女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。

もる

文字の大きさ
1,440 / 1,519

心の声

しおりを挟む


「カケル様ー、行ってらっしゃいませ~」「奥様達にも報告しときま~す」

 一体何を報告すると言うのか。若干、否、かなり不安に駆られるが、ハリシュの向かう先に同行した。串焼き香る露店街を通り過ぎ、場所は大通りのちょっとお高い宿。俺は直ぐにセカンドハウスのある湖に行っちゃったので一度も泊まった事無い所だ。

「お帰りなさいませ、ハリシュ様。お連れ様は、あ…」

挨拶に出て来た受付は施設の常連さんだ。

「もしかして、施設を薦めて頂けましたか?」

「ええ、其方様は良い湯ですから。店主様はお泊まりで?」

「いえ、依頼に混ざらないか、と誘われましてね。話を伺いに」

「良い仕事となりますよう、祈っておりますわ」

社交辞令を済ませ、酒場兼食堂にて待つ。昼迄時間があるとは言え、一人で円卓に座るのは気が引けるぜ。

「お客様、ご注文は如何なさいますか?」

座って何も頼まないゴミ客に、ウェイトレスは声を掛ける。

「これから話があるから、その中で注文するならその時にさせてもらうよ」

「承知しました…あの、彼処のお風呂の店主様、ですよね?」

「女将さんとの話を聞いてたのかな?」

「あ、いえ、その、ずっと気になってて…」

「湯の質は、大陸一だと自負してるよ。洗濯から乾燥迄してくれる魔道具も無料で使えるし、有料だが食事や甘味も味わえる。食料品店と提携してて、施設内で買い出しも出来るんだ」

「凄いですよね。それに」

視線が刺さる。

「女将さんと一緒にいらしてください。サービスさせてもらいますよ」

「はい…、お願いしてみます」

入口の方で女将が困った笑顔してるので、取り敢えず水だけ頼んで更に待つ。そして漸くガチャガチャと聞こえて来た。

「彼奴か」

俺だ。

「もう飲んでる…」

水をな。

「あんま強そうには見えんけど」

「それ、お前が言う?…あ」

「あ!?」

つい心の声が。

「待たんか。試合うなら話の後だ」

ハリシュが割って入り、メンチ切るチビっ娘を隠す。小さい子って直ぐキャンキャンするよな。

「力は後で見てもらうとして、先ずは参加するか否かだな。俺はカケル。金持ちだ」

俺は立ち上がり、ハリシュが連れて来た四人に名乗る。

「フッ、鞣皮鎧がよくもまあ」「守銭奴ってヤツだな」

「守銭奴なのは間違って無いな。コレの皮も自分で獲ったヤツだし、安く作れるに越した事は無いよな。で、二人のお名前は?」

聞いてもシカトしよる。体に直接聞いても良いんだぜぇ?

「カケル殿、済まない。こっちはディフェンダーのルジェ・バンドン。そっちはスカウトのタックだ。皆、話をするのに失礼過ぎだぞ?」

「…ルジェ・バンドンである」

「タック」

渋々だな。
金属鎧のバンドンは、そこそこお高そうなミスリルのフルプレート。緩衝材を付けて無いのかガチャガチャしてるし、音も貼り合わせっぽいな。だが人の造った物の中では良い方だろう。製作者の技量は確かだ。
名前だけ言って静かになったタックは俺を守銭奴扱いした方だが、お前の服の方がフルプレートより高いだろ。使い古して色褪せてはいるが、コレは役職上当然の事。敢えて汚してる迄ある。だが、魔装だ。何で魔装持ちが二人も居て使い方が分からないんだ?場数は踏んでる筈だろうに。

「ジロジロ見んな」

逡巡してたら怒られちった。

「後で俺のも見せてやるよ。で、其方のお二人は?」

「わ、私はカルーセル。ヒーラーよ」

「…お詫びします。私ケわたくしーンケーンと申します。バックアタッカーを任されております」

「お、お詫びしますっ」

慌てて詫びを入れるカルーセルとケーンケーンは魔法職。どうやら俺の魔力を視てヤバいと思った模様である。
オシャレ度を重視した緑色のコートを羽織るカルーセルは街中では浮きそうだが、森の中では溶け込みそうな色合い。
フードを外し、顔を晒して詫びたケーンケーンは山羊獣人。おっぱい四つあるタイプの人だ。








しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

処理中です...