女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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具が多い

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 俺の背に立つ店長は俺が振り向くのを待って声を掛けようとしているが、俺は今飯を食っている。ソーサーを齧り、スープを啜る。

「あ、あの、お客様」

「店主、失礼ですよ」

店長の言葉に割って入ったのはアルアだ。

「え、お客様は?」

「彼の方の妻、アルアイア・メルユーチヒ・カリバ・シュワイトリンゲンです」

「メルユーチヒ…、まさか…」

「偽れば首の飛ぶ名前ですよ?ねえ、お兄様」

「止めてよお忍びなんだからー」

「お、お兄様…あっ」

気付いて平伏したような音がする。

「こ、これはっ、当宿へお越し下さいまして真に有り難き幸せに御座いますっ」

「私の夫と、大事なお連れが部屋を用意されなかったと聞きましたが、真ですか?」

「そんなっ。格は全く及びませんが、部屋に空きは御座います」

「店長~、格はどうでも良いんだよね~」

「キキラ?キキラじゃないか」

ノシノシズルズル音がする。

「大部屋十五万って言われたそうだよ?」

「誰に!?」

「コイツ」

「ムラディア!?」

「あたし悪くないし。其奴金持って無さそうだったし。女なんか連れ込んでさ、連れ込み宿なら外でヤれば良いんだし」

「ムラ…お前…。貴族様の旦那だぞ…」

「知らねーし」

「あンた、死ぬ所だったよ?」

「はあ?死ぬ訳」

「おう、冒険者舐めんなよ?」

ワーリンが威嚇音を上げながら低い声を出す。これにはムラディアもビビってる様子。酒飲み過ぎて腹減ってるな。

「ぼ、冒険者が「すんませーん、キノコスープくださーい」」

「すっ、直ぐにお持ちします」

「お金これな。それと、早く連れ達にも食べさせてやってくれ。育ち盛りだからな」

「ははーっ、皆早くお持ちするんだ!」

「金あるんならあるって言えば良いんだし…」

「十人部屋、幾らだ?」

「ははっ、一泊五万ヤンと、なっております」

「十五万と言われたが?」

「金持ちならそんくらい払えし」

「お前さん、オレ腹減って気が短くなってるよ。此奴ボコって良いかな?」

「アタシもー」

「ボコボコで済むんなら儲けもんだな。埃立てるなよー」

「え、や、やめ」

それっきり、ムラディアの声は聞こえなくなった。ドカバキと二発、音がして、二人は席に着いたようだ。

「フッフッ…全く、信じらんないねっ」

「この人怒らせたら山が消えるよ!?」

「そんな…」

「知り合いの故郷だし、友達も出来たから更地にはしないが、寝る前や飯時に人死にを見たく無いんだよ。悪意持って欺いて来るのが分かる三人に吹っ掛けたのが悪かったな」

「な、何卒、お許しを」

「許すも何も怒って無いよ。俺が怒ると其奴と、多分お前は消える。お前はとばっちりだけど、責任者だからな」

「そこを、そこをどうかっ、お泊まりの、お食事代もお返ししますっ」

「金じゃ無いんだよな」

オドオドしたウェイトレスが持って来たキノコスープを啜る。キノコプリプリで心做しか具が多い。お泊まり客にも食事が並んだ。皆も食え食え。

「あの、では、どうすれば…」

「街全体の治安、良くしてくれや」

「それは、衛兵の仕事で…」

「盗まなきゃ生きられないモンに真っ当な仕事と報酬を出せるようにしてくれや」

「……」

「従業員の動向を把握出来無い者ではどうかと思うが…明日は我が身、だぞ」

言い終えて、女が消える。横目で見ていた店長は小さく悲鳴を上げて俺の提案を飲んだ。

 店長を下がらせて、ソロソロと人が増えて来る。どうやら店内の雰囲気を察して入れなかったようだ。

「カケルー」「カケルさぁ~ん」

「あれ?何で来たんだ?」

リュネとネーヴェが客に混ざってやって来た。

「私、依頼ちゅー」「なので連れて来ましたぁ」

確かそうだったな。ネーヴェにとっては貴重なお小遣い。無しには出来んよな。ネーヴェとリュネが合流し、更に料理を追加して、たっぷり食べたら宿を出て、ギルドで処理をし城へと向かう。

「お帰りなさいませ陛下、皆々様。ご視察の成果は如何で御座いましたでしょうか。皆々様に…」

ブルランさんの挨拶が長い。







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