女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

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一人飯

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 長い長い出迎えの挨拶を耐えて、縋り付くハークを引き剥がし、漸く島に帰って来た。リュネの部屋からセカンドハウスへと帰る少年隊とフレンズを見送る。

「お前さん、あの女、どうするんだい?」

「別にどうもしてないよ」

ワーリンが振り向き様に問うのをサラリと返す。生きたまま《収納》して廃人にする事も出来るが、そんな事してもアヤが付くだけだし、キキラと対峙したゴミ捨て場に《転移》させただけだ。ハークの縁者がする行動じゃ無い、と続けるとホッとした表情で帰って行った。
俺一人だったら違う事してたかも知れんがな、ぐへへ。

 女達を見送って、居間へ戻ろうとすると違うドアが開く。三つある内のもう一つの転移門、バルタリンド直通門だ。

「あ、カケル様良い所に」

「何かあった?」

ドアから出て来たラビアンが、俺がいる事にピコンと耳を立てる。聞くとメイド達がいよいよと言う事で報告に来たそうな。彼女は他の住民にも一言入れると部屋を出て下に向かった。俺はそのまま転移門を潜る。

「いよいよと言ってもまだまだですね」

シャリーは困った笑顔でそう言うと、テーブルにあるお茶を口にする。

「奥様達はだいぶズレ込みましたから、私共もそのくらい掛かるのでは?」

アルネスもそう言って干し果物に手を付けた。

「順番的にはアルネス殿だろうよ。我々は奥様達と同じ物を食していたしな」

  「孕んでから今迄此方の食事だったし、早まるかもね」
フラーラは楽観しているが、ノーノは準備すべきと言う。

「産婆の予定は?」

「それなら滞り無く。五日後から五日置きに様子を見に来てくれるそうだ。ご主人もそのくらいから来てくれて構わんよ」

俺の問いにフラーラは答える。俺なんてやれる事無いし、直前で待つだけだもんな。

「カーケルー」

コンコンガチャりとドアが開き、ラビアンに連れられイゼッタが来た。その後ろにはリアも居て、直ぐに話に花が咲く。

「まだまだとは言え間も無いとなるとあまり遠くに行かない方が良いな」

「女遊び、ダメ」

「ダンジョンとか遠征とかの話だよ?」

「カケル様は行った先々で女を垂らし込みますから…」

「だな」「ですねー」 「ですわね」「ですよね」

イゼッタの言葉に反論するが、女達の総意で返された。誠に遺憾である。

「なら今日から皆が産み終えて落ち着く迄、此処に住まわせてもらおうか」

「貴方様、ご機嫌を治して下さいませ」

察したリアが執り成そうとするが俺だって引けん。イゼッタは俺に抱き着き、物理的に止めようとしている。

「どっちか選べ。此処に滞在するか、ダンジョンに籠るか」

「それは…」

「カケル様、失礼な発言をお詫びします。どうかお怒りをお収め下さいませ」

言い淀むリアをアルネスがフォローする。それに続き、メイド達も頭を下げた。

「…島に帰る。それで良いんだろ」

返事を待たず、島へと《転移》した。そして厨房横の倉庫から食材を掻き集めると、小型UFOを《収納》から取り出して空に上がり、引き籠もり態勢に入った。

「成程、旦那様は真面目な話に水を差されて不快になったのだな」

 夜になり、一人飯を食べ終えて寝ようとした頃、引き籠もり部屋に入って来たミーネに慰められて心境を吐露した。

「人の子等も反省している。許してやる事は出来んか?」

「怒ってない。けど出たくない」

「そうか」

ミーネは短い言葉を吐くと、俺の頭を撫でて出て行った。取り敢えず寝る。

 目が覚めて、作り置きのスープを取り出し、薄肉と野菜の炒めを焼き立ての薄ソーサーに巻いて食う。食休みに水を飲み飲み横になっていると、今度はリュネが来た。

「カーケールさぁ~ん」

その声からは感情を読み取れない。龍だしな。

「リュネは俺にどうして欲しいんだ?」

「何時も通り、ですよ。仲良くしましょ?」

「そうしたいんだが、もう少しだけな。人の時間で少しだから、さ」

「んもう…、じゃあ、ギュッてしてくださ~い」

ギュッてされたのは俺の方だった。




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