女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,433 / 1,519

仲間

しおりを挟む


「俺ダート!」「ニット!」「ガット!」

 大きい大人を見るとキラキラしちゃうお年頃。気持ちは分かるぞ。でっかい手でグリグリされて喜んでおる。

「其方さんはネーヴェ様ですね?船員から話ゃ聞いとります。宜しく頼んます」

「うム。うやまえ~」

「リュネでぇ~っす」

「ははあっ」

直ぐに平伏した。船員達も驚いたが俺も少し驚いた。

「あ、あのっ。アルアと、申します」「ハークですっ」

「アルアに、ハーク…成程。成程なっ。こりゃあド偉ぇ報酬払っちまったぃ!ハーッハッハ!」

ディカッカは二人の名を聞いて、膝を崩して笑う。そりゃあ自国の王の名くらいは知ってるか。

「俺の仲間だ。仲良くしてくれると嬉しい」

「お前ぇの仲間ならもう俺達の仲間だ!良いか野郎共!」

「「「うおおおおおおっ」」」「「「うおー」」」

五月蝿い。兎共も真似すんな。

 酒が出る。ハークとアルアは果実水。少年隊は水割りで。龍とフレンズについては関知しない。俺は《解毒》してから飲む。キツい。強い。水も飲みたい。海の男達の話を聞いたり、ネーヴェが船員をボコボコにするのを見て夜は更けて行った。

 アルアとハークに少年隊が、フレンズの二人にに担がれて、穴の宿ミスリルピックに向かう。深夜だが飛び込みで行って大丈夫なのだろうか?キキラは「何とかなる」と言っていたが、ダメなら俺が城に連れて行く運びとなる。
残った俺と龍二人、飲み潰れた船員がトーピードの如く床に転がるサンジョリンの店で、店の酒を飲み尽くす勢いの生き残り船員を見て感心していた。

「よく飲みますねぇ。自制が利かないのは人の子の特徴ですけぇど」

自由の権化が何を仰る。《解毒》を掛けてる俺以外で、酔って無いのは龍だけだ。俺はチビチビ、リュネはゴクゴク。床に転がる船員達は、リュネに負けじと対抗し、返り討ちに遭った者共だ。

「お腹、いっぱい。ねもい」

一方ネーヴェは食って飲んで、力比べでボコボコにし、腹一杯になったらお眠さんだ。

「フレンズと一緒に行けば良かったのに」

「ここに、枕がある…」

椅子に座ったまま横になり、俺の太腿を枕にした。仕方無いので浮かせておくか。

「なあ、カケルよう」

「どうしたね」

酒強勢のディカッカが円卓の対面から問い掛ける。その声は少し低めだ。

「俺は、俺達ゃあどうしたら良い」

「…ハークの事か?」

「仲良くしろーつったってよぉ」

「仲良くなり方が分からん、とか?」

「そりゃあ、歳が離れ過ぎてるのもあるが、そうじゃ無ぇ。漁民と陸のモン。獣人と人種。下と外。平民と貴族。この街と他所の街、そして国。この街では特に確執が多い」

「成程な。だが傍から見て、気にする程でも無いと思うがね」

現にディカッカは人種だが、船員には人種獣人関係無い。トーピードの頭部を加工した目出し帽を外してるのを見た時は体毛の薄さに猿の獣人かと思ったくらいだ。

「俺達漁民は下のモンと口聞く機会も無ぇんだぞ?」

「心配し過ぎだな。デカい街になればなる程会う事も無く一生を終える者が出る。職場が違えば尚更だ」

「まあ、そうだが…」

「毛や尻尾の有る無しだって好みの問題ってだけに思うよ。交流が無いから近場の者が基準になる。お父さんみたいな人と一緒になりたいって言う娘と同じだぜ」

「カケルさんはぁ、娘にそんな事言われたら泣きますねぇ~」

リュネは俺を泣かせたいみたいだな。想像すると鼻がツンとするので成る可く考えないようにする。

「大丈夫だ俺みたいな男居ないから。…話は逸れたが、交流を深めたければ祭でも開けば良い」

「祭ったぁ、何だ?」

「地域の交流会だな。収穫を祝ったり、豊作豊漁を願ったり、単純に娯楽だったりもする。街ぐるみで用意して、食って飲んで余興して、互いがどんな奴かを知るんだ。知った仲なら助け合いを躊躇わんよな?」

「ああ。仲間は粗末にしねえっ。勿論ハーク…様もなっ」

公の場で無ければ呼び捨てで良いと返した。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...