女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

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くぅ〜ん

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 昼飯を堪能し、暇になってしまった。雪の季節、外の街は静かなモンだし時間的に閉まっている店も多々ある。下の街は飯を食いながら《感知》で覗いたが、ジェム細工や実用雑貨、そして服飾の店が多く、見るだけで充分だった。お土産に、ジェム細工?高いよなぁ…。それに鉱山を降りるのも遠慮したい。本物の鉱山だからミミッキュとシルクワームしか居ないのだ。

『カケルーカーケリュー』

この呼び方はネーヴェか。

『どした?お腹空いたか?』

『兎、なんももってない』

予想通りか。ウェイトレスのお姉さんを呼んで鍋を渡し、育ち盛り五人分を注文する。

「また後で食べに来たら良いのに」

「今から持って行くんだ。腹空かせると怖いからな」

「それなのに先に食べちゃうなんて、悪い人~。チップくれたらサービスするワンよ?」

それはどう言うサービスなのやら。銀貨一枚手渡すと、二つのお鍋にたっぷりスープと肉とソーサーが詰められていた。確かにサービス、だな。雑木の箱に鍋二つ、食器にカトラリー、おやつの干し芋を入れて《収納》する。

「お客さん、マジックバッグ持ちなのね。それよりさ、さっきの甘い匂いのヤツ、気になるなぁ~くぅ~ん」

獣人は鼻が利く。干し芋の微かな甘い匂いを嗅ぎ付けてしまったようだ。甘え声がクソ可愛い。

「仲間と食えよ?喧嘩になっから」

「嬉し~わんわん」

手持ちの干し芋が全部持ってかれてしまった。

『はよ、カケルゥ』

いかんいかん。坑道を崩される前に送ってしまわねば。《白昼夢》でネーヴェの場所へと意識を飛ばし、座標を固めて箱を出す。突然の出現に少年達は驚いていたが、ネーヴェは躊躇無く開けて干し芋に齧り付いていた。

『仲良く食べてね』

『ん~』

これで本当に暇になってしまったぞ。ワーリン家にはパパリンも居るだろうし、キキラの家はキキラが嫌がりそうだ。そして勿論風俗は論外。

「…色石でも探すかな」

独り言ちると食堂を出て、再び外へ出た。


 左回りで山の麓にやって来ると、何やら人集りになっていた。山に行きたいのに階段前で固まってるので先に進めない。飛ぶか?

「お、お前冒険者だな!?」

「如何にも」

尋ねられたら答えねばなるまい。振り向いた獣民に答えると、ちょっと待ってろと人混みの中に入って行った。そして暫し。人垣が割れて道になると、さっきの獣民がトーピードの皮を着込んだずんぐりむっくり達を連れて来た。

「彼奴が冒険者ですぜ」

「うム」

「なんでい、ひょろっちい」「そんなガリ坊使いモンになる訳ゃねーだろ」

「そう言う事は当人の居ない所で言え」

二人を脱糞寸前迄《威圧》すると、蹲る二人に告げてやる。

「俺の名はカケル。お前等よりだいぶ強い冒険者だ」

「ひ、ひひっ、漏れ、る」「やべ、やめてぐれぇ」

「「自業自得だ」」

お、台詞が被った。階段を上がって来るトーピード皮は脱糞寸前達よりスマートだが中々厚みがある。全身覆ってるので分からんが、人種では無さそうだ。

「相手も見ずにおちょくるからそんな目に遭うんだぞ?あンたもイラ付かせちまって悪かったな」

「問題無い。よくある流れだしな。俺はカケルだ」

「ディカッカだ。其奴等はボコボコにして良いから討伐依頼を請けちゃあくれないか」

 ボコボコにするのは遠慮した。どうせ《威圧》解いてもブリブリしに行くだろうし。

ディカッカと並んで長い階段を降りて行き、その間に詳細を聞いた。トーピードを狩って帰ったら、港の中で弔い合戦を仕掛けられたのだと。それなりに広い港の中でも数で押されると戦い辛い。ボヨボヨボディは階段を上がっては来られないが、港を占拠し船や備品を壊されるのは回避したいそうだ。

「やれるか?」

「殺さない方が良いんだよな?」

「よく分かったな。獲り過ぎは値が下がるしな。報酬は弾むぜ?」

「そうだな。仲間が数人居るんだが、其奴等共々美味い酒と飯をご馳走してくれ」

「そんなんで良いのか?」

夕飯前だぜ。




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