
「「「「いくいくー」」」」
キキラもスカートにエプロンか。可愛いな。下に行きたい少年四人がぴょんぴょん跳ねる。
「私もー」
ネーヴェも跳ねる。護衛だからな。
「ミミッキュってのが居るらしいから気を付けろよ」
「兄貴行かねーの?」「の?」「のー?」
「俺が戦う相手が居ないし「けっ、日和ったか」ネーヴェが護衛だ。離れなきゃ大丈夫だろ「女の尻に隠れてやがる」リュネ~、やっぱり狭いから縦横奥行百ハーンくらい広げよっか~?「やめろこの野郎!」」
「あーンたッ!あンたこそ止めなっ!!」
狭い居間に怒声が響く。奥の部屋から顔だけ見せる小柄な獣民が鉈のような刃物を持って、パパリンに威圧的な視線を送る。
「で、でもよう…」
「!?」
「…分かったよぅ」
女は強い。
「カケルさんだね?家のが済まないねえ。こないだは立派な鉄扉をくれたってのにお礼も言えなくて、本当にありがとねえ。ご覧の通り狭い家だが愛着もあるのさ。其奴はボコボコにして良いからさっ、家は勘弁しておくれ?」
ワンブレスの長い挨拶がパパリンを落ち着かせる。ボコボコにするのは良いのか。
「家をどうこうってのは冗談だよ。初めて会うね。甘い物だけどお土産あるのでどうぞ」
「あ?あ~らあらあらあら。甘いの?嬉しいわ~」
「またでた」「女堕としの甘い物…」「母ちゃん?惚れちゃダメだかんね?」
酷い言い様だ。箱入り黒糖を差し出すと、包丁投げ捨て受け取ってくれた。
「話では聞いてたけどコレが黒糖なんだね!家の子酒と摘みしか買って来ないから何度もお願いしてたんだよお。ん~、あ~良い香り~何時迄居て良いですからね~んるる~」
上機嫌になって奥に消えてった。喜んでくれて何よりだ。
「酒と摘みの他にも買ってけよ…」
「い、急ぎだったんだもん」
それは悪かったな。ハーク一行が遊びに行き、ワーリンは家事に戻る。俺はキキラの家へと同行し、キキラのママラにもお土産を渡す。ママラは熊人でも人寄りだ。おっぱい「おっぱい見るな馬鹿旦那」…目を閉じよう。
「はぁ、はぁ、この匂い。堪らないわ…フス、フッフス」
此方も喜んでくれたみたい。キキラに押し出されて家を出た俺、ぼっちなう。アルアとリュネはワーリン家でママリンと何かしてるのが《感知》で見える。一人で観光するしか無いな。
ギフィ鉱山には外にも街がある。元々外の街があり、掘り進めた跡に住み込んだのが中の街の走りであろう。外の街の入口には、門はあれど門番は居らず、出入り自由となっている。鉱山の入口に門番が居るのは不審者や盗掘対策なのだろうか。
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